研究企画委員会
保育・子育て総合研究機構について
保育・子育て総合研究機構(以下「研究機構」)は、認可保育園が蓄積してきた乳幼児の育ちについての多くの知見のほか、関連する諸科学の研究成果等を活用し、中長期の視野に立って調査研究を行うことにより、保育事業の健全な発展及び広く児童の福祉の向上に寄与することを目的として平成17(2005)年に設置されました。研究機構の扱う研究テーマについて
下記のような研究テーマについて中長期の視野に立って取り組むため、研究企画委員会を組織して具体的な企画、運営を行っています。- 子ども、子育て家庭の実態、意識に関するもの
- 保育、子育て支援の理念と実践に関するもの
- 前号に係る組織及び運営に関するもの
- 前各号に係る国内外の諸制度、施策に関するもの
- その他、研究機構の目的に沿うと認められるもの
委託調査研究・研究成果報告書一覧
研究企画委員会で委託した調査研究の、研究成果報告書を掲載しております。
研究名をクリックしていただくと、該当箇所へ移動します。
研究成果報告書を読む一助になればと、研究企画委員で研究成果報告書を読む手掛かりを作成しました。よろしければ、あわせてご高覧ください。
令和5年度委託調査研究・研究成果報告書
令和3年度委託調査研究・研究成果報告書
令和元年度委託調査研究・研究成果報告書
平成30年度委託調査研究・研究成果報告書
平成29年度委託調査研究・研究成果報告書
ご意見・ご感想等ありましたらぜひ(公社)全国私立保育園連盟事務局(研究機構担当)まで、FAX(03-3865-3879)かメール(ans@zenshihoren.or.jp)にてお寄せください。(ご意見・ご感想、所属先等を書いてお送りください。)今後の研究機構事業の参考にさせていただきますので、何卒よろしくお願いいたします。
平成19年度実施調査
平成18年度実施調査
平成17年度実施調査
令和5年度委託調査研究・研究成果報告書 「ナショナル・カリキュラムに関する調査研究」
久保健太氏(大妻女子大学教員)、山本一成氏(滋賀大学准教授)、伊集守直氏(横浜国立大学教授)によるナショナル・カリキュラム研究チームでは、人口減少社会における保育についての研究を通して「全ての子どもが、将来にわたって幸福な生活を送ることができる社会の実現」(こども基本法)を目指す保育のビジョンを構築してきました。本冊子では、その中心となる、6つのキーワードを提唱します。
自分たちの手で 自分たちの暮らしをつくる
令和3年度委託調査研究・研究成果報告書 「Life(生活・人生・生命)を深める保育実践理論の探求」
山本一成氏は「保育のなかで出会った大切な出来事の意味を、もっと言葉にしたい。」と保育実践者を経て研究者の道を志された保育の同志であり、本研究テーマに最もふさわしい方といえるでしょう。その彼がプレゼントしてくれたのが「ひびく・まざる・わきだす」と研究題目の上に大きく書かれた言葉です。
子どもが「生き生きすること」とはどういうことでしょう。子どもも保育者も「生き生きとした生活」を送るためにはどんなことが必要でしょう。彼の問いかけがひびいてきます。日頃からご自身や仲間とともに保育を探求し、よりよい実践へ反映しようとされているみなさんにとって、ここで紹介する「生命のリズムの循環を保育の息づかいと考える新たな保育実践理論」は新鮮に映るかもしれません。ところがみなさんは、子どもが自分やともだち、保育者という「個の生命」のみならず、身近な生物から自然現象など「人間を超えた生命」たちと「生きているものどうしの想像力」はたらかせ、生命を重ねるそのそばで共に味わっておられるはずです。
「ひびく・まざる・わきだす」と、こころかろやかに読み進めていただきながら、親しみやすい言葉に秘められた大きな意味を感じとっていただけましたら嬉しく思います。巻末の保育所保育指針への提言も現場のライブ感を体験的にご存知のみなさんには納得の視点がふんだんに盛り込まれています。さらに、事例中の動画では、子どもたちと一成氏のかかわりの一端がご覧いただけます。
「ひびく・まざる・わきだす」を愛言葉に「Lifeを深める保育実践」が広がり、希望の未来を開く子どものLife(生活・人生・生命)がさまざまに深まりゆくことを願っています。
令和3年度委託調査研究・研究成果報告書 「『自由の主体』を形成する保育実践に関する現象学的研究」
山竹伸二氏は現象学の本質観取の手法を駆使してエピソード記述とインタビューを分析し、保育実践に体現された保育の本質的な意味に掘り下げています。その内容は研究の前半で示された「自由の主体」に関する氏の優れた研究成果と突合されており、保育関係者には自らも身に覚えのある保育の出来事が現象学によって明らかにされた保育の意味や価値を再認識することができ、その経験は長く保育者としての仕事を下支えしてくれるに違いありません。「Ⅲ.保育実践から考える子どもの自由」からお読み頂いても面白くお読みいただけると思います。
なお、本研究は著者の『「自由の主体」が育つための保育実践に関する調査研究』(2020)の継続研究です。
令和3年度委託調査研究・研究成果報告書 「子どもの最善の利益を考えた保育集団発達論」
集団の中で子どもたち個々の発達については様々な研究がなされてきましたが、その集団をどのように規制し管理するかという方法論の方にどうしても注目が集まっていたことは否めません。しかし、子どもたちが関係性の中で育ちあう「保育集団」についてはもっと研究する必要があります。教育においても子どもの主体性や対話が議論されるようになりましたが、川田氏の報告書にあるように直接的・具体的な人や環境との関わりが豊かに保障され、子どもを含む構成員のコミュニケーションによって物事が展開していく生活に視点を当てた研究の始まりです。このことについては第1部の理論研究で紹介し、第2部として調査研究を通してこれらの課題を分析し、最後に総括的な議論が展開されています。
「研究成果報告書」というと、その表現方法からして難しく捉えられてしまうかもしれませんが、川田氏の報告書は比較的読みやすく、なおかつこれからの保育を模索している園にとっては大変役立つものになっておりますので、できるだけ多くの方に読んで活用していただきたいと思っています。
令和3年度委託調査研究・研究成果報告書
「子どもと芸術」
「乳幼児の創造性への影響とその還元」共同体編・個体編
【個体編】は、共同体編と分かれ並走しています。個体編としては、人間と切っても切れない関係性である芸術・表現・創造・美・感性についての重要なポイントや、ひとりひとりの子どもと保育者がもつ感性や創造性を喚起するための支えについて明らかにするために、それぞれの言葉が起こしている混乱と意味を解きほぐし、芸術にまつわる事象を分類し、その可能性と留意点を洗い出すことを中心に行いました。
本研究で念頭に置いたことは「子どもと保育者の支えとなること」です。芸術・アートにまつわる事柄を扱いながらもただ、子どもに会うのがより楽しみになる、相手をも自分をもより生かす〔津守眞『子どもの世界をどうみるか 行為とその意味』NHKブックス 1987〕、そんな旅路が子どもと共にできる日常的な理論を目指しました。それが結果的に、芸術のよき理解者を増やし、芸術の時間を増やすことにもつながるのではと思っています。
齋藤紘良 社会福祉法人東香会理事長
トクマルシューゴ 音楽家
令和3年度委託調査研究・研究成果報告書 「ローカル・ガバナンスによる地域福祉に関する研究3」
久保氏の研究では、当初より研究者と保育者の往還的な研究を継続してきました。3期目の本研究では、往還を越えて研究チームに集まった大人たちが年齢、職種、専門性などさまざまな垣根を取り払い、子どもについて保育について共に記録し、考察し、議論を積み重ねてきました。それは、自分たちの保育を自分たちの手でつくるという民主的な組織運営の実験であったように思います。
研究チームによるエリク・H・エリクソンの人間関係の育ちの理論を使っての試行錯誤からは、保育者のありようや、保育者が育ち合うことができる組織づくりの可能性が見えてきました。豊かな「こどもまんなか保育」をつくるためには、さまざまな課題を乗り越え、豊かな保育者集団をつくっていくことが大切です。それは「こどもまんなか社会を実現しよう!」を掲げ、始動しているこども家庭庁の動きとも通じていくと思います。
令和元年度委託調査研究 「ローカル・ガバナンスによる地域福祉に関する調査研究2」
保育の実践を保育者だけのものにするのではなく、研究を研究者だけのものにするのではなく、一緒になって記述しようとする新たな試み。それは研究の中核にある「ローカル・ガバナンス」を研究のあり方そのもので体現しているようにも思えます。ぜひ報告書を開いて、この「ローカル・ガバナンス」の研究チームの記述に触れ、各々が感じたことを自分たちの保育をつくること、社会をつくることの役に立てていただけたらと願います。
平成30年度委託調査研究・研究成果報告書 「人口減少社会における保育を支える地方自治体のあり方に関する研究」
福祉に手厚いとされる北欧諸国、とりわけスウェーデンは大学院やリカレント教育も含め小学校からの学費が無償化されていることや、女性の就労率や投票率の高さなど何かと比較の対象に取り上げられることの多い国です。また、幼児期からの民主主義教育や子育て支援施策の充実も注目に値します。一方で、こうした施策を支えるための税負担が高いことへの批判もあるようですが、World Happiness Report(世界幸福度調査2023)を見ると、1位からフィンランド、デンマーク、アイスランド、イスラエル、ネザーランド(オランダ)、そして6位にスウェーデンがランキングされています。7位がノルウェーですから北欧5か国が7位以内、日本はというと47位でG7の中では最下位でした。高負担であっても、教育、住宅、老後のために資金を溜め込む必要のない暮らしが高い幸福感をもたらすことがこの調査から窺えます。
伊集氏もやはりスウェーデンと日本の保育・子育て施策を対比して論じていますが、単に結果の数値のみを比べるのではなく、スウェーデンに関しては1960年台からの歴史的変遷も踏まえた報告が綴られています。1990年台からの日本との比較では、その背景にある福祉や民主主義、男女平等などについての政治哲学にまで踏み込んだ論考になっています。
中央政府(国)と地方政府(地方自治体)の政府間行財政関係を中心にした子育て支援策と保育サービスの議論は、これからの人口減少社会における保育の在りようを考えるうえでの具体的な示唆に富んだ調査研究報告です。ぜひともご一読ください。
平成30年度委託調査研究・研究成果報告書 「『自由な主体』が育つための保育実践に関する調査研究」
山竹氏と共に「自由の主体」の視点を通して保育の日常を見つめ直した時、「あぁやっぱり保育っていいな」と幸福感に包まれた私がいました。きっと、保育の場に身を置いている人それぞれの心にそれぞれに響く何かがあると思います。多くの方にこの「『自由の主体』が育つための保育実践に関する調査研究」の報告書を読んでいただきたいと願い、読む手がかりを書かせていただきました。
平成29年度委託調査研究・研究成果報告書
久保氏は本報告の冒頭で、「自分たちの手で自分たちの社会をつくる」と民主主義の定義を述べ、子ども理解の多面性を訴えています。太田氏は明治初期からの保育の先駆的な思想と実践史を研究し、行政と共に自治的、共同的な段階へ進む重要性を語っています。松沢氏は近世日本における子育てを私的な家族の中に囲い込んだ近代家族的発想から、社会のあり方そのものの変革を考える重要性を示してくれました。大豆生田氏は行政との協同により、そのことを保育実践研究の中で示しています。
みなさまが研究成果報告書を読む一助になればと、研究企画委員で研究成果報告書を読む手掛かりを作成しました。よろしければ、ご高覧ください。
「近世日本における子育ての制度的枠組みー子育ての場としての家と村―」
松沢裕作 慶応義塾大学准教授
「伝統社会における子育て、とくに親と地域社会の協働を中心に」
研究代表者 太田素子 和光大学名誉教授
共同研究者 藤枝充子 明星大学教授
矢島直子 和光大学非常勤講師
研究協力者 舘かおる お茶の水女子大学名誉教授
久保健太 関東学院大学専任講師
研究代表者 大豆生田啓友 玉川大学教授
共同研究者 北野幸子 神戸大学大学院准教授
髙嶋景子 聖心女子大学准教授
三谷大紀 関東学院大学准教授
平成26年度実施調査 「保育者と子どもが心地よくかかわり合える音環境に関する研究 保育室の残響音に着目した調査研究報告書」
さらに、これらを踏まえて、溝口義朗先生と久保健太先生には、子どもの育ちの場において、子どもとともに歩み、ともに生き、理解し合う、応答し合う関係の重要性と、その関係を支える保育室の音環境とはどういうものかを考察して、報告書にまとめていただきました。
収録内容は、以下の通りです。
「保育室内残響時間及び室内音環境連続測定報告書A保育園」
「保育室内残響時間及び室内音環境連続測定報告書B保育園」
「別紙 C幼稚園での保育室内の残響に関するインタビュー逐語起こし」
- 本報告書中の、A・B保育園での調査、およびC幼稚園でのインタビューの詳細データです。
平成19年度実施調査 「乳幼児の育児と生活に関する実態調査」報告書
調査の主な結果については、ぜひ別添の報告書及び概要をご覧下さい。
平成18年度実施調査 「新しい保育所保育指針作成への提言(中間報告)」
同中間報告は、先般1月25日の厚生労働省「第3回「保育所保育指針」改定に関する検討会」のヒアリングの際に配布し説明を行いました。全私保連の会員保育園をはじめ関係機関や、保育に携わる多くの方々にお目通し頂き、保育の質の向上に資することができれば幸甚です。
平成17年度実施調査 「乳幼児をかかえる保護者の子育ての現状」調査報告書
保育園等による保護者に対するサポートは、育児不安や子育ての悩みの軽減、出産意欲にどのように影響しているのか
本調査は、主に「① 乳幼児を抱えた保護者の子育ての悩み・不安、出産意欲、保育園・幼稚園、子育て広場等の相談・サポートの実態を把握すること。② そうした機能が、保護者の子育ての悩み・不安を解消し、出産意欲を高めることに寄与しているか把握すること。」を目的に行いました。本調査事業の実施にあたっては、独立行政法人福祉医療機構子育て支援基金の助成を受け、子育て環境研究会(代表: 松田茂樹 第一生命経済研究所副主任研究員他9名の研究者、園長)に委託し実施しました。主たる結果としては、保育園等による保護者に対するサポートは、育児不安や子育ての悩みを軽減すること。またそうしたサポートにより、とくに育児不安からもたらされる母親の第二子以降(追加)出産意欲の減退を防ぐこと等が明らかとなりました。
調査の主な結果については、ぜひ別添の報告書及び概要をご覧下さい。