青年会議

活動報告

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2025.01.08

(一社)岐阜県民間保育園・認定こども園連盟青年部の紹介と
第67回全国私立保育研究大会 飛騨高山大会へのお誘い

1 岐阜ってどんなところ?
【岐阜の歴史─天下分け目!歴史的決戦の舞台】
「壬申(じんしん)の乱」「承久(じょうきゅう)の乱」「関ヶ原の戦い」など、時代ごとに「天下分け目」と称される多くの戦いが繰り広げられた、まさに決戦の地が岐阜県です。
 「岐阜」の名付け親といわれる織田信長は、ここから天下統一を目指しました。県内各地に多くの史跡が残り、今でも歴史が息づいています。
【岐阜の自然─清流と山々に愛されし土地】
 海のない内陸県・岐阜の魅力は、なんといっても標高0mの平野から 3,000mを超える山岳地まで変化に富んだ自然です。
 北部の飛騨地域は日本でも指折りの険しくも美しい山々が連なり、南部の美濃地域では木曽三川が豊かな土壌を生み出してきました。山登りも川遊びもすべて暮らしとともに。それが岐阜ライフです。
【岐阜の産業─航空機から「匠の技」が光る伝統産業まで】
 製造業が盛んな岐阜県では、かつては繊維、陶磁器が主力でしたが、現在は自動車・航空機部品をはじめ、一般機械、電気機械まで幅広く生産しています。伝統産業の継承も盛んで、「美濃焼」「関の刃物」「飛騨の木工」など、各地に歴史・文化・自然に根差した最上級の「匠(たくみ)の技」が受け継がれています。
【岐阜の観光地─心に語りかける絶景の旅へ】
 世界遺産に登録された雪景色が絶景の「白川郷合掌造り集落」、日本三名泉に数えられる「下呂温泉」、昔ながらの古い町並みでの散策が楽しい高山や郡上八幡(ぐじょうはちまん)など、岐阜には心を澄ませたい時に来訪したい観光地が数多くあります。

2 青年部の概要
 岐阜県青年部は、もともとは保育団体ごとで組織され活動していましたが、(一社)岐阜県民間保育連盟が設立されたことにより、全国私立保育連盟・日本保育協会の二団体の地方組織となり、2013(平成25)年に発足しました。その後、(一社)岐阜県民間保育園・認定こども園連盟(以下、「本連盟」)となるにあたり、全国認定こども園協会を含む三団体の地方組織となりました。
 2024(令和6)年4月時点で、25名の部員で活動しています。

3 青年部の活動
 青年部は青年部長をはじめとする執行部や、各委員長を中心に委員会活動を行っています。他にも各保育団体の研修会への参加や役員活動も行っています。また、本連盟内の各部の活動や後方支援も行っています。
【保育研修委員会】
 保育研修委員会は、主に保育・教育についての研修を企画する委員会です。保育の質が求められる昨今。さらには保育・教育のあり方は時代や社会の流れの中で常に変化し続けています。保育研修委員会では、全国にて革新的な保育を実践している施設への視察研修や、講師としてお招きし研修会を企画・開催しています。また、若い経営者が自園の保育や教育を自ら伝え話すことが大切だと考え、青年部員の施設への視察研修を行い、若手の育成も行っています。
【制度研修委員会】
 制度研修委員会は、主に経営・制度についての研修を企画する委員会です。少子化の時代においての園の経営は若手にとっても重要な検討事項です。園の運営だけではなく、変動する制度の研究も必要不可欠です。全国で革新的な運営をされている法人や施設の方を講師としてお招きして、研修会や視察研修を企画・開催しています。また、青年部内で運営や制度において悩みや困っていることを題材として、研修を企画・開催することも行っています。
【県対委員会】
 県対委員会は、岐阜県議会議員の方々へ岐阜の保育現場の現状を伝え、理解を図るための研修を行う委員会です。
 子どもや親が安心して生活するための支援は保育園・認定こども園でも重要な役割ですが、そこには議員の方々の保育・教育に関する理解が必須だと考えます。若手の青年部と議員の方々との意見の交流が、岐阜に暮らす子育て世代が住みやすい環境に少しでもつながるように研修を企画・開催しています。
【定期例会】
 定期例会は総会を含め、年間5回ほど開催しています。青年部の事業計画や事業報告、研修計画や企画検討はもちろんですが、青年部員同士の情報交換も大事にしています。
【保育団体研修会】
 全国私立保育連盟・日本保育協会・全国認定こども園協会の主催する研修会へ参加します。今の時代は情報が大切です。全国の研修に参加することは、自身の研鑽だけでなく、同じ志を持つ仲間との出会いにもつながります。若手だからこそ軽快に動くことができたり、柔軟なものの捉え方ができたりするので、積極的に呼びかけ、部員皆で参加することを心がけています。
【連盟活動と援助】
 本連盟では、青年部とは別に組織を構成する各部署において青年部の若手が活躍しています。特に、例年開催される本連盟と岐阜県が共催で行う「保育士になるためのJobフェア」は、青年部から選出の委員が県の職員と話し合いながら、岐阜県で働く保育士の就職説明会の充実につながるよう努めています。
 対象者も養成校の就職生だけではなく、県内の中学生・高校生・養成校在学生・潜在保育士を対象に、本連盟加盟園のブース、岐阜県の保育士・保育所支援センターによるブース、県内外の養成校ブースといった総合的な就職説明会となっています。参加者が退屈しないようなイベントや計画を企画していくことで、保育士不足に対しての対応策や課題と向き合う姿勢も培われています。


 第67回全国私立保育研究大会

4 飛騨高山大会へのお誘い
 2025年6月に第67回全国私立保育研究大会を、岐阜県・飛騨高山で開催します。“ニッポンのまんなかで「こどもまんなか」を語る ホイク・ド・ターケ・マルケ”をテーマに掲げました。
 一般的に、ある分野に溢れんばかりの情熱を傾けている人のことを、敬意を込めて「○○バカ」と言うことがありますが、岐阜言葉ではそれを「○○ドターケ」と言います。さらにそんな人がたくさんいる様子を「○○マルケ」と言いますので、まさに全国私立保育研究大会に受け継がれている雰囲気を岐阜流に表現しています。ニッポンのまんなかでの大会にふさわしく、いつも子どもたちのことで頭がいっぱいの仲間たちによる、「こどもまんなか」を語り合う場にしたいと考えています。なお、参加者は全国から 1,500人を予定しています。
 さまざまな課題が山積している現状ではありますが、飛騨高山大会が全国から集まった「保育ドターケ」による活気あふれる研究発表の場となり、その記憶が保育現場に深く共有されていくことを願っています。全国の皆様のご参加をお待ちしています。
(三宅弘教/岐阜県民間保育園・認定こども園連盟青年部部長)


 第65回全国私立保育研究大会・徳島大会にて(2023年6月)

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2024.12.05

滋賀県私立保育園連盟青年部の紹介

1 滋賀県の魅力
 滋賀県は、豊かな自然と文化、魅力的な歴史を持つ地域です。また交通の要所として古くから経済や文化が発展した地でもあり、史跡や歴史を感じる情緒のある街並みが数多く残っています。
■琵琶湖
 県土面積の 1/6 もの大きさを誇る、日本最大の湖である琵琶湖は滋賀県のシンボル的存在です。湖畔ではアウトドアやウォータースポーツが盛んで、湖の周りにはサイクルロードが整備されています。自転車などで琵琶湖一周することを「ビワイチ」と言い、距離は 200km 程度あります。
 ちなみに、琵琶湖は河川法上、一級水系「淀川水系」に属する一級河川で、法律上の名称は「一級河川琵琶湖」となっています。
■世界遺産・国宝
 世界文化遺産に登録されている延暦寺とは、比叡山の山内にある1700haの境内地(けいだいち)に点在する100ほどのお堂の総称。延暦寺発祥の中心地である「東塔(とうどう)」 と「西塔(さいとう)」「横川(よかわ)」の3つに区分され、それぞれに本堂があります。
 滋賀県にある国宝の指定件数は 22 件で、延暦寺、日吉大社、石山寺、三井寺、彦根城など観光スポットとして人気があります。彦根城は世界遺産登録を目指していますので、今のうち(混雑する前)に観光に来ていただけたらと思います。

2 青年部の概要
 青年部は滋賀県私立保育園連盟の理事会専門部の 1つに属しています。令和4年度までは、理事1名が代表として、全私保連青年会議の幹事会に参加し、滋賀県私保連の理事会で報告するという状況で、県内では特に活動はしていませんでした。しかし令和 5年度、滋賀県私保連の副会長から「滋賀県の青年部を盛り上げたい、活動を活発にしたい」との声をいただき、部員の募集、部会の開催等活動を開始しました。
 事務局を中心に10名ほどが集まり、令和5年10月に、第1回目の青年部会を開催しました。その後は定期的(年2、3回)に部会として集まり、各園の近況報告や情報交換をしています。

3 初の青年部会(カヤック体験)
 まずは親睦を深めるためにもレクリエーション的なものをと考え、検討したのがアウトドア研修でした。キャンプをしながらチームのあり方を再構築するといった内容でしたが、依頼した運営会社が関東にあり、打ち合わせもリモート。場所の設定や機材の用意等が難しく、極め付けは費用がかなりの高額になるとのことで見送ることにしました。
 次に目をつけたのが琵琶湖。滋賀県ならではの資源を活用しない手はない、琵琶湖でできることはないかと検討したのがカヤック体験でした。湖西にあるBSCウォータースポーツセンターは企業・団体向け研修でも実績があり、担当者と打ち合わせや現地確認などを行い、無事開催することができました。参加した先生の中で副部長を担っていただける方が見つかり、次回はキャンプ(野外活動)などもしたいとの話になり、盛り上がりを感じました。

4 今年度の青年部会(アウトドア研修)
 副部長を中心に前回話に出た内容を検討し、今年度(令和6年度)の11月にアウトドア研修を開催することになり、打ち合わせを重ねています。
 前年度検討したアウトドア研修とは違い、運営会社に頼らず、自分たちで場所、機材などを用意することでコストも抑え、タープ張りや焚き火の火付け、竹でご飯を炊くなど、少し変わった体験も取り入れて、青年部の親睦やチームビルディング(組織開発の手法)の向上を目指す内容となっています。

5 青年部の今後について
 立ち上げて2年間は親睦やチームビルディングの向上を主として活動してきましたが、今後は園運営に役立つ、かつ青年部ならではの研修を部員の先生方と検討していきたいと考えています。また、近況報告や情報交換などの部会も定期的に開催し、悩みの共有、解消の一助となる集まりができればと思っています。
 まだまだ部員も少なく、活動も限定的ですが、部員を増やし、他県の青年部の活動も参考にしながら滋賀県の保育界を盛り上げていきたいと思います。
(参上崇史/滋賀県私立保育園連盟青年部)


  琵琶湖で、初の青年部会(カヤック体験)

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2024.11.05

第43回全私保連青年会議 東京大会 開催報告

「CORE~こどもたち、ど真ん中~」をテーマに、9月5日~6日の2日間、東京都新宿区の京王プラザホテル(メイン会場)と新宿NSビル(分科会会場)にて、青年会議東京大会を開催しました。

■ 第1日目
オープニングアクト・開会式・情勢報告・分科会・情報交換会

〈オープニングアクト〉
 今大会では、「変化する東京文化」というテーマでアトラクションを計画しました。オープニングでは江戸東京の古(いにしえ)の曲芸、丸一仙翁社中(まるいちせんおうしゃちゅう)による『江戸太神楽(えどだいかぐら)』をお招きしました。太神楽の起源は平安時代まで遡る伝統的な曲芸で、東京都の無形民俗文化財に指定されています。

〈開会式〉
 東京大会の高根沢康浩・副実行委員長による開会宣言で開会式が始まり、伊﨑秀之・実行委員長から開催地挨拶、川下勝利・全私保連会長と伊藤悟・青年会議会長から主催者挨拶がなされました。来賓祝辞では、小池百合子・東京都知事より、ビデオメッセージをいただきました。

〈情勢報告〉
 開会式に続き、齊藤勝・全私保連常務理事より情勢報告をいただきました。

〈分科会〉
 情勢報告の後、会場を新宿NSビルに移し、全7分科会を開催しました。当初設定していた定員数を上回る参加をいただき、分科会会場のレイアウトを変え定員拡張して、希望者を受け入れられるように準備しての実施となりました。どの分科会も好評をいただきました。
 より多くの保育者に学びを共有できるように、第1・2・3分科会の講師の皆様に前撮りで研修動画の協力をいただきました。大会後も研修申込みを多数いただいています。

【第1分科会】応募数232名
共主体の保育時代のリスペクト型マネジメント
大豆生田啓友氏(玉川大学教授)
(ファシリテーター)
曽木書代氏(東京都民間保育協会理事及び事務局長、陽だまりの丘保育園・ひなたの丘保育園統括園長)

【第2分科会】応募数129名
こどもの育つ力をサポートするうえで大切なこと
井桁容子氏(保育の根っこを考える会主宰、保育SoWラボ代表、非営利団体コドモノミカタ代表理事)

【第3分科会】応募数128名
こどもがキラキラ輝く保育環境
細田直哉氏(国立市幼児教育センター所長)
志賀口大輔氏(なごみこども園園長)
新保雄希氏(日本保育協会青年部部長、泉の台幼稚舎園長)

【第4分科会】応募数77名
こどもにとって最高のおもちゃ
多田千尋氏(認定NPO法人芸術と遊び創造協会理事長、東京おもちゃ美術館館長)
(ファシリテーター)
齊藤真弓氏(社会福祉法人清遊の家理事長、うらら保育園園長、保育ファシリテーション実践研究会代表)

【第5分科会】応募数44名
こどもの笑顔を作るための安心安全
寺町東子氏(東京きぼう法律事務所弁護士)

【第6分科会】応募数35名
多様な性ってなんだろう?-SOG-インクルーシブな環境づくり
小川奈津己氏(認定特定非営利活動法人りびっと教育事業部スーパーバイザー)

【第7分科会】応募数80名
未来の保育園・こども園の展望
横山和明氏(社会福祉法人協愛福祉会理事長、全私保連青年会議前会長)
松山圭一郎氏(社会福祉法人山ゆり会 まつやま保育園グループ法人本部長)
帯田英児氏(川内すわこども園SECOND園長)
片山雄基氏(社会福祉法人種の会理事長、幼保連携型認定こども園はっとこども園園長)

〈情報交換会〉
 分科会の後は、会場を再び京王プラザホテルに戻し、情報交換会が開催されました。
実行委員でもあるお笑い芸人「めしあがれ」の前座から始まり、アトラクションとして『アイドル』と『クラシック』を融合させた「アイオケ」によるパフォーマンスが行われました。次回開催の全国私立保育研究大会・飛騨高山大会の実行委員会、青年会議全国大会・奄美大会の実行委員会の皆様にPR等を行っていただき、とても賑やかな情報交換会となりました。

■ 第2日目
 行政説明・記念講演・閉会式
〈行政説明〉
 こども家庭庁保育政策課    教育・保育専門官・馬場耕一郎氏に、行政説明をいただきました。
〈記念講演〉
COREを支える大人たち―こどもたちど真ん中へ
 汐見稔幸氏(東京大学名誉教授)と、つるの剛士氏(俳優・タレント)による記念講演を行っていただきました。

〈閉会式〉
 伊﨑・東京大会実行委員長、山﨑竜二・青年会議副会長、次期開催地・奄美大会の友岡善信・実行委員長にそれぞれ挨拶をいただき、舘盛人・大会副実行委員長による閉会宣言で、2日間のプログラムに幕が降ろされました。
***
 青年会議全国大会を東京で開催することが決定してから、(一社)東京都民間保育協会青年委員会を中心に実行委員会を組織し、約2年をかけて準備をしてきました。大会準備を通して青年委員会活動もより活発となり、仲間との絆もより固くすることができました。そして、多くの皆様に協力をいただきながら、東京大会を無事に実施できたことを何よりも嬉しく思います。
 次回の奄美大会も友岡・実行委員長を中心に志高く準備をされています。次回の奄美大会が盛大に開催されますことを願っています。
記録的な猛暑と、前週に襲来した台風など、不安定な天気も心配されました。しかし、会期中も日差しは強いものの秋を感じさせる快晴で、約800名の参加者も大きな事故やトラブルもなく、成功裡に終えることができました。この度、第43回全私保連青年会議 東京大会にご協力いただいた関係各位の皆様に、深く御礼申し上げます。
(東京大会実行委員会委員一同)

 ●開会式

 ●江戸太神楽

 ●分科会のひとこま

 ●汐見稔幸氏

 ●つるの剛士氏

 ●閉会式を終えて

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2024.11.05

第1回全私保連青年会議・日本保育協会青年部合同研修会 in 金沢

 2024年、元旦。希望に満ち溢れた1日であるべき新しい年の始まりに、石川県能登地方を襲った大規模地震。この突然の災害によって、多くの方々がかけがえのない生活や大切なものを失い、日本中は悲しみに包まれました。能登半島という地形や建築資材の高騰、人手不足など、さまざまな要因が絡み、復興に向けた道のりはまだまだ長く、険しいものとなっています。
 少しでも、被災された方々の力になれないか。そんな思いが、私たち全私保連青年会議の中にもありました。そして、考えもまとまらないまま、日本保育協会・新保雄希青年部長に連絡をしました。じつは震災が起こるずっと前から、「来年度になったら、二団体合同で研修会を開催しましょう」という話が上がっており、開催場所は新保部長の地元、石川県ということで計画を進めていました。その研修を、チャリティー研修として開催したいという提案は、日保協青年部の皆様も喜んで受け入れてくれ、また、初めての試みにもかかわらず、全私保連も賛成、応援していただきました。そして7月29日に、全私保連青年会議と日保協青年部との初めての合同研修会が金沢市で開催することが決定しました。テーマは「はじまりは石川から─がんばろう能登」。この研修の収益は必要経費を除いて、すべて『オールこども石川』に寄付することになりました。

 通常の研修とは異なる形にはなりましたが、内容はしっかりと学びのあるものにしなければならない、同時にチャリティー研修として、できるだけ多くの寄付を被災地に届けたい。そんな私たちの願いに共感し、二つ返事で講師を引き受けてくださったのは保育システム研究所所長の吉田正幸氏と、接客向上委員会&Peace 代表の石坂秀己氏でした。お二方とも大変お忙しい中、謝礼も受け取ることなく、金沢市アートホールまで講演に来てくださいました。
 当日、会場にはおよそ 150 名の参加者が集まってくださいました。所属する団体は違いますが、これからの保育をより良いものにするために、そして被災地の力になるために集まってくださった方々の熱気が、ホールいっぱいに広がっていました。
 開会式、まず全私保連の川下会長から、今回の企画に対しての、そして集まってくださった参加者への謝意が述べられました。さらに、第2回以降もこのような合同研修が開かれることを期待しているとのお言葉もいただき、身の引き締まる思いでした。また、全国私立保育連盟・日本保育協会・全国保育協議会の三団体で行った直近の予算要望の中でも、この震災復興に対して触れた旨が伝えられました。続いて、日保協石川県支部・櫻井定宗支部長から は、七尾市の惨状や、発災が正月であったがための苦労が話されました。復旧作業も未だ進行中で、復興に向けてはまだまだ程遠いながらも、地元の方々の頑張りや全国各地からの支援で、少しずつ、確実に前に進めていることへの感謝が示されました。

 「講演1・問われる保育の質と役割─保育界に起きている地殻変動」を担当してくださったのは、吉田正幸氏。さまざまな少子化対策を講じてきてはいるものの、少子化はさらに加速している現状や、10年、20年後の苦しい予測を国全体の問題として提起してくださいました。そして、そういった社会になっていく中での保育の役割や、貢献できる場所について、厳しくも可能性を感じることのできる未来を語ってくださいました。また、今まさに保育界で話題となっている「こども誰でも通園制度」についても、詳しい解説をいただきました。今年度と来年度が保育界にとって大きな転換期になることを改めて実感し、それに備えるために必要な情報を得ることのできた、大変学びのある講演でした。
 講演2は、全国私立保育研究大会の分科会などでも全私保連青年会議として度々お世話になっている、石坂秀己氏が担当してくださいました。氏自身がディズニーランドで長年働いて得た経験や学びから、良いとされる職場の条件や人材育成を考えるにあたり絶対に外してはいけないことなどを、具体例を交えながら、管理者から現場の保育士まで届くように、そして皆が納得できるように説明をしてくださいました。すぐにでも現場で活用できるエッセンスがふんだんに含まれた石坂氏の講義は、何度聞いても新鮮で、聞くたびにもっと職場の質は高められるという希望をもらえます。園の目標をシンプルにし、どの階層の職員であっても判断に迷わないようにすることは、今までもこれからも、変わらず大切にしていかなければと改めて感じました。
 閉会式では、新保青年部長から、あらためて石川県の現状や、発災直後に『オールこども石川』を立ち上げた経緯が伝えられました。そして、それを支えてくれた仲間への感謝が述べられると、会場は大きな拍手に包まれました。
 会終了後は、場所を移動し情報交換会が開かれました。定員一杯、約100名が集まり、各々の保育や地域の課題、研修のあり方などについて語り合っている様子が印象的でした。そこに団体の違いなどは微塵も感じられませんでした。また、会の途中では日保協・日吉輝幸元青年部長(石川県穴水町)から、今回の合同研修に対してのお褒めの言葉や、今後の活動へのエールをいただきました。本当にありがたいお話で、涙している方もいたほどでした。
 今回、このような研修を企画させていただき、無事に終えることができたのも、被災地に思いを馳せて、私たちの声に賛同してくださった皆様のおかげです。この震災を忘れることは難しいかもしれません。しかし、乗り越えることは、きっとできると信じています。今回集まってくださった方々以外にも日本中に仲間がいます。私たち青年会議にもできることがあれば、今後も協力させていただきたいと思います。保育を通じて、明るい未来をつくっていけるよう、今後も頑張って参ります。
「NOTO,NOT ALONE 能登は、ひとりじゃない」
(伊藤 悟/全私保連青年会議会長)


 新保雄希・ 日保協青年部部長


 吉田正幸・ 保育システム研究所所長


 石坂秀己・接客向上委員会&Peace 代表


 伊藤 悟・全私保連青年会議会長

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2024.10.07

福井県保育同友会青年部の紹介

1 福井県の魅力
■魅力その①
 福井県は海や山に囲まれた自然豊かな環境で、東尋坊(とうじんぼう) や三方五湖(みかたごこ)などの景勝地が有名です。また、平均寿命や子どもの学力などさまざまな分野では日本のトップクラスで、日本総合研究所が発表した「全 47都道府県幸福度ランキング」では、2014年版~2022年版まで5回連続で日本一に輝いています。さらに、昨年3月には北陸新幹線が福井県の敦賀(つるが)まで延線し、観光地としても注目されています。
■魅力その②
 日本最大の恐竜化石発掘現場がある勝山市の「福井県立恐竜博物館」は世界三大恐竜博物館に数えられ、多くの恐竜ファンが訪れる人気スポットです。日本で発掘された恐竜の化石のうち約8割が福井県で発見されているため、福井県は恐竜王国と呼ばれています。新種の恐竜の化石が発見され、「フクイサウルス」「フクイラプトル」「フクイベナートル」など「フクイ」と名のつく恐竜が多数います。
■魅力その③
 世界三大眼鏡生産地の一つで日本製の眼鏡フレームの約95%を生産している鯖江市。その生産が始まったきっかけは今から100年以上前のことです。農業以外に産業がなく、冬は雪深い暮らしを向上させるため、「国産のめがねの祖」と言われる増永五左衛門(ますなが ござえもん)が大阪から職人を招き、農家の副業として広めました。1981年には世界初の軽くて丈夫なチタン製眼鏡の開発・生産に成功。高品質の鯖江の眼鏡は世界から注目を集めています。今、皆さんがかけている眼鏡も、もしかすると鯖江産かも……。

2 福井県青年部の紹介
 1984年に福井県青年部が発足して今年で40年。コロナ渦に世代交代を行い、青年部員は現在20名で活動しています。発足当時は片手で数えられる程の青年部員だったと聞いています。その頃から比べると人数も増え、さまざまな勉強会や活動を行えるような規模の部員数になりました。これも40年間脈々と受け継がれてきた先輩・OB青年部員の先生方のご尽力あっての今だと感じています。
 コロナ渦で活動が制限されていましたが、青年部員同士の情報交換はさまざまな形で行ってきて、5類感染症移行後もスムーズに活動の再開が行えていると感じています。コロナ渦を経て、逆に部員同士のつながりはより強くなっていると思われます。

3 青年部活動の紹介
■輪読会の開催
 新しい試みとして、今年から始めた活動です。参加者が車座になり、『保育の変革期を乗り切る園長の仕事術』(田澤里喜・若月芳浩編著、中央法規出版)を読み合わせしていきます。年4回を基本に、最終回は講師を招いての振り返りを考えています。
 園長は、さまざまな場面で判断を求められる運営の責任者です。そのため、ある意味孤独だったり、園長だからこその悩みやストレスを抱えたりしている先生は多いと思います。そういった立場の者同士が悩みを共有したり、アドバイスをしたり、またアドバイスをもらったりと、テキストの学びもありながら、それぞれの園の取り組みを知ったり、園長としての心構えを改めて認識したりと自分を見つめ直す貴重な時間になっていると思われます。
 7月に初回が終わりましたが、青年部に加えて女性部の先生方にも参加をいただいての開催となり、楽しく、いろいろな学びを得る機会となりました。
■石川県青年部との交流研修会の開催・初の女性部との合同研修会
 同じ北陸の隣県で、これまでにも何回か交流研修会を行ってきました。久しぶりの交流研修会は、前回は石川県開催だったので今回は福井県開催としました。また今回は、初めての試みとして福井県民間保育連盟女性部との合同研修も兼ねた研修会となり、多くの女性部の先生方に参加いただきました。福井市の森田さくらこども園を会場に、前半は園見学、後半は女性部部長・石川県青年部部長・福井県青年部部長をパネリストにパネルディスカッションを行いました。少子化の影響を真面(まとも)に受けている地域も生じている昨今、今後はどのような園の運営が必要なのか、保護者に選ばれる園とは等々、国からの新情報も織り込みながら、目まぐるしい時代や社会の動きに対応していくためのエッセンスを学べた研修となりました。もちろん、その後は女性部の先生を交えた情報交換会もしっかり行いました。

4 福井県青年部としてこれから……
■一人一人の心構えとして
 コロナ渦の経験を得て、社会が変わり、コロナ渦前は当たり前にできていたことが今はできなくなったことも出てきました。逆にこれまで普通に行っていたことが、改めて考えるとおかしいのでは?ということも出てきました。当たり前を疑うよいきっかけとなりました。そのような時代の中、地域の中で求められているニーズをいち早くキャッチし、それに応えていくことが求められます。そうした中で、部員同士の横のつながりがこれからより一層大事になってきますし、自分のこと(自園のこと)を語れる関係性も大切にしていきたいと個人的には思っています。これからの福井県青年部の活動で大事にしていきたいことを挙げたいと思います。
■保育士のポジティブイメージを広めていく
 保育士不足が叫ばれている中、まだまだ保育士のネガティブなイメージのニュースが目につきますし、養成校でもなかなか学生が集まらないという現実があることは、青年部としても黙って見過ごしている訳にはいきません。ポジティブなイメージを青年部の活動を通して発信していきたいと思っています。青年部ならではの行動力をもって少しずつ進めていけるものだと思っています。
■青年部部員の発掘
 全国的に見ても、新部員が入らないという悩みをよく聞きますが、福井県でも同じくなかなか青年部部員が増えない状況にあります。保育に対して熱い思いをもっている人や管理者として同じ悩みを抱えている人を積極的に探して、そのような先生にはぜひ、青年部に入ってもらいたく思っています。
■他団体との交流
 今年度は女性部との合同研修会も実現できて、他団体との先生との研修や交流を行うことができているところです。研修の幅も広がっていきますし、青年部の活動を女性部の先生に知ってもらう機会にもなっています。これからも積極的に他団体との研修会や交流会を行っていきたいと思っています。
■青年部ならではの研修会の開催
 今年度は「輪読会「」石川県青年部との交流研修会」を行いましたが、これからはさまざまな視点をもって保育運営を考えないといけない時代です。青年部の行う研修は青年部一人一人から学びたいことや今気になっていることなどを挙げてもらい、研修内容を決めています。引き続き青年部部員の意向を聴きながら、ともに語り、さまざまなことを発信できる研修内容を今後も考えていきたいと思います。
(藤澤賢之/福井県保育同友会青年部)



 石川・福井交流研修会の様子(パネルディスカッション)


 石川・福井交流研修会の様子(園見学)

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2024.09.05

茨城県民間保育協議会青年部の紹介

1 青年部の概要
 青年部は、茨城県内の民間保育園・認定こども園から構築する茨城県民間保育協議会の内部組織として平成3(1991)年に発足しました。青年部員は、本協議会会員園に所属する50歳未満の青年保育者で構成され、令和6(2024)年4月時点で、53名の部員で活動しています。

2 青年部の活動内容
 青年部長・事務局を中心に主に5つの委員会活動を行っています。
① 広報委員会
 広報委員会は、青年部通信「礎」で青年部活動を発信し、広報活動を担っています。青年部通信「礎」は第1号が平成9(1997)年に発行され、今年は記念の第 50 号が発行されました。令和5(2023)年には、これまで発行したすべての「礎」をアーカイブし、茨城県民間保育協議会のホームページ上で誰でも閲覧できるシステムを構築しました。
② 調査研究委員会
 調査研究委員会は、保育園・認定こども園の運営など多岐にわたる分野において実態調査を行い、保育・教育の質の向上に寄与しています。
③ 研修委員会
 研修委員会は、青年部会員の資質・スキル向上を目的として各種研修会を開催しています。近年は、現場の保育士・保育教諭も積極的に参加できる研修を開催しています。
④ 部員交流委員会
 部員交流委員会は、主に青年部の活性化を図るための事業を実施し、部員間でタイムリーな情報交換・資質向上ができるように取り組んでいます。
⑤ 就活応援特別委員会
 就職活動をする学生・潜在保育士・無資格者への就労促進と県内施設とのマッチング事業などを行う「いばらき保育人材バンク【茨城県公式】」と協力体制を組み、その活動へ積極的な支援と協力を実施しています。

3 青年部主管の就職応援セミナーが茨城県との共同開催へ
 平成2(6 2014)年に、保育士養成校に在籍する学生の保育園就労の促進・潜在保育士の保育園就労の支援・保育士不足の解消を目的として、「第1回いばらき民間保育園就活応援セミナー」を青年部主管で開催しました(主催は茨城県民間保育協議会)。初回ながら約200名の参加者を集め、セミナーを通して採用につながる等の実績をあげることができました。
 初回以降、セミナー開催の度に反省と次回のアクションを検討しながら、第3回からは県央部(水戸市)と県南部(土浦市)の2か所での開催を試みました。県内の保育施設が、参加者に保育内容や職場環境を直接紹介し、その魅力を発信する個別ブース説明会出展も60園を超え、年間の参加者も250名を超えるほど盛大な催しになっていきました。
 第5回、第6回を迎えた平成29(2017)年、青年部内に「就活応援セミナー実行委員会」を設置すると、県内の保育施設の個別ブース出展応募も増え、養成校においても毎年必ず学校をあげて積極的に学生の参加をすすめていただけるほど、県内において認知されるものとなっていきました。個別ブース説明会以外にも、現場で活躍する現役保育士の話が聞けるパネルディスカッションや、講演会、ブース出展園による30秒PR 等、参加する学生や潜在保育士にとって、より学び・就職の手助けになるよう活動を続け、令和元(2019)年までに、合計10回のセミナーを開催しました。
 新型コロナウイルス感染症が感染拡大した令和2(2020)年は、現地開催を中止せざるを得ませんでしたが、代替として「就活応援情報 2022」という県内保育施設の紹介冊子を作成し、養成校の学生へ配布しました。
 令和3(2021)年、茨城県は県内の保育施設における保育士不足を解消するために「いばらき保育人材バンク」を設置し、就職の斡旋、保育士の復職の支援・
無資格者の保育士資格取得支援を行い、「日本一、子どもを産み育てやすい県」の実現に取り組み始めました。「いばらき保育人材バンク」の設置に際し、青年部では、県内の中高校生が保育施設・養成校の見学、現役保育士さんとの座談会を行うツアー企画「中高生バスツアー」へ添乗するなど、協力を進めていきました。
 そして、令和5(2023)年、これまで主管として就活応援セミナーを開催してきた青年部の経験・知識・蓄積を共同的に提供し、「いばらき保育人材バンク」と共催で「いばらき民間保育施設 就活応援セミナー」を開催することとなりました。
 令和6(2024)年も、土浦市・水戸市で7月・8月に「いばらき民間保育施設 就活応援セミナー 2024」を、今年度は新たな取り組みとして養成校と協働して、常磐大学(水戸市)を会場に開催することとなりました。青年部が一から築いてきた事業が茨城県にも認められ、共同開催となることは青年部の一員として非常に誇らしい気持ちです。今後どのように展開していくか楽しみです。

4 今後の展望
 変わりゆく時代・人口動態の中で、子どもたちへの大切な保育・教育の提供が安心して行わなければなりません。
茨城県民間保育協議会青年部は、部長を中心に「礎」(物事の基礎となるもの、これから先に進むのに変わらないもの)を大切にするため、ここまで青年部を築き上げてくれた先輩方への感謝を胸に、【覧古考新】の精神で邁進していく所存です。
(尾見泰延/茨城県民間保育協議会青年部)


就活応援セミナー(2015 年)講演会の様子


就活応援セミナー(2015 年)個別ブース説明会の様子


青年部の卒部式で


就活応援セミナー第 9・10 回(2019年)の様子
(青年部通信「礎」より)

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2024.08.05

岩手県私立保育連盟青年会の紹介

1  岩手県とは
①  場所
 本州の北に位置し、北海道に次いで2番目の広さを誇ります。2023年1月12日にアメリカの The New York Times(ニューヨーク・タイムズ)が「52 Places to Go in 2023(2023年に行くべき52か所)」を発表し、イギリスの首都ロンドンに続く2番目に盛岡市が紹介されました!盛岡市は岩手の県庁所在地であり、「歩いて回れる宝石的スポット」と高評価を得て、東京から新幹線でおよそ2時間で気軽に行けるところです。
②  グルメ
 三陸産の海の幸が豊富にあり、「牛乳瓶を使った雲丹(うに)の瓶詰」などが有名です。また、「冷麺」「わんこそば」「じゃじゃ麺」といった3大麺や、前沢牛、50種以上の具材から選んで作る福田パン、個性溢れるコーヒー喫茶店などなど、食のメリーゴーランドとも言えるグルメがたくさんあります!
③  自然と歴史
 県内には、安比高原スキー場や岩手公園、八幡平温泉郷、久慈琥珀、リアス式海岸など数々の見どころがあります。角塚古墳や平泉遺跡群、藤原三代を祀る寺など歴史文化に触れることのできるスポットも数多く存在し、日本最古の遺跡と言われる金取遺跡もあるので歴史好きな人には堪りません。

2  岩手県青年会の概要
 岩手県私立保育連盟青年会は2015(平成27)年に発足し、会員8名からスタートしました。規定年齢や後任不足により2021(令和3)年には3名と減少しましたが、現在では13名もの同志が集まっています。少しずつ力を伸ばし、岩手県全体を盛り上げ、これからの時代を担う子どもたちの夢や未来を支えていけるように活動をしています。

3  初めての研修会
 コロナ禍での制限により人と人との直接の関わりが激減し、コミュニケーションの希薄さや連携(交流)が思うようにできない日々が続きました。その後に制限が緩和され、落ち着きを取り戻してきたということもあり、岩手県青年会として初めての研修会を執り行いたいという気持ちと、岩手県全体を活性化していきたい想いから、青年会としてできることは何か、青年らしさとは、を常に自問し、Zoomを活用しての参加だけではなく、より実践的な学びと交流を行うことができ、現場に生かしていけることはできないか、チーム内で協議しました。そして初めて行う研修会を、年度始めで忙しい時期でしたが、4月20日(土)に開催することができました。
 当日は、体操教室の外部講師を招き、「子どもの行動理解と支援」と題して行いました。
 前半の講義(知識)では、子どもたちが示す運動面のつまずき(①姿勢が悪い子ども・②身のこなしが悪い子ども・③協調運動が不器用な子ども)、つまずきの背景と援助の考え方について理解を深め、知識を学びました。後半の実技(知識の実践)では、人が社会の中で生きていくうえで必要なさまざまな適応能力、体を自分の思うままに動かすことや、姿勢を保つ、バランスをとる、手を巧みに使いこなすなど、これらの発達を促す活動(持続的な筋収縮・バランス・身体図式・両側協応・シークエンス)をマット、鉄棒、跳び箱、縄、ボール、用具の運動遊びを通じて体感することで、前半で得た知識をより洗練した形で得ることができました。
 参加者からは「運動会に向けた活動の中での遊具の使い方に、新たな発見を知ることができた」「うまくできない子どもに対して、体の使い方や遊具に対するステップアップを具体的に知ることができた」など、好評をいただきました。
 年度が始まったばかりの土曜日開催、初めて行われる研修会ということもあり、参加者が集まらないのではとの懸念がありましたが、岩手県全域から約 70名が集まっての開催となり、今後の活動に弾みをつける良き研修会となりました。

4  北海道・東北ブロック会の開催
 6月27日、北海道・東北ブロック会(北海道、秋田県、山形県)と全私保連青年会議の伊藤会長にもお越しいただき、「2024年1月1日に起こった能登半島地震を振り返り、東日本大震災から13年『あの頃と今、そして未来への備え』」と題して、岩手県宮古市にある「認定こども園 あかまえこども園」での視察研修、および岩手県青年会メンバーとの交流を深める親睦会を開催しました。
 視察研修では、あかまえこども園園長の小関憲一先生より当時の被災地状況の写真や災害発生時の映像等を見せていただき、13年という年月が経過していますが、今なお忘れることのできない大きな衝撃のシーンでした。地震の発生時、当時の保育園での避難状況、東日本大震災を経験したことで役立った事案、これから起こるかもしれない災害に対する対策や備えについて、さらに、災害で学んだ教訓、これから発生するかもしれない災害に対しての心構えを教えていただきました。

5  岩手県青年会のこれから
 私たち青年会は「青年会だからできることとは?」
「青年らしさとは?」を常に念頭におき、私たちができること、私たちにしかできないことを考え、次世代につなげていき、研修会や勉強会、情報交換会などさまざまな経験を通して、日々成長していきます。また、初めての研修会は垣根を超えた岩手県全体で開催できました。私保連だけではなく日保協、全保協の他、養成校などを巻き込み、岩手に根付いた取り組みを行い、岩手にいる子どもたちが明るく、楽しく、安心して過ごせる環境を目指し、保育環境の向上を図っていけるよう活動していきます。
 多様化する現代において、さまざまな変化に対応していく必要性がある中で、私たち青年会は国の政策をただ受け入れるのではなく、それらに関する知識や情報共有を行い、今ある問題に対して声を上げ、互いに意見を出し合い行動していくことが大切だと思います。また、現場だけではなく法人運営などのハードの部分においても幅広い分野に目を向け、会員それぞれが切磋琢磨し、縦横のつながりをより強靭なものとしていきます。
 岩手県は本州一面積が広く、距離があることや、メンバーの半数以上が現場職(保育職)ということもあり、すべてのメンバーが揃って直接顔を合わせて交流する機会は少ない状態ではありますが、保育に対する想いは一つ!全力で活動していきたいと思っていますので、よろしくお願いします。

 
(福島大輔/岩手県私立保育連盟青年会議長、かがの保育園副園長)

 
初めて開催した研修会「子どもの行動理解と支援」の様子


 

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2024.07.05

全私保連青年会議 令和6年度第1回幹事会報告

 4月23日、令和6年度第1回幹事会が東京・全国保育会館にて、オンラインとのハイブリッド形式で開催され、令和6年度の取り組みに向けて意見を交わし合う有意義な時間となりました(現地出席 28名・オンライン4名・委任状4名、計 36 名)。
 最初に伊藤青年会議会長から、「1年を振り返り感謝しかない。今後もより良い青年会議になるように向上心を持って皆様の力を借りながら取り組んでいきたい。新しい取り組みとして日保協青年部との合同研修会を金沢市で開催し、併せてチャリティーを行い、能登半島地震災害支援に協力していきたい。本日は活発な意見交換を行っていただきたい」と開会の挨拶がなされた。続いて青年会議担当 菊地全私保連副会長から、「私も14・5年前に卒業し、当時の雰囲気をそのままに感じられ嬉しく思う。幹事会では活発な意見を交わし、情報交換会では絆を深めていただきたい」とのお言葉をいただきました。

◆審議事項
第1号議案 令和5年度事業報告(案)および予算執行状況報告( 案)

①  企画部
・第 17 回特別セミナー(令和6年2月 15・16日、於:東京・浅草ビューホテル、参加者:152 名)
 基調講演 記念対談:保育業界の次代を多角的な目から切り拓く
 パネルディスカッション:生き残るために、変革の時は今
情勢報告
講演:マーケティング~VOCを力に~
②  研修部
・視察研修
 多様な保育・経営を学び、今後の法人および施設運営について知識の向上を図ることを目的に、沖縄県・若松保育園で研修部会開催と視察研修を行う。
・第 65 回全国私立保育研究大会・徳島大会
 第14分科会:ディズニーに学ぶ~これからの時代に求められる組織の人材育成~(講師:石坂秀己氏[接客向上委員会&Peace 代表])
 ワークを通じて「笑顔の作り方」などを体験し、されて嬉しいことと価値を下げる言動の違いなどを学び、改めてコミュニケーションの大切さを実感する機会となった。
・青年会議幹事研修会の開催(年度2回開催)
③  調査研究部
 全国青年部組織交流事業と全国大会開催候補地視察を目的に、山形県民間立保育協議会青年部との交流研修を行う。青年部組織がない地域もあり、まずは交流事業や全国大会を通じて交流を図り、青年部活動の意義を周知していきたいと考えている。
④  広報部
 部会で令和5年度計画の進捗状況の確認、新たな PR 動画作成などを行い、情報発信にも力を入れた。
・全私保連「保育通信」に「青年会議掲示板」を掲載(全 12 回)。
・インターネットを活用した情報発信として、HPあおむし通信への掲載(全 12 回)。
⑤  総務部
 さまざまな事務的な対応や研修会の共同開催などを行った。また全国対応の事前協議会や WEB 会議の実施など、幅広い活動を展開した。
・役員会(9回開催、WEB 併用)
・幹事会(5回開催、WEB 併用)
・広島大会事前協議会(令和5年4月 14 日)
⑥  第 42 回全私保連青年会議 広島大会
・令和5年 11 月1・2日、於:広島国際会議場ほか、参加者:549 名、テーマ:こどもたちと平和な未来を~そりゃあ 平和が一番じゃろぉ~

【令和5年度青年会議活動を振り返って】
 新型コロナの収束に伴い日常が戻り始めた令和5年度のはじめに、全私保連青年会議は新体制で活動を開始しました。最初の幹事会では自らに求められることやできることを考え、向かうべき方向性を確認しました。その後の情報交換や部会ではメンバー同士の距離が縮まり、活発に議論が行われました。6月に徳島市で行われた全国私立保育研究大会では、青年会議も分科会を担当し、人材育成をテーマにした研修は大成功に終わりました。
 また11月に開催した青年会議広島大会では、平和をテーマにプログラムを企画し、広島開催ならではの経験やそこでしか味わえない感動を共有しました。広島出身の講師や被爆体験者の講演により、平和の大切さを改めて認識しました。さらに2月には青年会議特別セミナーを開催し、少子化や激動の時代に対応するための研修を行いました。
 今後も青年らしさを前面に出したさまざまな活動を展開し、「こどもまんなか社会」の実現に向けて尽力していきます。

第2号議案 第43回全私保連青年会議 東京大会
・東京大会実行委員長より、収支予算、開催要綱、会場の視察や報告会の実施、受付のメンテナンスやホームページの更新など、進捗状況が報告された。
・東京大会分科会の動画を販売することの協議が追加され、参加者が園に持ち帰っていただけるように講師の方々のご協力の下、実現したと報告された。

第3号議案 第44回全私保連青年会議 奄美大会
・奄美大会趣旨文とチラシデザインについて説明された。チラシは、島の伝統的なデザインと大島紬の柄を背景に作成される。

第4号議案 第45回全私保連青年会議 大会開催地 
 
岩手県(北海道・東北ブロック)での開催の提案 があった。提案は賛成多数で承認され(岩手県では初開催)、全私保連常任理事会へ上程される。

第5号議案 日本保育協会青年部との合同研修会
・7月29日に第1回全私保連青年会議・日保協青年部合同研修会を行うことについて、概要と収支予算が説明された。
テーマ:はじまりは石川から~がんばろう能登~
講演1:保育システム研究所代表・吉田正幸氏
 問われる“保育”の質と役割─これからのキーワードは貢献と魅力
講演2:接客向上委員会&Peace 代表・石坂秀己氏
 ディズニーランドが教えてくれたみんなが笑顔で働ける習慣
・この研修会の収益は必要経費を除く全額を「オールこども石川」へ寄付する。1日も早い復興のため私たちに今できることを考えたと説明がなされた。
・全私保連事務局から募集メールを地域組織事務局へ送り、加盟施設へ周知。同時に幹事会から青年会議会員園へメールを送り、参加を広く呼びかける。

第6号議案 その他
*すべての審議事項については協議・審議がなされ、全会一致で可決されました。

 続いて報告事項(特別セミナー決算、選考委員会について[令和7年度の改選期に向けて、各ブロックから代表を選出し選考委員会を立ち上げる必要がある]、各都道府県・各ブロック報告[幹事交代、活動PR等]、各部会報告、その他)について説明され、その後、交代となった旧幹事より挨拶と、新幹事より所信表明がされました。
 議案審議では、東京大会・奄美大会・日保協青年部合同研修会について意見が飛び交い、皆で大会の成功をという強い思いを感じました。特に新企画の日保協青年部との合同研修会は、「私たちに今できることは」と考えた青年会議らしい企画であると感じました。今後もさまざまな会議や研修会を通じて情報共有・研鑽を図り、厳しい社会情勢下で私たちの役割を考え、責務を果たしていきたいと思います。
 最後に、共に学び成長できる喜びを改めて感じた時間となりました。今後も青年会議の諸活動にご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
(岩倉善光/全私保連青年会議広報部)
 令和6年度第1回幹事会の様子
 

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2024.05.08

全私保連青年会議
令和5年度の振り返りとこれから

 新型コロナウイルスも収束し、ようやく日常を取り戻し始めた令和5年度の始まりとともに、我々全私保連青年会議は新体制として動き出しました。4月に開庁されたこども家庭庁と、同時に施行されたこども基本法が、現在の日本における子ども・子育ての重要性を表しています。このような時期に、このような組織で活動できることは、楽しみでもありながら、身の引き締まる思いです。
 前年度まで、会長として長い間青年会議を牽引してくれた横山先生(宮崎県)、企画部長の松山先生(茨城県)、広報部長の帯田先生(鹿児島県)、総務部長の遠藤先生(岩手県)の役員4名は次のステージに進まれ、その他複数、各地域組織の幹事が交代するなど顔ぶれは大きく変わりました。これまで青年会議に多くの功績を残してきた方々がいなくなってしまったことに大きな寂しさを感じながら、それよりもっと大きな感謝の気持ちで一杯になったことを鮮明に覚えています。お世話になった皆様に、この場を借りてお礼申し上げます。本当にありがとうございました。
 さて、前述の通り、経験や実績を持った方々がたくさん抜けてしまった青年会議ですが、5月に行われた新体制としての初回の幹事会では、独特の雰囲気と緊張感の中、新たな役員、幹事たちと、自分たちには何が求められ、何ができるかを考えていくこと、そして時代にあった青年会議を創っていきたいという思いを共有しました。その後の情報交換会、そして各部会の中では皆の距離も徐々に縮まり、活発に熱く話し合う場面を見ることができました。

■主な活動の振り返り
 まず、6月に徳島で行われた第65回全国私立保育研究大会。今回も青年会議(研修部)で分科会を1つ担当することになりました。コロナ禍で大きく変わった外部研修、園内研修のあり方、またそこで得たものをどのように園の中に浸透させていくかに焦点を当てた時、職場の人間関係や空気が大切で、どこまで行ってもやはり最後は「人」であろうと、人材育成をテーマに企画しました。講師には、ディズニーランドのアトラクション責任者やディズニーシーの立ち上げに携わるなどオリエンタルランドで長年活躍された、接客向上委員会&Peace 代表の石坂秀己氏をお招きしました。アイスブレイクで完全に会場は温まり、グループワーク中心でインタラクティブな研修は一瞬の眠気も誘わず、笑いあり、喜びあり、感動あり、そして何より翌日から実践できる具体性を持っていました。参加者満足度も、他のどの分科会にも劣っていないと確信できました。
 実際、「他の職員にも聞いてほしかった」「もう一度同じコンセプトで企画してほしい」との声を多数いただき、今年度6月開催の栃木大会でも同様の分科会を設定しました。さらにアップデートした研修になります。多くの方の参加をお待ちしています。そして我々にとって、令和5年度最大のイベント となった全私保連青年会議広島大会。前年度、新型コロナウイルスの影響が心配される中、見事大成功をおさめた愛知大会からバトンを渡され、11月1日は広島国際会議場、翌日はJMSアステールプラザにて開催しました。大会テーマは「こどもたちと平和な未来を~そりゃあ平和が一番じゃろぉ~」。広島ならではの想いと願いを全面に押し出し、ここでしか学べない、そして感じることのできない経験を参加者の皆様に提供すべく、準備を重ねました。
 大会初日の広島プログラムではバーゲル・ルミ氏による平和絵本の朗読、そして重野友歌氏による被爆ピアノ演奏を聴かせてもらいました。その後、平和記念公園・碑めぐりフィールドワークを行い、あらためて戦争の愚かさを痛感し、そんな未来を決して迎えてはならないという思いを再確認しました。分科会の講師陣も、広島都市学園大学准教授の二宮孝司氏、広島県三原市に本社を構える(株)八天堂代表の森光孝雅氏など、広島にゆかりのある方々を多数お招きし、明日からの保育を考える大きなヒントを得ることができました。
 大会2日目は、やはり広島出身、世界陸上トラック種目で日本人初のメダリストとなった為末大氏の記念講演から始まりました。ご自身の育てられ方や陸上競技を通じての経験から、自ら育とうとしている子どもたちにどのように関わればよいのか、子どもたちの未来をつくるために、大人はどのような問いを投げかければよいのかなど、世界のトップまで登り詰めた人間だからこそ語れるのであろう、大変貴重なお話を聞くことができました。さらに、昨年 5月開催のG7広島サミットにて被爆体験証言をした小倉桂子氏による講演も設けました。決して忘れてはいけない広島の歴史をかつてないほどリアルに知ることができました。同時に、自分たちだけが平和であればよいというわけではなく、世界の皆が全員の幸せを願うからこそ成し得るという言葉が、深く刺さりました。
実行委員長を務めてくれた龍山先生をはじめ、委員の皆様、当日の現地スタッフの皆様、その他多くの方々のご協力により、無事に大会を終えることができました。残念ながら、ロシアのウクライナ侵攻など、今も続いている世界中の衝突に胸を痛めながらも、平和を諦めない強い気持ちと、目の前の子どもたち、そして保育現場が戦争から一番遠い場所であってほしいという願いを共有し、真剣に子どもたちの未来を想って語り合う2日間を過ごすことができたと思っています。お忙しい中ご参加いただいた 550名の参加者の皆様に改めて感謝申し上げます。
 年明けの2月に東京・浅草ビューホテルで開催した第17回青年会議特別セミナーにも、定員150名を超える申し込みをいただきました。今回は前述の徳島大会や広島大会とはまったく違う、青年会議ならではの研修を企画しました。テーマは「激動の時代に突入した今、決断する準備はできているか。~変革の時は今~」。少子化が予想を遥かに超えるスピードで進む中、その現実に向き合い、10年後を見据えた視点を持って考え、自分たちは今、どこへ向かうべきか。世界ゆるスポーツ協会から代表理事の澤田智洋氏、ソニー・ミュージックレーベルズから梶望氏、NPO法人HOCARIから天田卓良氏など、保育とはまったく別の業界から講師を迎え、これからの時代に必要な新しい物事の見方や切り口を聞くことができ、園運営の大きなヒントを得ることができました。次年度も青年らしさを前面に出したセミナーを企画しますので、ぜひご参加ください。

■さらにブラッシュアップした青年会議に!
 ここまで、研修を中心に振り返ってきましたが、もちろん青年会議の活動はそれだけに止まりません。各部ごと、複数回にわたる部会の開催、視察、調査研究、広報活動など、ここには書ききれませんが、令和5年度もさまざまな活動を行いました。幹事の皆様は法人の理事長、園長であったりと、各々多忙な日々を過ごしている方ばかりです。そんな中にあっても、この青年会議のために時間を使い、力を貸してくれることを本当にありがたく思います。次年度は、この1年の経験を踏まえ、さらにブラッシュアップした青年会議にしていきたいと思います。引き続き、よろしくお願いします。
 最後に、常に青年会議を温かく見守り、背中を押してくださる川下会長をはじめ、役員の皆様に心から感謝申し上げます。これからも、「『こども真ん中社会』の実現」に向け、青年会議も尽力します。今後ともよろしくお願いいたします。
(伊藤 悟/全私保連青年会議会長)


  青年会議幹事会のメンバー  


  伊藤 悟 青年会議会長

 

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2024.04.05

全私保連 青年会議 特別セミナー報告

■ はじめに
 2024年2月15日~16日、第17回青年会議特別セミナーが2020年以来となる東京・浅草ビューホテルで開催されました。
「激動の時代に突入した今、決断する準備はできているか。~変革の時は今~」というテーマの下、153名の先生方にご参加いただき、無事に終えることができました。今回は、その様子を少しご紹介します。


 会場の様子

■ 1日目(2月15日)
【開会式】

 冒頭、青年会議・伊藤会長の挨拶において、「今まで通りの受け身の運営ではいけない。 社会の動向を見据えながら、今から自分が何をするのか」というメッセージが伝えられました。
 「激動」「決断」「変革」などのインパクトあるワードを取り入れた本セミナーのテーマからも、その覚悟が計り知れます。本セミナーの参加者もその覚悟の必要性について十分理解し、では今からどのように動いていくのかということを本気で考えているからこそ、この会場に集まったのだと思います。    

【基調講演・記念対談】
保育業界の次代を多角的な目から切り拓く
 講師:澤田智洋氏(世界ゆるスポーツ協会代表理事)
    梶望氏(ソニー・ミュージックレーベル)

 コピーライターとしての視点をもつ澤田氏、宣伝プロデューサーとしての視点をもつ梶氏の話は、私たち保育関係者の今後の事業運営において数々の示唆を与えてくれました。
 障害をもつ人に限らず、生活するうえで何らかの苦手や困難は誰にでも存在します。その困難を乗り越えるために、本人に訓練やリハビリを求め続けるような考え方から、苦手があっても過ごしやすい社会の構造や環境にしていくことにより、多くの人が過ごしやすい社会になっていきます。
 未発達の子や苦手がある子に訓練を求めるのではなく、その子が過ごしやすいように環境設定し、自分の力で乗り越えられるくらいの支援を常に心がけるのが保育者の役割であることを再認識させられた瞬間でした。    
 後半は、保育園マーケティングについての話を聞くことができました。私たちは、ただ単に園にとって有益だと思える情報を流し続けるのではなく、何の情報を、どのタイミングでどのように見せていくのかということを意識しなければいけないということがわかりました。

 基調講演・記念対談(右・澤田氏、左・梶氏)

【パネルディスカッション】        
生き残るために、変革の時は今
〈パネリスト〉
菊地政隆氏(学校法人 菊地学園理事長)
新保雄希氏(泉の台幼稚舎園長)
伊藤悟氏(このはな保育園園長)
〈コーディネーター〉
菊地幹氏(社会福祉法人 東京児童協会事務局次長)

 それぞれ異なる背景をもつ組織のトップ3名によるパネルディスカッションは、成功例はもちろん、失敗例や悩みも含まれており、参加者にとってはパネリストがとても身近に感じられました。
 課題を解決するために、また今に至るまでにどのような歩みと工夫があったのかということが話の中心となりましたが、総じて言えることは、パネリストの皆さんがスタッフのことをとても大切にしたうえで園運営を行っているということでした。「ES(従業員満足度)なしに CS(顧客満足度)なし」という言葉があるように、利用者(園児・保護者)を喜ばせるためには、まずはスタッフが仕事にやりがいと満足を感じ、充実した生活を送る必要があります。その事実を忘れないように、採用や育成に向き合っていかなければならないことを感じさせられました。


 パネルディスカッション(右から新保氏、伊藤氏、菊地氏)

■ 2日目(2月16日)
【情勢報告】
講師:齊藤勝氏(全私保連常務理事)

 「幼児期までのこどもの育ちに係る基本的なビジョン」「こども・子育て支援加速化プラン」その達成に向けた政策スケジュールなど、国における「こども政策」の推進について、併せて保育三団体協議会の取り組みとして予算要望、保育制度に対する要望等も報告されました。さらに、少子化に拍車がかかり、過疎地域を中心とした定員割れ等が危惧される中、不適切な保育の是正、ひいては保育の質向上のために子育て家庭の負担軽減や職員配置基準、公定価格の見直しについての要望が挙げられました。
 「こども誰でも通園制度(仮称)」の施策からわかる、国の子育て・保育への対応の変化を感じつつも、今後具体的にどのような制度になり、各保育施設にどのような対応が求められていくのか、大きな関心となり続けるでしょう。

【講演】
マーケティング~VOCを力に~
講師:天田卓良氏(NPO法人HOCARI理事)

 技術変化により顧客の声が集めやすくなり、社会変化により顧客が顧客の声を参考にする社会になりました。その点を考慮すれば、顧客の声に耳を傾け、顧客のニーズを把握することは今後選ばれる保育園となるために必要な努力と言えるでしょう。しかし、時として出てきた声をそのまま反映させるだけでは顧客のニーズに応えられないことがあり、私たちは表面的に上がった声の裏にある利用者の本音について推し量る力も同時に必要とされることがわかりました。その本音に迫る方法として、①矛盾を聞き出すこと、②例外を聞き出すこと、③財布の大きさを測ることについて教えてもらいました。
  保育園を選ぶのは子どもではなく大人です。その意味では利用者のニーズを優先した結果、子どもの最善の利益が損なわれるようなことは避けたいものです。しかし逆を言えば、子どもにとって影響がない範囲であれば保護者のニーズに目を向けていくことが求められる時代であるとも言えるのではないでしょうか。

 講演中の天田氏

■ おわりに
 本セミナーは、人口減少や親の働き方の変化に対する国の政策・動向を知るとともに、私たち保育従事者がどのようなスタンスで施設運営に携わっていくのかということについて熟考する機会を与えてくれました。
 これまで同様「子どもにとって何が幸せか」 について継続した検討が必要になるとともに、その子を養育する保護者や園で働くスタッフにとっても、何が幸せなのかということを考える必要があると改めて考えさせられました。子どもだけでなく、保護者にもスタッフにも幸せになってもらえる園になった時、その園は地域にとってなくてはならない存在になっているのだろうと感じました。
 今回の特別セミナーもたくさんのご参加をいただき、ありがとうございました。今後も青年会議らしく、新たなテーマについて検討し続けていきたいと思います。

 
(友岡善信/全私保連青年会議広報部副部長)