青年会議
活動報告
Report
2024.07.05
全私保連青年会議 令和6年度第1回幹事会報告
Report
2024.05.08
全私保連青年会議
令和5年度の振り返りとこれから
新型コロナウイルスも収束し、ようやく日常を取り戻し始めた令和5年度の始まりとともに、我々全私保連青年会議は新体制として動き出しました。4月に開庁されたこども家庭庁と、同時に施行されたこども基本法が、現在の日本における子ども・子育ての重要性を表しています。このような時期に、このような組織で活動できることは、楽しみでもありながら、身の引き締まる思いです。
前年度まで、会長として長い間青年会議を牽引してくれた横山先生(宮崎県)、企画部長の松山先生(茨城県)、広報部長の帯田先生(鹿児島県)、総務部長の遠藤先生(岩手県)の役員4名は次のステージに進まれ、その他複数、各地域組織の幹事が交代するなど顔ぶれは大きく変わりました。これまで青年会議に多くの功績を残してきた方々がいなくなってしまったことに大きな寂しさを感じながら、それよりもっと大きな感謝の気持ちで一杯になったことを鮮明に覚えています。お世話になった皆様に、この場を借りてお礼申し上げます。本当にありがとうございました。
さて、前述の通り、経験や実績を持った方々がたくさん抜けてしまった青年会議ですが、5月に行われた新体制としての初回の幹事会では、独特の雰囲気と緊張感の中、新たな役員、幹事たちと、自分たちには何が求められ、何ができるかを考えていくこと、そして時代にあった青年会議を創っていきたいという思いを共有しました。その後の情報交換会、そして各部会の中では皆の距離も徐々に縮まり、活発に熱く話し合う場面を見ることができました。
■主な活動の振り返り
まず、6月に徳島で行われた第65回全国私立保育研究大会。今回も青年会議(研修部)で分科会を1つ担当することになりました。コロナ禍で大きく変わった外部研修、園内研修のあり方、またそこで得たものをどのように園の中に浸透させていくかに焦点を当てた時、職場の人間関係や空気が大切で、どこまで行ってもやはり最後は「人」であろうと、人材育成をテーマに企画しました。講師には、ディズニーランドのアトラクション責任者やディズニーシーの立ち上げに携わるなどオリエンタルランドで長年活躍された、接客向上委員会&Peace 代表の石坂秀己氏をお招きしました。アイスブレイクで完全に会場は温まり、グループワーク中心でインタラクティブな研修は一瞬の眠気も誘わず、笑いあり、喜びあり、感動あり、そして何より翌日から実践できる具体性を持っていました。参加者満足度も、他のどの分科会にも劣っていないと確信できました。
実際、「他の職員にも聞いてほしかった」「もう一度同じコンセプトで企画してほしい」との声を多数いただき、今年度6月開催の栃木大会でも同様の分科会を設定しました。さらにアップデートした研修になります。多くの方の参加をお待ちしています。そして我々にとって、令和5年度最大のイベント となった全私保連青年会議広島大会。前年度、新型コロナウイルスの影響が心配される中、見事大成功をおさめた愛知大会からバトンを渡され、11月1日は広島国際会議場、翌日はJMSアステールプラザにて開催しました。大会テーマは「こどもたちと平和な未来を~そりゃあ平和が一番じゃろぉ~」。広島ならではの想いと願いを全面に押し出し、ここでしか学べない、そして感じることのできない経験を参加者の皆様に提供すべく、準備を重ねました。
大会初日の広島プログラムではバーゲル・ルミ氏による平和絵本の朗読、そして重野友歌氏による被爆ピアノ演奏を聴かせてもらいました。その後、平和記念公園・碑めぐりフィールドワークを行い、あらためて戦争の愚かさを痛感し、そんな未来を決して迎えてはならないという思いを再確認しました。分科会の講師陣も、広島都市学園大学准教授の二宮孝司氏、広島県三原市に本社を構える(株)八天堂代表の森光孝雅氏など、広島にゆかりのある方々を多数お招きし、明日からの保育を考える大きなヒントを得ることができました。
大会2日目は、やはり広島出身、世界陸上トラック種目で日本人初のメダリストとなった為末大氏の記念講演から始まりました。ご自身の育てられ方や陸上競技を通じての経験から、自ら育とうとしている子どもたちにどのように関わればよいのか、子どもたちの未来をつくるために、大人はどのような問いを投げかければよいのかなど、世界のトップまで登り詰めた人間だからこそ語れるのであろう、大変貴重なお話を聞くことができました。さらに、昨年 5月開催のG7広島サミットにて被爆体験証言をした小倉桂子氏による講演も設けました。決して忘れてはいけない広島の歴史をかつてないほどリアルに知ることができました。同時に、自分たちだけが平和であればよいというわけではなく、世界の皆が全員の幸せを願うからこそ成し得るという言葉が、深く刺さりました。
実行委員長を務めてくれた龍山先生をはじめ、委員の皆様、当日の現地スタッフの皆様、その他多くの方々のご協力により、無事に大会を終えることができました。残念ながら、ロシアのウクライナ侵攻など、今も続いている世界中の衝突に胸を痛めながらも、平和を諦めない強い気持ちと、目の前の子どもたち、そして保育現場が戦争から一番遠い場所であってほしいという願いを共有し、真剣に子どもたちの未来を想って語り合う2日間を過ごすことができたと思っています。お忙しい中ご参加いただいた 550名の参加者の皆様に改めて感謝申し上げます。
年明けの2月に東京・浅草ビューホテルで開催した第17回青年会議特別セミナーにも、定員150名を超える申し込みをいただきました。今回は前述の徳島大会や広島大会とはまったく違う、青年会議ならではの研修を企画しました。テーマは「激動の時代に突入した今、決断する準備はできているか。~変革の時は今~」。少子化が予想を遥かに超えるスピードで進む中、その現実に向き合い、10年後を見据えた視点を持って考え、自分たちは今、どこへ向かうべきか。世界ゆるスポーツ協会から代表理事の澤田智洋氏、ソニー・ミュージックレーベルズから梶望氏、NPO法人HOCARIから天田卓良氏など、保育とはまったく別の業界から講師を迎え、これからの時代に必要な新しい物事の見方や切り口を聞くことができ、園運営の大きなヒントを得ることができました。次年度も青年らしさを前面に出したセミナーを企画しますので、ぜひご参加ください。
■さらにブラッシュアップした青年会議に!
ここまで、研修を中心に振り返ってきましたが、もちろん青年会議の活動はそれだけに止まりません。各部ごと、複数回にわたる部会の開催、視察、調査研究、広報活動など、ここには書ききれませんが、令和5年度もさまざまな活動を行いました。幹事の皆様は法人の理事長、園長であったりと、各々多忙な日々を過ごしている方ばかりです。そんな中にあっても、この青年会議のために時間を使い、力を貸してくれることを本当にありがたく思います。次年度は、この1年の経験を踏まえ、さらにブラッシュアップした青年会議にしていきたいと思います。引き続き、よろしくお願いします。
最後に、常に青年会議を温かく見守り、背中を押してくださる川下会長をはじめ、役員の皆様に心から感謝申し上げます。これからも、「『こども真ん中社会』の実現」に向け、青年会議も尽力します。今後ともよろしくお願いいたします。

青年会議幹事会のメンバー

伊藤 悟 青年会議会長
前年度まで、会長として長い間青年会議を牽引してくれた横山先生(宮崎県)、企画部長の松山先生(茨城県)、広報部長の帯田先生(鹿児島県)、総務部長の遠藤先生(岩手県)の役員4名は次のステージに進まれ、その他複数、各地域組織の幹事が交代するなど顔ぶれは大きく変わりました。これまで青年会議に多くの功績を残してきた方々がいなくなってしまったことに大きな寂しさを感じながら、それよりもっと大きな感謝の気持ちで一杯になったことを鮮明に覚えています。お世話になった皆様に、この場を借りてお礼申し上げます。本当にありがとうございました。
さて、前述の通り、経験や実績を持った方々がたくさん抜けてしまった青年会議ですが、5月に行われた新体制としての初回の幹事会では、独特の雰囲気と緊張感の中、新たな役員、幹事たちと、自分たちには何が求められ、何ができるかを考えていくこと、そして時代にあった青年会議を創っていきたいという思いを共有しました。その後の情報交換会、そして各部会の中では皆の距離も徐々に縮まり、活発に熱く話し合う場面を見ることができました。
■主な活動の振り返り
まず、6月に徳島で行われた第65回全国私立保育研究大会。今回も青年会議(研修部)で分科会を1つ担当することになりました。コロナ禍で大きく変わった外部研修、園内研修のあり方、またそこで得たものをどのように園の中に浸透させていくかに焦点を当てた時、職場の人間関係や空気が大切で、どこまで行ってもやはり最後は「人」であろうと、人材育成をテーマに企画しました。講師には、ディズニーランドのアトラクション責任者やディズニーシーの立ち上げに携わるなどオリエンタルランドで長年活躍された、接客向上委員会&Peace 代表の石坂秀己氏をお招きしました。アイスブレイクで完全に会場は温まり、グループワーク中心でインタラクティブな研修は一瞬の眠気も誘わず、笑いあり、喜びあり、感動あり、そして何より翌日から実践できる具体性を持っていました。参加者満足度も、他のどの分科会にも劣っていないと確信できました。
実際、「他の職員にも聞いてほしかった」「もう一度同じコンセプトで企画してほしい」との声を多数いただき、今年度6月開催の栃木大会でも同様の分科会を設定しました。さらにアップデートした研修になります。多くの方の参加をお待ちしています。そして我々にとって、令和5年度最大のイベント となった全私保連青年会議広島大会。前年度、新型コロナウイルスの影響が心配される中、見事大成功をおさめた愛知大会からバトンを渡され、11月1日は広島国際会議場、翌日はJMSアステールプラザにて開催しました。大会テーマは「こどもたちと平和な未来を~そりゃあ平和が一番じゃろぉ~」。広島ならではの想いと願いを全面に押し出し、ここでしか学べない、そして感じることのできない経験を参加者の皆様に提供すべく、準備を重ねました。
大会初日の広島プログラムではバーゲル・ルミ氏による平和絵本の朗読、そして重野友歌氏による被爆ピアノ演奏を聴かせてもらいました。その後、平和記念公園・碑めぐりフィールドワークを行い、あらためて戦争の愚かさを痛感し、そんな未来を決して迎えてはならないという思いを再確認しました。分科会の講師陣も、広島都市学園大学准教授の二宮孝司氏、広島県三原市に本社を構える(株)八天堂代表の森光孝雅氏など、広島にゆかりのある方々を多数お招きし、明日からの保育を考える大きなヒントを得ることができました。
大会2日目は、やはり広島出身、世界陸上トラック種目で日本人初のメダリストとなった為末大氏の記念講演から始まりました。ご自身の育てられ方や陸上競技を通じての経験から、自ら育とうとしている子どもたちにどのように関わればよいのか、子どもたちの未来をつくるために、大人はどのような問いを投げかければよいのかなど、世界のトップまで登り詰めた人間だからこそ語れるのであろう、大変貴重なお話を聞くことができました。さらに、昨年 5月開催のG7広島サミットにて被爆体験証言をした小倉桂子氏による講演も設けました。決して忘れてはいけない広島の歴史をかつてないほどリアルに知ることができました。同時に、自分たちだけが平和であればよいというわけではなく、世界の皆が全員の幸せを願うからこそ成し得るという言葉が、深く刺さりました。
実行委員長を務めてくれた龍山先生をはじめ、委員の皆様、当日の現地スタッフの皆様、その他多くの方々のご協力により、無事に大会を終えることができました。残念ながら、ロシアのウクライナ侵攻など、今も続いている世界中の衝突に胸を痛めながらも、平和を諦めない強い気持ちと、目の前の子どもたち、そして保育現場が戦争から一番遠い場所であってほしいという願いを共有し、真剣に子どもたちの未来を想って語り合う2日間を過ごすことができたと思っています。お忙しい中ご参加いただいた 550名の参加者の皆様に改めて感謝申し上げます。
年明けの2月に東京・浅草ビューホテルで開催した第17回青年会議特別セミナーにも、定員150名を超える申し込みをいただきました。今回は前述の徳島大会や広島大会とはまったく違う、青年会議ならではの研修を企画しました。テーマは「激動の時代に突入した今、決断する準備はできているか。~変革の時は今~」。少子化が予想を遥かに超えるスピードで進む中、その現実に向き合い、10年後を見据えた視点を持って考え、自分たちは今、どこへ向かうべきか。世界ゆるスポーツ協会から代表理事の澤田智洋氏、ソニー・ミュージックレーベルズから梶望氏、NPO法人HOCARIから天田卓良氏など、保育とはまったく別の業界から講師を迎え、これからの時代に必要な新しい物事の見方や切り口を聞くことができ、園運営の大きなヒントを得ることができました。次年度も青年らしさを前面に出したセミナーを企画しますので、ぜひご参加ください。
■さらにブラッシュアップした青年会議に!
ここまで、研修を中心に振り返ってきましたが、もちろん青年会議の活動はそれだけに止まりません。各部ごと、複数回にわたる部会の開催、視察、調査研究、広報活動など、ここには書ききれませんが、令和5年度もさまざまな活動を行いました。幹事の皆様は法人の理事長、園長であったりと、各々多忙な日々を過ごしている方ばかりです。そんな中にあっても、この青年会議のために時間を使い、力を貸してくれることを本当にありがたく思います。次年度は、この1年の経験を踏まえ、さらにブラッシュアップした青年会議にしていきたいと思います。引き続き、よろしくお願いします。
最後に、常に青年会議を温かく見守り、背中を押してくださる川下会長をはじめ、役員の皆様に心から感謝申し上げます。これからも、「『こども真ん中社会』の実現」に向け、青年会議も尽力します。今後ともよろしくお願いいたします。
(伊藤 悟/全私保連青年会議会長)

青年会議幹事会のメンバー

伊藤 悟 青年会議会長
Report
2024.04.05
全私保連 青年会議 特別セミナー報告
■ はじめに
2024年2月15日~16日、第17回青年会議特別セミナーが2020年以来となる東京・浅草ビューホテルで開催されました。
「激動の時代に突入した今、決断する準備はできているか。~変革の時は今~」というテーマの下、153名の先生方にご参加いただき、無事に終えることができました。今回は、その様子を少しご紹介します。

会場の様子
■ 1日目(2月15日)
【開会式】
冒頭、青年会議・伊藤会長の挨拶において、「今まで通りの受け身の運営ではいけない。 社会の動向を見据えながら、今から自分が何をするのか」というメッセージが伝えられました。
「激動」「決断」「変革」などのインパクトあるワードを取り入れた本セミナーのテーマからも、その覚悟が計り知れます。本セミナーの参加者もその覚悟の必要性について十分理解し、では今からどのように動いていくのかということを本気で考えているからこそ、この会場に集まったのだと思います。
【基調講演・記念対談】
保育業界の次代を多角的な目から切り拓く
講師:澤田智洋氏(世界ゆるスポーツ協会代表理事)
梶望氏(ソニー・ミュージックレーベル)
コピーライターとしての視点をもつ澤田氏、宣伝プロデューサーとしての視点をもつ梶氏の話は、私たち保育関係者の今後の事業運営において数々の示唆を与えてくれました。
障害をもつ人に限らず、生活するうえで何らかの苦手や困難は誰にでも存在します。その困難を乗り越えるために、本人に訓練やリハビリを求め続けるような考え方から、苦手があっても過ごしやすい社会の構造や環境にしていくことにより、多くの人が過ごしやすい社会になっていきます。
未発達の子や苦手がある子に訓練を求めるのではなく、その子が過ごしやすいように環境設定し、自分の力で乗り越えられるくらいの支援を常に心がけるのが保育者の役割であることを再認識させられた瞬間でした。
後半は、保育園マーケティングについての話を聞くことができました。私たちは、ただ単に園にとって有益だと思える情報を流し続けるのではなく、何の情報を、どのタイミングでどのように見せていくのかということを意識しなければいけないということがわかりました。

基調講演・記念対談(右・澤田氏、左・梶氏)
【パネルディスカッション】
生き残るために、変革の時は今
〈パネリスト〉
菊地政隆氏(学校法人 菊地学園理事長)
新保雄希氏(泉の台幼稚舎園長)
伊藤悟氏(このはな保育園園長)
〈コーディネーター〉
菊地幹氏(社会福祉法人 東京児童協会事務局次長)
それぞれ異なる背景をもつ組織のトップ3名によるパネルディスカッションは、成功例はもちろん、失敗例や悩みも含まれており、参加者にとってはパネリストがとても身近に感じられました。
課題を解決するために、また今に至るまでにどのような歩みと工夫があったのかということが話の中心となりましたが、総じて言えることは、パネリストの皆さんがスタッフのことをとても大切にしたうえで園運営を行っているということでした。「ES(従業員満足度)なしに CS(顧客満足度)なし」という言葉があるように、利用者(園児・保護者)を喜ばせるためには、まずはスタッフが仕事にやりがいと満足を感じ、充実した生活を送る必要があります。その事実を忘れないように、採用や育成に向き合っていかなければならないことを感じさせられました。


パネルディスカッション(右から新保氏、伊藤氏、菊地氏)
■ 2日目(2月16日)
【情勢報告】
講師:齊藤勝氏(全私保連常務理事)
「幼児期までのこどもの育ちに係る基本的なビジョン」「こども・子育て支援加速化プラン」その達成に向けた政策スケジュールなど、国における「こども政策」の推進について、併せて保育三団体協議会の取り組みとして予算要望、保育制度に対する要望等も報告されました。さらに、少子化に拍車がかかり、過疎地域を中心とした定員割れ等が危惧される中、不適切な保育の是正、ひいては保育の質向上のために子育て家庭の負担軽減や職員配置基準、公定価格の見直しについての要望が挙げられました。
「こども誰でも通園制度(仮称)」の施策からわかる、国の子育て・保育への対応の変化を感じつつも、今後具体的にどのような制度になり、各保育施設にどのような対応が求められていくのか、大きな関心となり続けるでしょう。
【講演】
マーケティング~VOCを力に~
講師:天田卓良氏(NPO法人HOCARI理事)
技術変化により顧客の声が集めやすくなり、社会変化により顧客が顧客の声を参考にする社会になりました。その点を考慮すれば、顧客の声に耳を傾け、顧客のニーズを把握することは今後選ばれる保育園となるために必要な努力と言えるでしょう。しかし、時として出てきた声をそのまま反映させるだけでは顧客のニーズに応えられないことがあり、私たちは表面的に上がった声の裏にある利用者の本音について推し量る力も同時に必要とされることがわかりました。その本音に迫る方法として、①矛盾を聞き出すこと、②例外を聞き出すこと、③財布の大きさを測ることについて教えてもらいました。
保育園を選ぶのは子どもではなく大人です。その意味では利用者のニーズを優先した結果、子どもの最善の利益が損なわれるようなことは避けたいものです。しかし逆を言えば、子どもにとって影響がない範囲であれば保護者のニーズに目を向けていくことが求められる時代であるとも言えるのではないでしょうか。

講演中の天田氏
■ おわりに
本セミナーは、人口減少や親の働き方の変化に対する国の政策・動向を知るとともに、私たち保育従事者がどのようなスタンスで施設運営に携わっていくのかということについて熟考する機会を与えてくれました。
これまで同様「子どもにとって何が幸せか」 について継続した検討が必要になるとともに、その子を養育する保護者や園で働くスタッフにとっても、何が幸せなのかということを考える必要があると改めて考えさせられました。子どもだけでなく、保護者にもスタッフにも幸せになってもらえる園になった時、その園は地域にとってなくてはならない存在になっているのだろうと感じました。
今回の特別セミナーもたくさんのご参加をいただき、ありがとうございました。今後も青年会議らしく、新たなテーマについて検討し続けていきたいと思います。
2024年2月15日~16日、第17回青年会議特別セミナーが2020年以来となる東京・浅草ビューホテルで開催されました。
「激動の時代に突入した今、決断する準備はできているか。~変革の時は今~」というテーマの下、153名の先生方にご参加いただき、無事に終えることができました。今回は、その様子を少しご紹介します。

会場の様子
■ 1日目(2月15日)
【開会式】
冒頭、青年会議・伊藤会長の挨拶において、「今まで通りの受け身の運営ではいけない。 社会の動向を見据えながら、今から自分が何をするのか」というメッセージが伝えられました。
「激動」「決断」「変革」などのインパクトあるワードを取り入れた本セミナーのテーマからも、その覚悟が計り知れます。本セミナーの参加者もその覚悟の必要性について十分理解し、では今からどのように動いていくのかということを本気で考えているからこそ、この会場に集まったのだと思います。
【基調講演・記念対談】
保育業界の次代を多角的な目から切り拓く
講師:澤田智洋氏(世界ゆるスポーツ協会代表理事)
梶望氏(ソニー・ミュージックレーベル)
コピーライターとしての視点をもつ澤田氏、宣伝プロデューサーとしての視点をもつ梶氏の話は、私たち保育関係者の今後の事業運営において数々の示唆を与えてくれました。
障害をもつ人に限らず、生活するうえで何らかの苦手や困難は誰にでも存在します。その困難を乗り越えるために、本人に訓練やリハビリを求め続けるような考え方から、苦手があっても過ごしやすい社会の構造や環境にしていくことにより、多くの人が過ごしやすい社会になっていきます。
未発達の子や苦手がある子に訓練を求めるのではなく、その子が過ごしやすいように環境設定し、自分の力で乗り越えられるくらいの支援を常に心がけるのが保育者の役割であることを再認識させられた瞬間でした。
後半は、保育園マーケティングについての話を聞くことができました。私たちは、ただ単に園にとって有益だと思える情報を流し続けるのではなく、何の情報を、どのタイミングでどのように見せていくのかということを意識しなければいけないということがわかりました。

基調講演・記念対談(右・澤田氏、左・梶氏)
【パネルディスカッション】
生き残るために、変革の時は今
〈パネリスト〉
菊地政隆氏(学校法人 菊地学園理事長)
新保雄希氏(泉の台幼稚舎園長)
伊藤悟氏(このはな保育園園長)
〈コーディネーター〉
菊地幹氏(社会福祉法人 東京児童協会事務局次長)
それぞれ異なる背景をもつ組織のトップ3名によるパネルディスカッションは、成功例はもちろん、失敗例や悩みも含まれており、参加者にとってはパネリストがとても身近に感じられました。
課題を解決するために、また今に至るまでにどのような歩みと工夫があったのかということが話の中心となりましたが、総じて言えることは、パネリストの皆さんがスタッフのことをとても大切にしたうえで園運営を行っているということでした。「ES(従業員満足度)なしに CS(顧客満足度)なし」という言葉があるように、利用者(園児・保護者)を喜ばせるためには、まずはスタッフが仕事にやりがいと満足を感じ、充実した生活を送る必要があります。その事実を忘れないように、採用や育成に向き合っていかなければならないことを感じさせられました。


パネルディスカッション(右から新保氏、伊藤氏、菊地氏)
■ 2日目(2月16日)
【情勢報告】
講師:齊藤勝氏(全私保連常務理事)
「幼児期までのこどもの育ちに係る基本的なビジョン」「こども・子育て支援加速化プラン」その達成に向けた政策スケジュールなど、国における「こども政策」の推進について、併せて保育三団体協議会の取り組みとして予算要望、保育制度に対する要望等も報告されました。さらに、少子化に拍車がかかり、過疎地域を中心とした定員割れ等が危惧される中、不適切な保育の是正、ひいては保育の質向上のために子育て家庭の負担軽減や職員配置基準、公定価格の見直しについての要望が挙げられました。
「こども誰でも通園制度(仮称)」の施策からわかる、国の子育て・保育への対応の変化を感じつつも、今後具体的にどのような制度になり、各保育施設にどのような対応が求められていくのか、大きな関心となり続けるでしょう。
【講演】
マーケティング~VOCを力に~
講師:天田卓良氏(NPO法人HOCARI理事)
技術変化により顧客の声が集めやすくなり、社会変化により顧客が顧客の声を参考にする社会になりました。その点を考慮すれば、顧客の声に耳を傾け、顧客のニーズを把握することは今後選ばれる保育園となるために必要な努力と言えるでしょう。しかし、時として出てきた声をそのまま反映させるだけでは顧客のニーズに応えられないことがあり、私たちは表面的に上がった声の裏にある利用者の本音について推し量る力も同時に必要とされることがわかりました。その本音に迫る方法として、①矛盾を聞き出すこと、②例外を聞き出すこと、③財布の大きさを測ることについて教えてもらいました。
保育園を選ぶのは子どもではなく大人です。その意味では利用者のニーズを優先した結果、子どもの最善の利益が損なわれるようなことは避けたいものです。しかし逆を言えば、子どもにとって影響がない範囲であれば保護者のニーズに目を向けていくことが求められる時代であるとも言えるのではないでしょうか。
講演中の天田氏
■ おわりに
本セミナーは、人口減少や親の働き方の変化に対する国の政策・動向を知るとともに、私たち保育従事者がどのようなスタンスで施設運営に携わっていくのかということについて熟考する機会を与えてくれました。
これまで同様「子どもにとって何が幸せか」 について継続した検討が必要になるとともに、その子を養育する保護者や園で働くスタッフにとっても、何が幸せなのかということを考える必要があると改めて考えさせられました。子どもだけでなく、保護者にもスタッフにも幸せになってもらえる園になった時、その園は地域にとってなくてはならない存在になっているのだろうと感じました。
今回の特別セミナーもたくさんのご参加をいただき、ありがとうございました。今後も青年会議らしく、新たなテーマについて検討し続けていきたいと思います。
(友岡善信/全私保連青年会議広報部副部長)
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2024.03.06
熊本県保育協会青年部の紹介
1 熊本の魅力
熊本県は九州の中心に位置し、九州で2番目に人口の多い県です。山は阿蘇、海は天草と自然に恵まれ、素晴らしい景色や食べ物にも恵まれています。阿蘇山のカルデラは東西 17 ㎞、北方 25 ㎞で、世界最大規模です。熊本市の中心地には加藤清正が築城した名城、熊本城があります。別名「銀杏城」とも呼ばれ、場内に大イチョウがあり、お城と合わせて見ると絶景です。
また水の都とも呼ばれ、水源が豊富にあるので、作物も豊富に取れます。赤牛や馬刺し、からし蓮根、熊本ラーメンなど、熊本県にはおいしい名産品がたくさんあります。
皆さん、機会があれば、ぜひお出でください。
2 青年部の概要
熊本県保育協会青年部は熊本県(熊本市を除く)の私立認可保育園および認定こども園等350園が所属する(一社)熊本県保育協会に所属しています。青年部は1984年8月31日に発足しました。創立より約40年の歴史を持ち、現在 38 人の会員が所属しています。創立からの理念である「青年部は失敗を恐れずに“荒野”を目指す」という精神は脈々と受け継がれ、OB・OG の理解や協力の下、自由な発想と個人の意見を尊重しつつ、保育を通じて熱く語り合っています。
青年部には、執行部を中心に企画研修委員会、調査広報委員会の2つの委員会があります。
① 企画研修委員会
企画研修委員会は、青年部員の交流企画の立案と実行、および部内研修・保育士向け研修の計画と実施を行っています。中でも、熊本市保育園連盟青年部と共同で行う保育士向け「実践研修」は県内でも広く認知され、多くの保育士の方に参加いただいています。部内研修では、青年部員の声を受け止め、その時々に応じた研修を実施し、時には県市の青年部員が相互に講師となって研修を行うケースもあります。

恒例のスポーツ交流会

対面での会議の様子
② 調査広報委員会
調査広報委員会は、会員の疑問や興味をもとに、今聞きたい項目をアンケート化し、配布・集計・分析を行っています。アンケート結果はメール等で会員に周知するだけでなく、内容をHPに公開しています。また広報活動として年に数回、機関紙『創風』を発行しています。『創風』は、熊本市保育園連盟青年部と共同で作成し、両青年部活動の報告や、全国大会、九州大会参加報告等を行っています。
3 青年部の活動について
熊本県保育協会青年部は、1999年、熊本市の中核都市化に伴い、熊本県保育協会と熊本市保育園連盟が分離したため、青年部も別々に活動するようになりました。県と市の組織は分かれましたが、現在でも研修会を合同開催するなど、協力しつつ切磋琢磨しながら活動しています。
現在、保育を取り巻く環境の変化に伴い、保育施設には子どもたち一人ひとりに個別に対応する保育が求められるようになり、少子化による保育施設の存続問題が顕著になってきました。
熊本県保育協会では「往環型の保育研修」として、子どもを主体とした保育研修の実践や「人口減少地域の保育を考える勉強会」を行うなど、行政と協力しながら精力的に活動していますが、青年部 OB のみならず、現役青年部員も中心的な役割を担っています。青年部部長は、熊本県保育協会の常任理事の 1名として参画しています。これにより青年部の活動の幅が広がり、青年部と保育協会両組織の活性化につながっています。
また、新型コロナウイルス感染が拡大する中で、 IT委員会が設立されました。IT委員会のメンバーのほとんどが青年部と掛け持ちしています。熊本県保育協会では、コロナ禍でいち早くハイブリッド研修会が実施できる環境を整えましたが、それを可能にしたのも青年部員の力によるものでした。
現在はさまざまな職種を経て保育界に入り、青年部に入部する会員も増えてきました。保育現場で実践を深めてきた部員と多様な職種で頑張ってきた部員がそれぞれの視点で自由に意見を出し合い、ノウハウやスキルを活かしているのが今の青年部です。

熊本市保育園連盟青年部と共同開催の保育士向け「実践研修」
4 今後の取り組みについて
2016年の熊本地震と2020年の豪雨により大きな被害を受けた熊本県ですが、その後、台湾の半導体製造大手である「TSMC」の誘致などにより、新たな勢いを得ています。しかしながら、全国的な重要課題である「少子化」と「保育士不足」は、熊本県でも喫緊の課題となっており、多くの青年部員が真剣に取り組んでいます。
研修や調査、会議等での学びはもとより、普段の会話を通じて気軽に相談、議論することができる環境も大切にしていきたいと思っています。その中で生まれるアイデアや気づきが、問題解決につながることも多くあります。
また、地域の課題に立ち向かうだけでなく、全国の青年部とも緊密な連携を図り、情報やノウハウの共有を通じて保育の充実を目指していきたいと考えています。地域の枠を超え、新たなアイデアを取り入れることで、子どもたちにとってより良い保育環境を築いていきたいと思います。

熊本県保育協会青年部部長
木庭英太郎先生
(三玉保育園園長)
熊本県は九州の中心に位置し、九州で2番目に人口の多い県です。山は阿蘇、海は天草と自然に恵まれ、素晴らしい景色や食べ物にも恵まれています。阿蘇山のカルデラは東西 17 ㎞、北方 25 ㎞で、世界最大規模です。熊本市の中心地には加藤清正が築城した名城、熊本城があります。別名「銀杏城」とも呼ばれ、場内に大イチョウがあり、お城と合わせて見ると絶景です。
また水の都とも呼ばれ、水源が豊富にあるので、作物も豊富に取れます。赤牛や馬刺し、からし蓮根、熊本ラーメンなど、熊本県にはおいしい名産品がたくさんあります。
皆さん、機会があれば、ぜひお出でください。
2 青年部の概要
熊本県保育協会青年部は熊本県(熊本市を除く)の私立認可保育園および認定こども園等350園が所属する(一社)熊本県保育協会に所属しています。青年部は1984年8月31日に発足しました。創立より約40年の歴史を持ち、現在 38 人の会員が所属しています。創立からの理念である「青年部は失敗を恐れずに“荒野”を目指す」という精神は脈々と受け継がれ、OB・OG の理解や協力の下、自由な発想と個人の意見を尊重しつつ、保育を通じて熱く語り合っています。
青年部には、執行部を中心に企画研修委員会、調査広報委員会の2つの委員会があります。
① 企画研修委員会
企画研修委員会は、青年部員の交流企画の立案と実行、および部内研修・保育士向け研修の計画と実施を行っています。中でも、熊本市保育園連盟青年部と共同で行う保育士向け「実践研修」は県内でも広く認知され、多くの保育士の方に参加いただいています。部内研修では、青年部員の声を受け止め、その時々に応じた研修を実施し、時には県市の青年部員が相互に講師となって研修を行うケースもあります。

恒例のスポーツ交流会
対面での会議の様子
② 調査広報委員会
調査広報委員会は、会員の疑問や興味をもとに、今聞きたい項目をアンケート化し、配布・集計・分析を行っています。アンケート結果はメール等で会員に周知するだけでなく、内容をHPに公開しています。また広報活動として年に数回、機関紙『創風』を発行しています。『創風』は、熊本市保育園連盟青年部と共同で作成し、両青年部活動の報告や、全国大会、九州大会参加報告等を行っています。
3 青年部の活動について
熊本県保育協会青年部は、1999年、熊本市の中核都市化に伴い、熊本県保育協会と熊本市保育園連盟が分離したため、青年部も別々に活動するようになりました。県と市の組織は分かれましたが、現在でも研修会を合同開催するなど、協力しつつ切磋琢磨しながら活動しています。
現在、保育を取り巻く環境の変化に伴い、保育施設には子どもたち一人ひとりに個別に対応する保育が求められるようになり、少子化による保育施設の存続問題が顕著になってきました。
熊本県保育協会では「往環型の保育研修」として、子どもを主体とした保育研修の実践や「人口減少地域の保育を考える勉強会」を行うなど、行政と協力しながら精力的に活動していますが、青年部 OB のみならず、現役青年部員も中心的な役割を担っています。青年部部長は、熊本県保育協会の常任理事の 1名として参画しています。これにより青年部の活動の幅が広がり、青年部と保育協会両組織の活性化につながっています。
また、新型コロナウイルス感染が拡大する中で、 IT委員会が設立されました。IT委員会のメンバーのほとんどが青年部と掛け持ちしています。熊本県保育協会では、コロナ禍でいち早くハイブリッド研修会が実施できる環境を整えましたが、それを可能にしたのも青年部員の力によるものでした。
現在はさまざまな職種を経て保育界に入り、青年部に入部する会員も増えてきました。保育現場で実践を深めてきた部員と多様な職種で頑張ってきた部員がそれぞれの視点で自由に意見を出し合い、ノウハウやスキルを活かしているのが今の青年部です。

熊本市保育園連盟青年部と共同開催の保育士向け「実践研修」
4 今後の取り組みについて
2016年の熊本地震と2020年の豪雨により大きな被害を受けた熊本県ですが、その後、台湾の半導体製造大手である「TSMC」の誘致などにより、新たな勢いを得ています。しかしながら、全国的な重要課題である「少子化」と「保育士不足」は、熊本県でも喫緊の課題となっており、多くの青年部員が真剣に取り組んでいます。
研修や調査、会議等での学びはもとより、普段の会話を通じて気軽に相談、議論することができる環境も大切にしていきたいと思っています。その中で生まれるアイデアや気づきが、問題解決につながることも多くあります。
また、地域の課題に立ち向かうだけでなく、全国の青年部とも緊密な連携を図り、情報やノウハウの共有を通じて保育の充実を目指していきたいと考えています。地域の枠を超え、新たなアイデアを取り入れることで、子どもたちにとってより良い保育環境を築いていきたいと思います。

熊本県保育協会青年部部長
木庭英太郎先生
(三玉保育園園長)
Report
2024.02.05
東京都民間保育園協会東京青年委員会の紹介と
全私保連青年会議東京大会へのお誘い
東京青年委員会は、(一社)東京都民間保育園協会の内部組織(特別委員会)として設置され、全私保連青年会議、日保協青年部の東京組織でもあります。青年委員会の委員は、本協会会員園(約 1300 園)に所属する次世代の保育者で構成され、本協会の目的を増進するとともに、次代の東京保育界を担うためにさまざまな保育事業や組織活動に触れる機会を作り、青年の発想や行動力を自由に発揮した学びのもとで自己を研鑽することを目的にしています。
1 東京青年委員会の活動
東京都民間保育園協会の主催する『TOKYO 保育園フェア』や『TOKYO 保育フォトコンテスト』への運営参加や、ワーキンググループによる研修会や研究会、交流会などの運営を主としています。
保育園フェアやフォトコンテストでは本協会の先生方と一緒に企画を行う機会をいただくことで、構成や運営の見識を深めるよい経験の場となっています。青年委員会で構成するワーキンググループでは青年委員ならではの視点で研修会や研究会を実施しています。最近ではX(旧Twitter)やYouTube、メディアで気になる方を講師にお招きし、研修や意見交換の場を設け、多角的な視点で保育所運営における悩みや成功体験を共有しました。また、新しい取り組みを行う保育園の実地見学やWEB見学会(委員による実況生中継)、委員間の交流会なども企画し、青年委員ならではの方法で関わりの場を設けるようにしています。
青年委員数は現在約 120 名となり、さらなる増加を目標にしています。青年委員会での関わりの大切さは先輩方から学びました。保育界で活躍する先輩方を見れば“保育者の関わり”の大切さは明らかで、今後保育園運営に携わる者として、保育の未来を語り合える“かけがえのない出会いになる”ことを多くの若手に広めていきたいと思っています。

2 令和6年度全私保連青年会議東京大会
東京青年委員会では、東京大会の企画運営を任せ ていただきました。大会に向けての動きが本格化し委員会活動も活発になっています。東京大会実行委員会が設置され、「オール東京」でこの大会への多くの応援や熱い指導、激励をいただいています。 大会の成功に向けて、実行委員会で大切にしていることは、委員一人ひとりの活動の活性化です。多くの仲間が成功に向けて自主的、活発に動くことでより素晴らしい大会になるのではないかと思います。
この大会の運営を通して青年委員の結束力が高まり、情報や多角的な視点が集約され、地域のよりよい保育に寄与できることと思います。青年委員会が盛り上がることは組織から地域へ、地域から日本への活力になることを信じています。

東京大会の開催は9月5・6日、「CORE こどもたち、ど真ん中」というテーマを掲げ、「こどもまんなか社会」に向かうわが国で子どもたちを日々保育する私たち保育者の役割を見出そう! という思いを胸に企画しています。昨年11月開催の広島大会から1年を待たずに開催するので、準備も急ピッチで行われています。新型コロナも5類に移行し、物価高騰の波が押し寄せている中、大会開催に向けて 8社ほどのホテルと協議を重ねて会場を決定しました。その他の高騰の煽りもあり、参加費も例年より高額になってしまうことを心苦しく思います。しかし、参加者の皆様と「保育の未来」「こどもまんなか社会での保育園の役割」を語り合い、私たち保育者が社会の真ん中である“子ども”を支えるキーマンであることを再確認できるよう、研修内容も充実したものになっています。皆様が参加してよかったと思っていただけるよう、講師の方々と打合せを重ね、精一杯の思いで準備させていただきます。
***
東京は人が密集している印象を受ける方も多いかもしれません。確かに人口 1,400 万人と、日本の人口の約1/10が東京に集中しています。しかしそんな東京でも、子どもの人口減少は色濃く、保育施設運営に影響しています。待機児童解消を目指し、多くの保育施設が作られましたが、今や定員未充足問題は大きな課題となり、2022年4月時点での都内保育所受け入れ可能児童数は27,500名(本協調べ)と、多くの園で定員未充足となっています。子どもの出生率低下や定員未充足の問題は日本社会に警笛を鳴らしているのだと切に思います。
報道で「若者たちは未来への希望が薄れている」と話題になる令和時代。子どもたちの未来を本気で考え、保育に向き合っている私たち保育者は、子ども・子育て家庭支援はもとより、子どもを生み育てることの素晴らしさや愛おしさ、尊さをもっと社会に伝えていかなくてはならないと思います。さまざまな地域や組織が互いの考えや願いを尊重しながら、私たち大人が子どもの未来のために手を取り合い、協力して立ち向かっていくことが「こどもまんなか社会の実現」になるのではないでしょうか。
***
東京は市部・区部・郡部・島部とさまざまな地域があり、海あり山ありの自然も多く、いろいろなおもしろさがあります。新宿のビル群から少し離れた原宿には明治神宮(パワースポット)があり、ドラマの撮影で使用される日比谷公園や井の頭公園もオススメです。JR中央線に乗って1時間ほどで高尾山や秋川渓谷などの自然に触れることもできます。東京スカイツリーや東京タワーはド迫力です。浅草や日本橋は古き良き江戸を感じられ、お台場は東京の夜景を一望できます。移動も便利で、短時間で多くの場所を観光できるのも魅力の一つです。
本協会のHPで公開中の『TOKYO保育フォトコンテスト』の写真を見ると都内各地区の保育環境の違いに驚かれるかもしれません。高層ビルや商店街にある園、山川に恵まれた園とさまざまな保育を見ることができます。そんな保育環境の中で変わらないのは、日々子どもたちの真剣なまなざしや満面の笑顔です。そして、環境や風土は違えど“子どもたちに日々向き合う保育者の姿”も変わりません。各地域の保育を感じ、皆様の園と同じような子どもたちの輝きを感じていただけると思います。ぜひ見ていただきたいです。
最後に重ねてのお願いとなりますが、9月5・6日に東京大会を新宿京王プラザホテルで開催します。学びある研修会にしますので、ぜひ、多くの皆様の参加をお待ちしています。子どもの明るい未来を「東京」で学び合いましょう!
1 東京青年委員会の活動
東京都民間保育園協会の主催する『TOKYO 保育園フェア』や『TOKYO 保育フォトコンテスト』への運営参加や、ワーキンググループによる研修会や研究会、交流会などの運営を主としています。
保育園フェアやフォトコンテストでは本協会の先生方と一緒に企画を行う機会をいただくことで、構成や運営の見識を深めるよい経験の場となっています。青年委員会で構成するワーキンググループでは青年委員ならではの視点で研修会や研究会を実施しています。最近ではX(旧Twitter)やYouTube、メディアで気になる方を講師にお招きし、研修や意見交換の場を設け、多角的な視点で保育所運営における悩みや成功体験を共有しました。また、新しい取り組みを行う保育園の実地見学やWEB見学会(委員による実況生中継)、委員間の交流会なども企画し、青年委員ならではの方法で関わりの場を設けるようにしています。
青年委員数は現在約 120 名となり、さらなる増加を目標にしています。青年委員会での関わりの大切さは先輩方から学びました。保育界で活躍する先輩方を見れば“保育者の関わり”の大切さは明らかで、今後保育園運営に携わる者として、保育の未来を語り合える“かけがえのない出会いになる”ことを多くの若手に広めていきたいと思っています。

2 令和6年度全私保連青年会議東京大会
東京青年委員会では、東京大会の企画運営を任せ ていただきました。大会に向けての動きが本格化し委員会活動も活発になっています。東京大会実行委員会が設置され、「オール東京」でこの大会への多くの応援や熱い指導、激励をいただいています。 大会の成功に向けて、実行委員会で大切にしていることは、委員一人ひとりの活動の活性化です。多くの仲間が成功に向けて自主的、活発に動くことでより素晴らしい大会になるのではないかと思います。
この大会の運営を通して青年委員の結束力が高まり、情報や多角的な視点が集約され、地域のよりよい保育に寄与できることと思います。青年委員会が盛り上がることは組織から地域へ、地域から日本への活力になることを信じています。

東京大会の開催は9月5・6日、「CORE こどもたち、ど真ん中」というテーマを掲げ、「こどもまんなか社会」に向かうわが国で子どもたちを日々保育する私たち保育者の役割を見出そう! という思いを胸に企画しています。昨年11月開催の広島大会から1年を待たずに開催するので、準備も急ピッチで行われています。新型コロナも5類に移行し、物価高騰の波が押し寄せている中、大会開催に向けて 8社ほどのホテルと協議を重ねて会場を決定しました。その他の高騰の煽りもあり、参加費も例年より高額になってしまうことを心苦しく思います。しかし、参加者の皆様と「保育の未来」「こどもまんなか社会での保育園の役割」を語り合い、私たち保育者が社会の真ん中である“子ども”を支えるキーマンであることを再確認できるよう、研修内容も充実したものになっています。皆様が参加してよかったと思っていただけるよう、講師の方々と打合せを重ね、精一杯の思いで準備させていただきます。
***
東京は人が密集している印象を受ける方も多いかもしれません。確かに人口 1,400 万人と、日本の人口の約1/10が東京に集中しています。しかしそんな東京でも、子どもの人口減少は色濃く、保育施設運営に影響しています。待機児童解消を目指し、多くの保育施設が作られましたが、今や定員未充足問題は大きな課題となり、2022年4月時点での都内保育所受け入れ可能児童数は27,500名(本協調べ)と、多くの園で定員未充足となっています。子どもの出生率低下や定員未充足の問題は日本社会に警笛を鳴らしているのだと切に思います。
報道で「若者たちは未来への希望が薄れている」と話題になる令和時代。子どもたちの未来を本気で考え、保育に向き合っている私たち保育者は、子ども・子育て家庭支援はもとより、子どもを生み育てることの素晴らしさや愛おしさ、尊さをもっと社会に伝えていかなくてはならないと思います。さまざまな地域や組織が互いの考えや願いを尊重しながら、私たち大人が子どもの未来のために手を取り合い、協力して立ち向かっていくことが「こどもまんなか社会の実現」になるのではないでしょうか。
***
東京は市部・区部・郡部・島部とさまざまな地域があり、海あり山ありの自然も多く、いろいろなおもしろさがあります。新宿のビル群から少し離れた原宿には明治神宮(パワースポット)があり、ドラマの撮影で使用される日比谷公園や井の頭公園もオススメです。JR中央線に乗って1時間ほどで高尾山や秋川渓谷などの自然に触れることもできます。東京スカイツリーや東京タワーはド迫力です。浅草や日本橋は古き良き江戸を感じられ、お台場は東京の夜景を一望できます。移動も便利で、短時間で多くの場所を観光できるのも魅力の一つです。
本協会のHPで公開中の『TOKYO保育フォトコンテスト』の写真を見ると都内各地区の保育環境の違いに驚かれるかもしれません。高層ビルや商店街にある園、山川に恵まれた園とさまざまな保育を見ることができます。そんな保育環境の中で変わらないのは、日々子どもたちの真剣なまなざしや満面の笑顔です。そして、環境や風土は違えど“子どもたちに日々向き合う保育者の姿”も変わりません。各地域の保育を感じ、皆様の園と同じような子どもたちの輝きを感じていただけると思います。ぜひ見ていただきたいです。
最後に重ねてのお願いとなりますが、9月5・6日に東京大会を新宿京王プラザホテルで開催します。学びある研修会にしますので、ぜひ、多くの皆様の参加をお待ちしています。子どもの明るい未来を「東京」で学び合いましょう!

(伊﨑秀之/東京都民間保育園協会青年委員会委員長、大禮保育園園長)
Report
2024.01.05
第42回 公益社団法人 全国私立保育連盟 青年会議広島大会報告
■はじめに
「こどもたちと平和な未来をーそりゃあ 平和が一番じゃろぉ」をテーマに、2023年11月1日・2日、広島市にて青年会議広島大会を開催しました。
新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行後初の開催となった本大会は、対面参集型として、じつに549名の方にご参加いただくことができました。
本稿では、子どもの姿を想像しながら、未来の平和について考えるきっかけとなった2日間の様子をご紹介します。
■第1日目(11月1日)開会式・全体会・分科会
〈開会式・全体会〉
開会式では、開催地を代表して、龍山 浄大会実行委員長が歓迎の挨拶を述べ、川下勝利全私保連会長、伊藤 悟全私保連青年会議会長が主催者代表挨拶を行いました。また来賓として、広島市副市長・前 健一様、(社福)日本保育協会青年部長・新保雄希様より、御祝辞をいただきました。
続いて、全体会「広島プログラム①」を行いました。
最初のバーゲル・ルミ氏による「平和の絵本の朗読」では『へいわってすてきだね』『おこりじぞう』を朗読していただきました。次に重野友歌氏による「被爆ピアノの演奏」では、プーランク作曲の「ノクターン」他3曲の演奏、最後に「青い空は」で、東岸昌真副実行委員長の独唱が音色に重なりました。
絵本の読み聞かせの声と被爆ピアノの音色は、私たちに当時の様子を語りかけているかのようでした。
「広島プログラム②」の「平和記念公園・碑めぐりフィールドワーク」では、原爆で亡くなられたさまざまな方の慰霊碑や遺構を巡りました。その傍らで、海外からの観光客や修学旅行生へ地道に説明に立っていらっしゃるピースボランティアの方々の姿を拝見し、我々もまた、自らの祖父母世代の経験を子どもたちへ語り継ぐ役割を担っているのだと痛感しました。

第1日目・フィールドワークの様子
〈第1分科会・多文化共生〉
違いを乗り越え、多文化共生をめざす教育・保育とは
広島都市学園大学准教授の二宮孝司氏に、氏の取り組みを踏まえながら、「多文化共生」とは「国籍や生まれが異なる人々が互いに文化的違いを認め合い、対等な関係を築こうとしながら地域社会の構成員として共に生きていく社会」であるということについて、ご講演をいただきました。
過去に、二宮氏がある小学校の校長をされていた時、多様なルーツを持つ子どもたちが自身の生まれを否定され、自尊心が育たないという状況がありました。そこで氏は、学校の目標を自尊感情・多文化共生・人権教育(安心できること、否定されないこと)として指導を続けられるようになり、子どもたちは確かな学力と違いを認め合う自己表現を身につけて卒業していくようになりました。
子どもたちはお互いを理解し、関係をより良くしていく力を元来持っている、その力を大切にすることで、対立から多様性への理解を全体に育めた事例をお聞きしました。
〈第2分科会・組織作り〉
子どもが自ら考えて行動する力を育むボトムアップ理論
(一社)ボトムアップパーソンズ協会代表理事の畑喜美夫氏に、「ボトムアップ理論」についてお話しいただきました。
畑氏は「ストローク主体性コミュニケーション」を提唱し、「いいね!」の、良いストロークを通じてお互いを認め合うという手段を強調されました。ストローク実験トレーニングでは、拍手や笑顔でのコミュニケーションを通じてwin-win の関係を築けることがわかりました。
「ボトムアップ理論」は、経営管理の新しいアプローチで、最初に現場の意見を取り入れつつ、トップダウンと融合させることが重要とされています。そのためには五感を活用し、観察、感じ取り、気づき、判断、実行等を通じて認知するプロセスを意識することです。
そして、なぜ組織内でのコミュニケーションが大切かというと、相手を理解することで動きが早くなり、相手を支えサポートできるからです。自己認識を高め、全員がリーダーとの考え方を提唱されています。リーダーシップとは、役職に依存せず、学習能力と影響力に基づくものと説明されました。
ハイタッチやシェアタイムを通じて、仲間意識や挑戦することの大切さを説かれ、失敗も挑戦の機会と捉えて、PDCAサイクルを通じて成長することを奨励されています。「1秒の言葉」を大切にし、優しさや勇気を「伝える力」が重要とまとめられました。
人のやる気を底上げするためには「質問」を通じてアイディアを引き出し、心の整理と整頓をさせることが特に重要と説明されました。そのため風土改革は重要で、組織は「風によって働く」として、良い風を保つことが主体性とモチベーション向上につながると述べられました。
〈第3分科会・保育〉
あそびと あそび心こそ 平和の原点
北海道大学大学院准教授の川田 学氏にお話しいただきました。
本講義では、子ども時代の遊びに関わる保育者はお互いに「あそび心」を共有し、未熟だった頃の自分を出会わせることの大切さが強調されました。また、「あそび」を考える際に「あそびA」と「あそびB」の2つの観点からアプローチし、子どもの心の動きや状態を捉えることが肝要と述べられました。
「あそびA」は活動そのものが目的で、心の動きが中核である一方で、「あそびB」は遊びを支える環境や余裕を指し、ワクワクやドキドキといった心の状態を促進する役割が重要とされました。保育者は「あそび心」を持ち、内側に入る意識を保つことで、子どもの遊びを豊かにし、心の成長を促進する役割を果たすことが期待されています。講義には予定を上回る参加者があり、盛況裡に進行されました。
〈第4分科会・保育実践〉
保育を語り合う「協働型」園内研修のすすめ
広島大学大学院教授の中坪史典氏にお話しいただきました。
楽しく保育を語り合うことが継続的に行える「協働型」園内研修の取り組み方、ファシリテーターや研修コーディネーターが意識することを教えていただきました。ファシリテーターが園内研修でのプレッシャーを理解し、そのプレッシャーを取り除くように心がけることで、研修時の心理的安全性を担保できることをお話しいただきました。また、同僚性がうまく築かれていない場合、すぐに発言することが困難になります。そんな時に付箋を使って自分の考えを可視化するような働きかけや、お菓子や飲み物を用意して、意見が出しやすい和やかな雰囲気を作ることなどが有効であることも学びました。

第4分科会の様子
〈第5分科会・経営〉
人生、今日がはじまり 三方よしへの挑戦
(株)八天堂代表取締役の森光孝雅氏に、「当社の理念」経営を軸としたマネジメントのあり方についてお話しいただきました。 冒頭で八天堂90周年記念動画を視聴し、会社について理念等を説明されました。
基本理念「あなたと出会えてよかったと一人でも多くの人に言ってもらえる人になる」、経営理念「良い品・良い人・良い会社作り」、座右の銘「人生、今日がはじまり」、それらをもとに「三方よしへの挑戦」を掲げ、①自己、②他者、③取引先・顧客のすべてにとっての利益を考えることが大切とのこと。それを成せる名リーダーとは、逆境に挑み、変革を経て成長していける存在で、「目標は高く設定すべき。その時、応援される力、周囲を巻き込む力に着目しよう」と語られました。
そして、「人は経験を積めば積むほど一人の力の限界を知らされる。その時、その人物が進歩するか、衰えるか、二択である」との考えを示されました。また、どんな経営理念も人々の心に響かなければ意味がなく、成功の秘訣は、熱意×考え×能力だと教えられました。
経営者はビジョンを持ち、10年後を考え、人への投資が不可欠なのです。森光氏の経験から、採用と育成はセットであり、人の成長こそが事業の成否に影響するとのこと。マネジメントとは人の心を引きつけるためになすものであり、「習慣」が人格を形成するとの信念をもっていらっしゃいました。
最後に、「もし『愚痴』を言うなら、それを『課題』と言い変えてみようという積極的な姿勢が大切だ」と説かれました。
■第2日目(11月2日)情勢報告・記念講演・閉会式
〈情勢報告〉
全私保連常務理事の齊藤 勝氏より、「こども家庭審議会子ども・子育て支援等分科会」等、また保育三団体の取り組みの報告をいただきました。
「人勧および処遇改善」「こども誰でも通園制度(仮称)」などの施策の背景にある「こども施策に関する基本的な方針」「子ども未来戦略方針」「こども・子育て支援加速化プラン」などを見出し、こども家庭庁からの情報を読み解き、各地域の実情に照らして敏感に対応していくことが肝要と語られました。
〈記念講演①〉
子どもたちの未来をつくる
Deportare Partners 代表/元陸上選手の為末大氏にお話しいただきました。氏は、保育・教育における「応援」「伴走」「質問」の大切さについて示されました。
自分の力で成長している子どもたちにとって、時にアドバイスは子どもの成長に逆効果ともなることもあります。私たちは、まず目の前の子どもの姿から、何を必要としているのかを見極め、どのような問いを使えば子どもが未来に向けて自己分析する思考になるのか考え、答えを渡すのではなく伴走することに重きを置いたマネジメントの重要性について気づかせてもらいました。

講演中の為末 大氏
〈記念講演②〉
被爆体験を語る
2023年5月に行われたG7広島サミットで、各国首脳へ被爆体験証言を行った、小倉桂子氏による講演が行われました。被爆当時の凄惨な状況を、資料を交えながら丁寧にお話しいただきました。
氏が語られた「私たちの国だけ平和になればよいというものではなく、平和とは皆が全員の幸せを願うからこそなしえること」という言葉は、我々が今後国際人として常に意識しなければならない言葉だと感じました。

講演中の小倉桂子氏
■おわりに
今回、広島市で青年会議全国大会を開催するにあたり、テーマ・趣旨文の策定には前回の広島大会である第26回大会(2006年)を参考に、広島市ならではの「平和学習」を全参加者に共有していただけるよう「広島プログラム」を企画・実施させていただきました。
また広島市には、開催地自治体として後援のみならず、会場や「平和文化月間行事」認証など、ソフト・ハードともにご協力をいただき感謝申し上げます。
ご参加の皆様とともに語り合いと学びのある2日間を盛会となすことができ、地元実行委員会一同重ねて御礼申し上げます。しかし一方では、各地で続く紛争に否応なく子どもたちが巻き込まれているシーンが日々報道され、無力感に苛まれるタイミングの開催でもありました。
それでも、私たち大会実行委員会が大会後に実施した参加者アンケートでの「今後、身近な方(家族・同僚・園児)と平和について語り合おうと思われますか」の問いに、本稿執筆時までに回答された方124名の9割が「思う」「既に語り合った」と肯定されていました。
約500名が日本各地より広島に集ったことは、それぞれの施設や地域に、平和について語る機会を確かに齎したということです。この取り組みは、必ずや平和な未来へつながると信じております。
青年会議東京大会で、またお会いしましょう。
(広島大会実行委員会一同)

広島大会実行委員会集合!
「こどもたちと平和な未来をーそりゃあ 平和が一番じゃろぉ」をテーマに、2023年11月1日・2日、広島市にて青年会議広島大会を開催しました。
新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行後初の開催となった本大会は、対面参集型として、じつに549名の方にご参加いただくことができました。
本稿では、子どもの姿を想像しながら、未来の平和について考えるきっかけとなった2日間の様子をご紹介します。
■第1日目(11月1日)開会式・全体会・分科会
〈開会式・全体会〉
開会式では、開催地を代表して、龍山 浄大会実行委員長が歓迎の挨拶を述べ、川下勝利全私保連会長、伊藤 悟全私保連青年会議会長が主催者代表挨拶を行いました。また来賓として、広島市副市長・前 健一様、(社福)日本保育協会青年部長・新保雄希様より、御祝辞をいただきました。
続いて、全体会「広島プログラム①」を行いました。
最初のバーゲル・ルミ氏による「平和の絵本の朗読」では『へいわってすてきだね』『おこりじぞう』を朗読していただきました。次に重野友歌氏による「被爆ピアノの演奏」では、プーランク作曲の「ノクターン」他3曲の演奏、最後に「青い空は」で、東岸昌真副実行委員長の独唱が音色に重なりました。
絵本の読み聞かせの声と被爆ピアノの音色は、私たちに当時の様子を語りかけているかのようでした。
「広島プログラム②」の「平和記念公園・碑めぐりフィールドワーク」では、原爆で亡くなられたさまざまな方の慰霊碑や遺構を巡りました。その傍らで、海外からの観光客や修学旅行生へ地道に説明に立っていらっしゃるピースボランティアの方々の姿を拝見し、我々もまた、自らの祖父母世代の経験を子どもたちへ語り継ぐ役割を担っているのだと痛感しました。

第1日目・フィールドワークの様子
〈第1分科会・多文化共生〉
違いを乗り越え、多文化共生をめざす教育・保育とは
広島都市学園大学准教授の二宮孝司氏に、氏の取り組みを踏まえながら、「多文化共生」とは「国籍や生まれが異なる人々が互いに文化的違いを認め合い、対等な関係を築こうとしながら地域社会の構成員として共に生きていく社会」であるということについて、ご講演をいただきました。
過去に、二宮氏がある小学校の校長をされていた時、多様なルーツを持つ子どもたちが自身の生まれを否定され、自尊心が育たないという状況がありました。そこで氏は、学校の目標を自尊感情・多文化共生・人権教育(安心できること、否定されないこと)として指導を続けられるようになり、子どもたちは確かな学力と違いを認め合う自己表現を身につけて卒業していくようになりました。
子どもたちはお互いを理解し、関係をより良くしていく力を元来持っている、その力を大切にすることで、対立から多様性への理解を全体に育めた事例をお聞きしました。
〈第2分科会・組織作り〉
子どもが自ら考えて行動する力を育むボトムアップ理論
(一社)ボトムアップパーソンズ協会代表理事の畑喜美夫氏に、「ボトムアップ理論」についてお話しいただきました。
畑氏は「ストローク主体性コミュニケーション」を提唱し、「いいね!」の、良いストロークを通じてお互いを認め合うという手段を強調されました。ストローク実験トレーニングでは、拍手や笑顔でのコミュニケーションを通じてwin-win の関係を築けることがわかりました。
「ボトムアップ理論」は、経営管理の新しいアプローチで、最初に現場の意見を取り入れつつ、トップダウンと融合させることが重要とされています。そのためには五感を活用し、観察、感じ取り、気づき、判断、実行等を通じて認知するプロセスを意識することです。
そして、なぜ組織内でのコミュニケーションが大切かというと、相手を理解することで動きが早くなり、相手を支えサポートできるからです。自己認識を高め、全員がリーダーとの考え方を提唱されています。リーダーシップとは、役職に依存せず、学習能力と影響力に基づくものと説明されました。
ハイタッチやシェアタイムを通じて、仲間意識や挑戦することの大切さを説かれ、失敗も挑戦の機会と捉えて、PDCAサイクルを通じて成長することを奨励されています。「1秒の言葉」を大切にし、優しさや勇気を「伝える力」が重要とまとめられました。
人のやる気を底上げするためには「質問」を通じてアイディアを引き出し、心の整理と整頓をさせることが特に重要と説明されました。そのため風土改革は重要で、組織は「風によって働く」として、良い風を保つことが主体性とモチベーション向上につながると述べられました。
〈第3分科会・保育〉
あそびと あそび心こそ 平和の原点
北海道大学大学院准教授の川田 学氏にお話しいただきました。
本講義では、子ども時代の遊びに関わる保育者はお互いに「あそび心」を共有し、未熟だった頃の自分を出会わせることの大切さが強調されました。また、「あそび」を考える際に「あそびA」と「あそびB」の2つの観点からアプローチし、子どもの心の動きや状態を捉えることが肝要と述べられました。
「あそびA」は活動そのものが目的で、心の動きが中核である一方で、「あそびB」は遊びを支える環境や余裕を指し、ワクワクやドキドキといった心の状態を促進する役割が重要とされました。保育者は「あそび心」を持ち、内側に入る意識を保つことで、子どもの遊びを豊かにし、心の成長を促進する役割を果たすことが期待されています。講義には予定を上回る参加者があり、盛況裡に進行されました。
〈第4分科会・保育実践〉
保育を語り合う「協働型」園内研修のすすめ
広島大学大学院教授の中坪史典氏にお話しいただきました。
楽しく保育を語り合うことが継続的に行える「協働型」園内研修の取り組み方、ファシリテーターや研修コーディネーターが意識することを教えていただきました。ファシリテーターが園内研修でのプレッシャーを理解し、そのプレッシャーを取り除くように心がけることで、研修時の心理的安全性を担保できることをお話しいただきました。また、同僚性がうまく築かれていない場合、すぐに発言することが困難になります。そんな時に付箋を使って自分の考えを可視化するような働きかけや、お菓子や飲み物を用意して、意見が出しやすい和やかな雰囲気を作ることなどが有効であることも学びました。

第4分科会の様子
〈第5分科会・経営〉
人生、今日がはじまり 三方よしへの挑戦
(株)八天堂代表取締役の森光孝雅氏に、「当社の理念」経営を軸としたマネジメントのあり方についてお話しいただきました。 冒頭で八天堂90周年記念動画を視聴し、会社について理念等を説明されました。
基本理念「あなたと出会えてよかったと一人でも多くの人に言ってもらえる人になる」、経営理念「良い品・良い人・良い会社作り」、座右の銘「人生、今日がはじまり」、それらをもとに「三方よしへの挑戦」を掲げ、①自己、②他者、③取引先・顧客のすべてにとっての利益を考えることが大切とのこと。それを成せる名リーダーとは、逆境に挑み、変革を経て成長していける存在で、「目標は高く設定すべき。その時、応援される力、周囲を巻き込む力に着目しよう」と語られました。
そして、「人は経験を積めば積むほど一人の力の限界を知らされる。その時、その人物が進歩するか、衰えるか、二択である」との考えを示されました。また、どんな経営理念も人々の心に響かなければ意味がなく、成功の秘訣は、熱意×考え×能力だと教えられました。
経営者はビジョンを持ち、10年後を考え、人への投資が不可欠なのです。森光氏の経験から、採用と育成はセットであり、人の成長こそが事業の成否に影響するとのこと。マネジメントとは人の心を引きつけるためになすものであり、「習慣」が人格を形成するとの信念をもっていらっしゃいました。
最後に、「もし『愚痴』を言うなら、それを『課題』と言い変えてみようという積極的な姿勢が大切だ」と説かれました。
■第2日目(11月2日)情勢報告・記念講演・閉会式
〈情勢報告〉
全私保連常務理事の齊藤 勝氏より、「こども家庭審議会子ども・子育て支援等分科会」等、また保育三団体の取り組みの報告をいただきました。
「人勧および処遇改善」「こども誰でも通園制度(仮称)」などの施策の背景にある「こども施策に関する基本的な方針」「子ども未来戦略方針」「こども・子育て支援加速化プラン」などを見出し、こども家庭庁からの情報を読み解き、各地域の実情に照らして敏感に対応していくことが肝要と語られました。
〈記念講演①〉
子どもたちの未来をつくる
Deportare Partners 代表/元陸上選手の為末大氏にお話しいただきました。氏は、保育・教育における「応援」「伴走」「質問」の大切さについて示されました。
自分の力で成長している子どもたちにとって、時にアドバイスは子どもの成長に逆効果ともなることもあります。私たちは、まず目の前の子どもの姿から、何を必要としているのかを見極め、どのような問いを使えば子どもが未来に向けて自己分析する思考になるのか考え、答えを渡すのではなく伴走することに重きを置いたマネジメントの重要性について気づかせてもらいました。

講演中の為末 大氏
〈記念講演②〉
被爆体験を語る
2023年5月に行われたG7広島サミットで、各国首脳へ被爆体験証言を行った、小倉桂子氏による講演が行われました。被爆当時の凄惨な状況を、資料を交えながら丁寧にお話しいただきました。
氏が語られた「私たちの国だけ平和になればよいというものではなく、平和とは皆が全員の幸せを願うからこそなしえること」という言葉は、我々が今後国際人として常に意識しなければならない言葉だと感じました。

講演中の小倉桂子氏
■おわりに
今回、広島市で青年会議全国大会を開催するにあたり、テーマ・趣旨文の策定には前回の広島大会である第26回大会(2006年)を参考に、広島市ならではの「平和学習」を全参加者に共有していただけるよう「広島プログラム」を企画・実施させていただきました。
また広島市には、開催地自治体として後援のみならず、会場や「平和文化月間行事」認証など、ソフト・ハードともにご協力をいただき感謝申し上げます。
ご参加の皆様とともに語り合いと学びのある2日間を盛会となすことができ、地元実行委員会一同重ねて御礼申し上げます。しかし一方では、各地で続く紛争に否応なく子どもたちが巻き込まれているシーンが日々報道され、無力感に苛まれるタイミングの開催でもありました。
それでも、私たち大会実行委員会が大会後に実施した参加者アンケートでの「今後、身近な方(家族・同僚・園児)と平和について語り合おうと思われますか」の問いに、本稿執筆時までに回答された方124名の9割が「思う」「既に語り合った」と肯定されていました。
約500名が日本各地より広島に集ったことは、それぞれの施設や地域に、平和について語る機会を確かに齎したということです。この取り組みは、必ずや平和な未来へつながると信じております。
青年会議東京大会で、またお会いしましょう。
(広島大会実行委員会一同)

広島大会実行委員会集合!
Report
2023.12.05
第 66 回全国私立保育研究大会 栃木大会と
栃木県私立保育連盟青年会議部の紹介

栃木大会のロゴマーク
栃木県は 2024年6月5日~7日に、第 66 回全国私立保育研究大会 栃木大会を開催します。栃木大会実行委員として、栃木県私立保育連盟青年会議部の小髙 渉部長、福田和也副部長を含む青年会議部のメンバーも中心となり大会企画を進めています。今回は、来年皆様にお越しいただく「栃木」の魅力と「栃木大会」をご紹介させていただきます。
1 栃木の魅力
① 文化と自然
まず思い浮かぶのは世界遺産「日光東照宮」です。徳川家康をまつる社寺と約 12,000本、37㎞の「日光杉並木街道」は、日本の歴史と美を体現したスポットとして知られ、ぜひ足を運んでいただきたい名所です。また栃木の名山「男体山」の麓にある「いろは坂」、「中禅寺湖」には、紅葉の季節になると多くの観光客が訪れ、その美しさに魅了されています。
県北に目を向ければ避暑地で有名な「那須高原」があります。乳牛などの家畜が多く、乳製品はお土産として有名です。家族でも楽しめる施設も多く、最近では爽やかな気候を堪能できるグランピング施設が充実しています。また伝統工芸も豊富で、温かな手触りが特徴の「益子焼」、釘を使わずに複雑な模様を組んでいく「鹿沼の組子細工」、日光東照宮の木彫り職人が起源の「日光彫」など、お土産としても人気の高い工芸品です。
② 食のオアシス
「いちご王国栃木」は昭和 43 年から日本一のいちごの生産量を誇り、現在も品種改良を続け「甘く・大きく・育てやすい」いちごを目指しています。
また、豊かな自然に恵まれた栃木では、農産から畜産まで幅広い分野で高い生産性を誇っています。そのため市町村独自の名産品も数多く、宇都宮市の「餃子」、佐野市の「佐野ラーメン」、日光市の「日光湯葉」、大田原市の「とうがらし」、そして「とちぎ和牛」など、一度の訪問では味わいきれないほどの多彩でおいしい名物・食材に溢れています。ぜひ地元の味を楽しんでみてください。
③ 開催地「シン・宇都宮」
栃木大会の会場がある宇都宮市は、国内では 75年ぶりとなる新規開業の路面電車(通称:ライトライン)が 2023年8月に開通しました。公共交通の充実により脱車社会を目指す「コンパクトシティ」のモデルとして全国から注目を集めています。また会場の「ライトキューブ宇都宮」は世界的建築家・隈 研吾氏がデザインを監修し、スマートシティのコアとなる施設として2022年に開業しました。
栃木大会にお越しの際には、皆様ご存じの「宇都宮餃子」はもちろん、隠れた宇都宮名物「ジャズ」と「カクテル」をお楽しみいただけます。
新たな交通、新しい施設、おいしい食べ物、エンターテインメントに出会える「シン・宇都宮」をぜひご堪能ください。
2 栃木大会の紹介
地域の関係性の希薄化、子育て家庭や子どもの孤立化、また自然環境の悪化・感染症など、子どもを取り巻く環境が大きく変化している現代、改めて人と人とのつながりの大切さを感じている方は多いのではないでしょうか。本大会では、「つながろう!みんなが輝く未来へ~『だいじ、だいじ』ありのままで~」を大会テーマに掲げ、保育の原点である、人が人を育てる、人と人が育ち合うというつながりを大切にし、私たちができることを考える機会にしたいと思います。
また「だいじ」という言葉は、栃木県では「大丈夫」という意味も持ちます。サブテーマには、すべての子どもたちに「大丈夫、あなたはあなたのままでいいんだよ」「どんな時にもあなたは一人じゃないよ」というメッセージを込めています。
「光は みんなで一緒に輝いた時 一番明るくなる」という言葉があります。互いに手をつなぎ、子どもたちのありのままの姿を受け止めながら、いろいろな光がみんなで一緒に輝き、みんなが輝く未来の実現を目指した大会としていきます(「大会趣旨文」より抜粋)。
栃木大会実行委員会では、保育の原点である「人と人のつながり」を大切にし、参加いただいた皆様にも充分に満足いただけるように協議を重ねています。分科会では大会テーマに沿った研修や、時代に必要とされる研修を皆様に共有いただけるように準備を進めています。そして、皆様も楽しみにされている交流会では、栃木の食を「味」だけでなく目・耳・鼻・触と五感を通して存分に楽しんでもらいたいと考えています。またアトラクションでも、栃木を存分に感じていただける内容を鋭意作成中です。楽しみにお待ちください!
3 栃木大会への青年会議部の取り組み
栃木大会では、「若い感性を生かそう」という考えの下、複数の青年部員を中心に大会ロゴマークと大会PR 動画を制作しました。
大会ロゴマークはカラフルな色彩の中で、乳児・小児・成人・高齢者・支援者が手を取り合い円を形作っています。これは、大会テーマである「人と人がつながろう」を象徴しており、「さまざまな人々がありのままでいいんだよ」という願いを込めて作成しました。PR 動画では、前回の徳島大会での「人と人とのつながり」により、徳島出身のシンガーソングライター・福富弥生さんに、保育の情景が浮かぶ素敵な大会テーマソングを作成してもらいました。その他にも、大会 PR 用ユニフォーム・のぼり旗・横断幕の作成に携わっています。
今後も青年会議部として、栃木大会に参加された方が喜んでいただける、魅力的な大会となるように活動していきます。
4 全国の皆様へ
栃木での全国大会は、じつに40年ぶりの開催となります。以前参加いただいた方はもちろん、数年ぶりに栃木(会場:宇都宮市)に足を運ばれる方は街の変貌に驚愕されること間違いなしです。
栃木大会実行委員会では、参加いただいた皆様に栃木の食・文化・歴史の魅力を体験していただくことはもちろん、激動する今の時代を皆で乗り越えていけるよう、大会を通じて「人と人」がつながり、研修以上の「何か」を持って帰っていただければと思っています。皆様のお越しを大会関係者一同、心よりお待ちしています。

2023年6月、徳島大会での PR 活動の様子

紅葉に彩られた男体山と中禅寺湖

栃木大会 PR 動画 QR コード

栃木県私立保育連盟 青年会議部
小髙 渉部長(左)福田和也副部長(右)
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2023.11.06
(一社)鹿児島市保育園協会青年部の紹介
1 青年部の概要
鹿児島市保育園協会青年部は、鹿児島市における地域保育会の発展および地域振興に寄与することを目的とし、平成 29 年に発足しました。
鹿児島市の認可保育園88か園と認可保育園から移行した幼保連携型認定こども園9か園、計97か園の鹿児島市保育園協会加盟園の中から若手青年保育者が集い、各会員が地域の子どもたちの輝かしい未来のために、そして健やかなる成長を支援するために活動しています。発足当初は正会員13人、賛助会員 7人の計20人でスタートした青年部は、令和5年現在正会員21人、賛助会員8人の計29人の会員数となり、ますます勢いを増して、魅力ある鹿児島の保育園・こども園を創造すべく日々活動しています。
2 保育施設に求められるものへの対応
近年、保育施設(保育園・こども園)に求められるものは日々変化してきています。
保育に関することでは、子どもたち一人ひとりの個別のニーズに対応することが重要視されるようになり、それぞれの子どもに合わせた保育をしなければならなくなってきました。また教え方に関しても、先生が一方的に教えるという方法よりも子どもたちが自ら考え、探求する力を育むことが求められています。さらに、遊びを通じたアクティブな学びや体験を大切にしてくことが必要とされています。
安全衛生面では、災害対策、遊具の安全性確認、熱中症対策等、また昨今新型コロナウイルス感染症の流行においても、保育施設での衛生安全面や環境づくりの対応が早急に必要となり、園のみならず、すべての方が対応に追われていたかと思います。 その他に関しても、さまざまな文化に対する理解や、ICT を活用した教育用アプリケーションの利用、保護者とのコミュニケーション、保育士不足問題など、挙げていけばきりがないほど時代は日々めまぐるしく変化し、その度に新しい課題も生まれてきています。
このような時代のさまざまな変化に取り残されることなく、迅速に対応するために、保育施設の園長、職員は常に学びながら、柔軟かつ継続的な取り組みを行うことが求められています。
3 青年部の活動内容
私たち青年部では、このような変化に対応するべく研修会や勉強会を定期的に開催し、保育に関することはもちろん、近年煩雑化している事務処理や、法人運営に関する内容、災害対策など、幅広い分野における最新の知識の習得や、情報の共有を行っています。そして、専門家や諸先輩方を講師として招聘し、スキルを磨く機会を提供しています。
令和4年度には、外部の講師を招聘し、お話を伺いました。この年度は丁度こども家庭庁創設が決まったということで、保育の予算、政策に係る話をお聞きしました。その中には、保育士等の賃金の見直し、保育士の負担軽減措置、公定価格の評価の見直し等の要望書の内容などの話も盛り込まれ、こども政策の強化に関する強い熱意が、私たちの心を強く動かすような講演会だったことを覚えています。時には会員自らが持ち回りで講師となり、自園で の取り組みや、諸問題への対応例等を紹介する形式での勉強会も開催しています。このような勉強会においては、それぞれの会員がさまざまな意見や質問を投げかけ合いながら情報を共有し、新しい取り組みへの足掛かりとしたり、また新しい情報や手法を習得できたりしています。さらに、習得したものを各園へ持ち帰りスキルアップできる点もあり、直接的に園や職員の資質向上を図ることができると考えています。
その他にも、鹿児島市保育園協会のイベントや、研修会への協力や支援活動も行っています。近年、新型コロナウイルス感染症のまん延で開催ができなかった市外、県外への保育施設見学等も、今後は積極的に行っていきたいと思っています。
4 これからの展望
このような研修会や勉強会、情報交換会などさま ざまな経験を通して、私たちは日々成長しています。鹿児島市の子どもたちがより安心して過ごせる環 境を提供できるように、会員間だけでなく地域の保護者や地域団体と協力し、子どもたちの育ちや保育環境の向上に取り組んでいます。私たちの活動は、子どもたちが安心して健やかに成長し、夢を追い求める力を育むことを目指しています。
鹿児島市保育園協会青年部は情熱と責任感を持った世代が集まる場です。保育に対する情熱を共有し、今後も子どもたちの未来を支えるために全力で取り組んでいきたいと思っています。
今後も、私たちの活動にぜひご注目ください。

令和5年度研修会の様子(於・貸し会議室)

施設見学研修の様子(保育園にて会議中)

鹿児島市保育園協会青年部部長
(サウスこまどり保育園園長)
羽生素朗先生
鹿児島市保育園協会青年部は、鹿児島市における地域保育会の発展および地域振興に寄与することを目的とし、平成 29 年に発足しました。
鹿児島市の認可保育園88か園と認可保育園から移行した幼保連携型認定こども園9か園、計97か園の鹿児島市保育園協会加盟園の中から若手青年保育者が集い、各会員が地域の子どもたちの輝かしい未来のために、そして健やかなる成長を支援するために活動しています。発足当初は正会員13人、賛助会員 7人の計20人でスタートした青年部は、令和5年現在正会員21人、賛助会員8人の計29人の会員数となり、ますます勢いを増して、魅力ある鹿児島の保育園・こども園を創造すべく日々活動しています。
2 保育施設に求められるものへの対応
近年、保育施設(保育園・こども園)に求められるものは日々変化してきています。
保育に関することでは、子どもたち一人ひとりの個別のニーズに対応することが重要視されるようになり、それぞれの子どもに合わせた保育をしなければならなくなってきました。また教え方に関しても、先生が一方的に教えるという方法よりも子どもたちが自ら考え、探求する力を育むことが求められています。さらに、遊びを通じたアクティブな学びや体験を大切にしてくことが必要とされています。
安全衛生面では、災害対策、遊具の安全性確認、熱中症対策等、また昨今新型コロナウイルス感染症の流行においても、保育施設での衛生安全面や環境づくりの対応が早急に必要となり、園のみならず、すべての方が対応に追われていたかと思います。 その他に関しても、さまざまな文化に対する理解や、ICT を活用した教育用アプリケーションの利用、保護者とのコミュニケーション、保育士不足問題など、挙げていけばきりがないほど時代は日々めまぐるしく変化し、その度に新しい課題も生まれてきています。
このような時代のさまざまな変化に取り残されることなく、迅速に対応するために、保育施設の園長、職員は常に学びながら、柔軟かつ継続的な取り組みを行うことが求められています。
3 青年部の活動内容
私たち青年部では、このような変化に対応するべく研修会や勉強会を定期的に開催し、保育に関することはもちろん、近年煩雑化している事務処理や、法人運営に関する内容、災害対策など、幅広い分野における最新の知識の習得や、情報の共有を行っています。そして、専門家や諸先輩方を講師として招聘し、スキルを磨く機会を提供しています。
令和4年度には、外部の講師を招聘し、お話を伺いました。この年度は丁度こども家庭庁創設が決まったということで、保育の予算、政策に係る話をお聞きしました。その中には、保育士等の賃金の見直し、保育士の負担軽減措置、公定価格の評価の見直し等の要望書の内容などの話も盛り込まれ、こども政策の強化に関する強い熱意が、私たちの心を強く動かすような講演会だったことを覚えています。時には会員自らが持ち回りで講師となり、自園で の取り組みや、諸問題への対応例等を紹介する形式での勉強会も開催しています。このような勉強会においては、それぞれの会員がさまざまな意見や質問を投げかけ合いながら情報を共有し、新しい取り組みへの足掛かりとしたり、また新しい情報や手法を習得できたりしています。さらに、習得したものを各園へ持ち帰りスキルアップできる点もあり、直接的に園や職員の資質向上を図ることができると考えています。
その他にも、鹿児島市保育園協会のイベントや、研修会への協力や支援活動も行っています。近年、新型コロナウイルス感染症のまん延で開催ができなかった市外、県外への保育施設見学等も、今後は積極的に行っていきたいと思っています。
4 これからの展望
このような研修会や勉強会、情報交換会などさま ざまな経験を通して、私たちは日々成長しています。鹿児島市の子どもたちがより安心して過ごせる環 境を提供できるように、会員間だけでなく地域の保護者や地域団体と協力し、子どもたちの育ちや保育環境の向上に取り組んでいます。私たちの活動は、子どもたちが安心して健やかに成長し、夢を追い求める力を育むことを目指しています。
鹿児島市保育園協会青年部は情熱と責任感を持った世代が集まる場です。保育に対する情熱を共有し、今後も子どもたちの未来を支えるために全力で取り組んでいきたいと思っています。
今後も、私たちの活動にぜひご注目ください。

令和5年度研修会の様子(於・貸し会議室)

施設見学研修の様子(保育園にて会議中)

鹿児島市保育園協会青年部部長
(サウスこまどり保育園園長)
羽生素朗先生
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2023.10.05
(公社)千葉市民間保育園協議会青年委員会の紹介
1 相談できる仲間づくりを目指して
千葉市民間保育園協議会が2011年に公益社団法人化してから10年以上経ちました。2015年4月に子ども・子育て支援新制度が施行され、保育施設が多様化し、千葉市の保育環境も大きく変わりました。 2011 年度は公立園 60、民間園 49 園でしたが、2021年度当初には公立園 57、民間園(認定こども園、小規模保育事業等も含)290園にまでなりました。 2011年当時は待機児童が多く、千葉市は待機児童0を目指し環境整備を行い、2023年度は3年連続待機児童0となりました。一方、保育施設の急増に保育の質の確保が大きな課題となっています。
現在、千葉市民間保育園協議会加盟園は 130 園を数え、青年委員会は20名余が所属し活動していますが、施設長になったばかりで「どうしたら安定した雇用ができるのか」「保育の質をどう高めればいいのか」など、戸惑いを感じている施設長も多くいます。また、慣れない環境で一生懸命保育を行った結果、「虐待」や「不適切な保育」につながってしまうことがあるかも知れません。そうならないように保育の質の向上を目指し、広い視野を持って、悩んだ時には相談できる仲間づくりが青年委員会には求められています。そこで若い施設長の活動の場を設けて、互いに学び合える活動を行っています。活動内容は主に、情報交換、勉強会、地域支援活動、復興支援活動、全私保連青年会議への参加などがあります。
2 活動内容について
青年委員会ではこれまで多くの活動を行ってきました。その内容は、施設見学会や公定価格勉強会などじっくり学ぶものから、キャンプ研修や腰痛予防講座などユニークな取り組みもありました。
① 情報交換
毎回開催/議題を定めず、各委員が施設運営等で抱いている課題などを出し合って意見交換を行う。
② 施設見学
毎年実施/市内認可保育施設、児童養護施設、自立支援施設、県内外小学校等で見学会を実施。
③ 保育の魅力発信
不定期開催/著名人を招いて、保育や子育てについてトークライブを開催。
④ 公定価格勉強会
毎年実施/全私保連保育制度検討会単価検討部会・大森部会長より解説。
⑤ 地域支援活動
毎年開催/年に一度、千葉市の子育て家庭を対象として行われる「子育てフェスティバル」の運営や、子育て家庭を対象とした研修などを行う「保育大会」などの企画運営。
⑥ 腰痛予防講座
毎年開催/保育士として長く勤められるよう理学療法士、作業療法士による保育現場での動きの確認やストレッチの講座。
⑦ 保育所保育指針勉強会
不定期開催/青年委員による勉強会。
⑧ 男性保育士研修会
不定期開催/市内の男性保育士勉強会主催。
⑨ キャンプ研修
不定期開催/青年委員によるキャンプで使える遊びなどの研修。
年度始めに、会として何を行いたいかを話し合うと、毎年一番多く挙げられるのは定期的な情報交換の場を設けることでした。青年委員の約半数はここ5年間で施設長になったばかりで、不安を感じることも多く、同じ境遇にある青年委員に話を聞いてもらいたいという要望が多く上がってきます。実際、情報交換を行うと話が尽きないことも多々あります。それだけ施設長として、孤独や不安を抱いていることが多いのだと思います。各委員が思いを話し合える場の提供を大切にしていきたいと思います。
3 10 年間で 40 回以上!福島県南相馬市への復興支援活動
青年委員会の主な活動の一つとして、復興支援活動があります。東日本大震災発生から現在に至るまで、福島県南相馬市にある民間保育施設3園に復興支援活動を行ってきました。南相馬市は福島第一原発から 20~30㎞に位置し、「緊急時避難準備区域」に指定され「暮らすことは可能、ただし何かあったら即座に逃げること」という地域でした。発災当時は休園、避難を余儀なくされ、約1か月以上戻ることができませんでした。その後、戻ることが可能となり、住民は戻っていました。子どもたちも戻っていましたが、区域内に保育施設の設置は認められなかったので、家族以外の人とあまり関わりを持つことができず、屋内でゲームばかりしていました。そうした生活が続き、子どもたちには発語の遅れやストレス行動が見られるようになっていました。
この状況を憂慮し、3園が協力して緊急時避難準備区域外に臨時の保育園を設立、2011年5月より保育を始めました。しかし、行政は子どもを集めてはいけないという理由で民間保育施設の設立を認めず、要望があったにもかかわらず約3か月間も運営費を支給しませんでした。この事態を知った全国私立保育連盟、日本保育協会の当時の会長が行政に直接陳情し、運営費が支給されるようになりました。青年委員会は、不足していた葉物野菜やお米など 安全な食品を届け、安定的に給食提供ができるよう支援を行いました。今では夏祭りや餅つきの手伝いをする活動を行っています。2011年から今年の夏祭りの手伝いで現地を訪れた活動はじつに41回に及び、多くの青年委員や委員の家族、協議会会員、学生ボランティアの方々に参加いただきました。
こうした緊急時の対応や継続的支援活動は、個人ではなく「団体」だからこそできる活動です。この支援活動を通じて仲間一人ひとりが協力し、支え、励ますことが何より大切だと改めて思いました。
4 青年活動へ期待すること
現在、全国の保育現場ではコロナ禍の影響もあり、保育士の数が減少しています。そのため現場にいる職員は多くの作業が求められ、保育現場で働くことの大変さばかりが目立つようになりました。また、虐待や不適切な保育の問題が大きく報道され、保育のネガティブなイメージが多くの人の目に触れる機会が増えました。実際、「やりたくない仕事」と検索すると今までランクインしてなかった「保育士」が上位に上がっています。一方、子どもたちに「将来なりたい仕事」を聞くと必ず上位にランクインする仕事でもあります。こうした状況を改善するために、保育士の処遇や待遇の改善はもちろんのこと、保育のおもしろさや魅力を発信することも青年活動の大きな役割だと思っています。
地域で協力し合い、保育施設が子どもの成長にとって最善の場となるよう、また子どもたちが安心して「なりたい職業」と言えるようにこれからも活動していきたいと思っています。
(山﨑竜二/千葉市民間保育園協議会青年委員会副委員長)


福島県南相馬市へ夏祭りの手伝いに
千葉市民間保育園協議会が2011年に公益社団法人化してから10年以上経ちました。2015年4月に子ども・子育て支援新制度が施行され、保育施設が多様化し、千葉市の保育環境も大きく変わりました。 2011 年度は公立園 60、民間園 49 園でしたが、2021年度当初には公立園 57、民間園(認定こども園、小規模保育事業等も含)290園にまでなりました。 2011年当時は待機児童が多く、千葉市は待機児童0を目指し環境整備を行い、2023年度は3年連続待機児童0となりました。一方、保育施設の急増に保育の質の確保が大きな課題となっています。
現在、千葉市民間保育園協議会加盟園は 130 園を数え、青年委員会は20名余が所属し活動していますが、施設長になったばかりで「どうしたら安定した雇用ができるのか」「保育の質をどう高めればいいのか」など、戸惑いを感じている施設長も多くいます。また、慣れない環境で一生懸命保育を行った結果、「虐待」や「不適切な保育」につながってしまうことがあるかも知れません。そうならないように保育の質の向上を目指し、広い視野を持って、悩んだ時には相談できる仲間づくりが青年委員会には求められています。そこで若い施設長の活動の場を設けて、互いに学び合える活動を行っています。活動内容は主に、情報交換、勉強会、地域支援活動、復興支援活動、全私保連青年会議への参加などがあります。
2 活動内容について
青年委員会ではこれまで多くの活動を行ってきました。その内容は、施設見学会や公定価格勉強会などじっくり学ぶものから、キャンプ研修や腰痛予防講座などユニークな取り組みもありました。
① 情報交換
毎回開催/議題を定めず、各委員が施設運営等で抱いている課題などを出し合って意見交換を行う。
② 施設見学
毎年実施/市内認可保育施設、児童養護施設、自立支援施設、県内外小学校等で見学会を実施。
③ 保育の魅力発信
不定期開催/著名人を招いて、保育や子育てについてトークライブを開催。
④ 公定価格勉強会
毎年実施/全私保連保育制度検討会単価検討部会・大森部会長より解説。
⑤ 地域支援活動
毎年開催/年に一度、千葉市の子育て家庭を対象として行われる「子育てフェスティバル」の運営や、子育て家庭を対象とした研修などを行う「保育大会」などの企画運営。
⑥ 腰痛予防講座
毎年開催/保育士として長く勤められるよう理学療法士、作業療法士による保育現場での動きの確認やストレッチの講座。
⑦ 保育所保育指針勉強会
不定期開催/青年委員による勉強会。
⑧ 男性保育士研修会
不定期開催/市内の男性保育士勉強会主催。
⑨ キャンプ研修
不定期開催/青年委員によるキャンプで使える遊びなどの研修。
年度始めに、会として何を行いたいかを話し合うと、毎年一番多く挙げられるのは定期的な情報交換の場を設けることでした。青年委員の約半数はここ5年間で施設長になったばかりで、不安を感じることも多く、同じ境遇にある青年委員に話を聞いてもらいたいという要望が多く上がってきます。実際、情報交換を行うと話が尽きないことも多々あります。それだけ施設長として、孤独や不安を抱いていることが多いのだと思います。各委員が思いを話し合える場の提供を大切にしていきたいと思います。
3 10 年間で 40 回以上!福島県南相馬市への復興支援活動
青年委員会の主な活動の一つとして、復興支援活動があります。東日本大震災発生から現在に至るまで、福島県南相馬市にある民間保育施設3園に復興支援活動を行ってきました。南相馬市は福島第一原発から 20~30㎞に位置し、「緊急時避難準備区域」に指定され「暮らすことは可能、ただし何かあったら即座に逃げること」という地域でした。発災当時は休園、避難を余儀なくされ、約1か月以上戻ることができませんでした。その後、戻ることが可能となり、住民は戻っていました。子どもたちも戻っていましたが、区域内に保育施設の設置は認められなかったので、家族以外の人とあまり関わりを持つことができず、屋内でゲームばかりしていました。そうした生活が続き、子どもたちには発語の遅れやストレス行動が見られるようになっていました。
この状況を憂慮し、3園が協力して緊急時避難準備区域外に臨時の保育園を設立、2011年5月より保育を始めました。しかし、行政は子どもを集めてはいけないという理由で民間保育施設の設立を認めず、要望があったにもかかわらず約3か月間も運営費を支給しませんでした。この事態を知った全国私立保育連盟、日本保育協会の当時の会長が行政に直接陳情し、運営費が支給されるようになりました。青年委員会は、不足していた葉物野菜やお米など 安全な食品を届け、安定的に給食提供ができるよう支援を行いました。今では夏祭りや餅つきの手伝いをする活動を行っています。2011年から今年の夏祭りの手伝いで現地を訪れた活動はじつに41回に及び、多くの青年委員や委員の家族、協議会会員、学生ボランティアの方々に参加いただきました。
こうした緊急時の対応や継続的支援活動は、個人ではなく「団体」だからこそできる活動です。この支援活動を通じて仲間一人ひとりが協力し、支え、励ますことが何より大切だと改めて思いました。
4 青年活動へ期待すること
現在、全国の保育現場ではコロナ禍の影響もあり、保育士の数が減少しています。そのため現場にいる職員は多くの作業が求められ、保育現場で働くことの大変さばかりが目立つようになりました。また、虐待や不適切な保育の問題が大きく報道され、保育のネガティブなイメージが多くの人の目に触れる機会が増えました。実際、「やりたくない仕事」と検索すると今までランクインしてなかった「保育士」が上位に上がっています。一方、子どもたちに「将来なりたい仕事」を聞くと必ず上位にランクインする仕事でもあります。こうした状況を改善するために、保育士の処遇や待遇の改善はもちろんのこと、保育のおもしろさや魅力を発信することも青年活動の大きな役割だと思っています。
地域で協力し合い、保育施設が子どもの成長にとって最善の場となるよう、また子どもたちが安心して「なりたい職業」と言えるようにこれからも活動していきたいと思っています。
(山﨑竜二/千葉市民間保育園協議会青年委員会副委員長)
福島県南相馬市へ夏祭りの手伝いに
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2023.09.05
名古屋民間保育園連盟青年会議の紹介
1 名古屋の魅力
みなさん、名古屋と言えば……、
① アクセス
名古屋市は、日本の中心に位置する三大都市圏の一角を担うエリアで、関西商業圏と関東地区首都圏をつなぐ交通の要衝としての役割を果たしています。連日、ビジネスマンや観光客で賑わっています。
② 名古屋めし
濃い食べ物が大好きな名古屋人。独特な食文化が人気を集めています。味噌カツ、ひつまぶし、きしめん等、満足できる名物がたくさんあります。みなさん、ぜひ食べてうみゃ~。
③ 将軍の町
戦国~江戸期に活躍した大名(織田信長・豊臣秀吉・徳川家康をはじめ)は愛知県出身ということで、名古屋では武将観光が盛んです。また、最近では名古屋城を中心に、お城の周りの金シャチ横丁でも名古屋めしのお店、お土産屋さんがたくさんあります。
みなさん、ぜひ遊びに来てください。
2 青年会議の活動について
近年、保育制度が大きく変化してきています。そんな中で、青年会議だからこそ行っていける活動を日々部員同士で話し合い、仲間たちと切磋琢磨して行っています。中でも、さまざまな研修を行っていて、毎年恒例になっている研修会があります。それは、名古屋市役所職員との研修会です。
行政の皆さんに、日頃の保育運営で生じる疑問にお答えいただける機会はなかなかありません。そこで青年会議では行政の各担当分野の方を招き、専門的にお答えいただく機会をつくっています。一人ひとりが自園で抱える問題、制度に対する疑問点、今後の名古屋市としての考え方等を聞ける、私たちにとって非常に貴重な機会になっています。
また、その他にも昨年度は組織づくりや保育カウンセラー等、さまざまな研修会を開催しました。
3 今後の活動について
最近、保育に対するさまざまなニュースが世間に出ています。そのほとんどは保育園・こども園に対するネガティブな内容ばかりになってきています。そういったことから、青年会議だからこそできることを話し合っています。話し合いをしていく中でネガティブなイメージを少しでも減らしていけるように、ポジティブキャンペーンを柱に会員同士で考えています。今年度は、新たに以下の2つの活動を行う予定になっています。
① 新人保育士(1年目~3年目)に対するケア
園長先生が他園を見学することがあっても、新人保育士が他園を見学する機会は極めて少ないということで、今年度は青年会議の会員の一人ひとりが講師となり公開保育を行うことになりました。また、公開保育だけではなく、新人保育士同士でグループディスカッション等、さまざまな方法を通して先生たちにいろいろな経験をしていただき、各園の特色を見て自園に持ち帰りをしていただければと考えています。
② 保育士養成校へのアプローチ
名古屋民間保育園連盟と連携をさせていただき、今年度から新たにキャリア支援部という部会を発足することになりました。活動としては、専門学校や大学のオリエンテーションへの参加、中高生へ向けた保育士の魅力発信等で、「保育士になりたい」という学生を一人でも増やしていけるようにしていく活動を行う予定です。
さまざまなネガティブなニュースが多いからこそ私たちで行える活動、広報等、積極的に行っていきたいと思います。
4 全国の皆様へのメッセージ
新型コロナウイルス感染拡大により、各園でもさまざまな活動が制限をされる時代になりました。その中では保育界に対してネガティブなニュースがたくさんあります。そういったニュースを少しでも明るくしていけたらと思っています。
また、これから保育士になりたいと考えている学生たちに、保育士の仕事の大切さや子どもたちと過ごすことの楽しさを、これからも青年会議の活動を通して発信していきたいと思っています。私たちだからこそできることがたくさんあると思います。そういったことを一つひとつ全力で行っていくことが大切だと考えています。
最後になりますが、皆様のさらなるご発展とご健康お祈り申し上げます。
■柘植信秀先生からのメッセージ
少し前になりますが、私が青年会議のメンバーの頃は、青年会議は何ができるのだろうか、青年会議らしさとは何かと常に考えていました。
人口減少社会と言われる中で保育に注目が集まっています。地域の実情や課題を抱えながら青年保育者が集い、保育を共に語り、発信して、日々の保育を全国の子どもたちの最善の利益につなげていく。まだ完成されていない青年は、夜が訪れて大地が暗く、月明かりしかない時でも、つながりの中で語り合い、行動していく。答えはないかも知れないが、追い求めて悩み、傷つけ傷つけられる……。
私たちの前から逃げていったさらに遠くへ、手を指先を伸ばして、過ぎ行く中であがきながら流れに逆らい、力の限り進んでゆきたいと思います。

研修会の様子

名古屋民間保育園連盟
柘植信秀先生
(新瑞幼児園園長)

名古屋民間保育園連盟青年会議幹事
下里和正先生
(名古屋ドレミこども園園長)
みなさん、名古屋と言えば……、
① アクセス
名古屋市は、日本の中心に位置する三大都市圏の一角を担うエリアで、関西商業圏と関東地区首都圏をつなぐ交通の要衝としての役割を果たしています。連日、ビジネスマンや観光客で賑わっています。
② 名古屋めし
濃い食べ物が大好きな名古屋人。独特な食文化が人気を集めています。味噌カツ、ひつまぶし、きしめん等、満足できる名物がたくさんあります。みなさん、ぜひ食べてうみゃ~。
③ 将軍の町
戦国~江戸期に活躍した大名(織田信長・豊臣秀吉・徳川家康をはじめ)は愛知県出身ということで、名古屋では武将観光が盛んです。また、最近では名古屋城を中心に、お城の周りの金シャチ横丁でも名古屋めしのお店、お土産屋さんがたくさんあります。
みなさん、ぜひ遊びに来てください。
2 青年会議の活動について
近年、保育制度が大きく変化してきています。そんな中で、青年会議だからこそ行っていける活動を日々部員同士で話し合い、仲間たちと切磋琢磨して行っています。中でも、さまざまな研修を行っていて、毎年恒例になっている研修会があります。それは、名古屋市役所職員との研修会です。
行政の皆さんに、日頃の保育運営で生じる疑問にお答えいただける機会はなかなかありません。そこで青年会議では行政の各担当分野の方を招き、専門的にお答えいただく機会をつくっています。一人ひとりが自園で抱える問題、制度に対する疑問点、今後の名古屋市としての考え方等を聞ける、私たちにとって非常に貴重な機会になっています。
また、その他にも昨年度は組織づくりや保育カウンセラー等、さまざまな研修会を開催しました。
3 今後の活動について
最近、保育に対するさまざまなニュースが世間に出ています。そのほとんどは保育園・こども園に対するネガティブな内容ばかりになってきています。そういったことから、青年会議だからこそできることを話し合っています。話し合いをしていく中でネガティブなイメージを少しでも減らしていけるように、ポジティブキャンペーンを柱に会員同士で考えています。今年度は、新たに以下の2つの活動を行う予定になっています。
① 新人保育士(1年目~3年目)に対するケア
園長先生が他園を見学することがあっても、新人保育士が他園を見学する機会は極めて少ないということで、今年度は青年会議の会員の一人ひとりが講師となり公開保育を行うことになりました。また、公開保育だけではなく、新人保育士同士でグループディスカッション等、さまざまな方法を通して先生たちにいろいろな経験をしていただき、各園の特色を見て自園に持ち帰りをしていただければと考えています。
② 保育士養成校へのアプローチ
名古屋民間保育園連盟と連携をさせていただき、今年度から新たにキャリア支援部という部会を発足することになりました。活動としては、専門学校や大学のオリエンテーションへの参加、中高生へ向けた保育士の魅力発信等で、「保育士になりたい」という学生を一人でも増やしていけるようにしていく活動を行う予定です。
さまざまなネガティブなニュースが多いからこそ私たちで行える活動、広報等、積極的に行っていきたいと思います。
4 全国の皆様へのメッセージ
新型コロナウイルス感染拡大により、各園でもさまざまな活動が制限をされる時代になりました。その中では保育界に対してネガティブなニュースがたくさんあります。そういったニュースを少しでも明るくしていけたらと思っています。
また、これから保育士になりたいと考えている学生たちに、保育士の仕事の大切さや子どもたちと過ごすことの楽しさを、これからも青年会議の活動を通して発信していきたいと思っています。私たちだからこそできることがたくさんあると思います。そういったことを一つひとつ全力で行っていくことが大切だと考えています。
最後になりますが、皆様のさらなるご発展とご健康お祈り申し上げます。
■柘植信秀先生からのメッセージ
少し前になりますが、私が青年会議のメンバーの頃は、青年会議は何ができるのだろうか、青年会議らしさとは何かと常に考えていました。
人口減少社会と言われる中で保育に注目が集まっています。地域の実情や課題を抱えながら青年保育者が集い、保育を共に語り、発信して、日々の保育を全国の子どもたちの最善の利益につなげていく。まだ完成されていない青年は、夜が訪れて大地が暗く、月明かりしかない時でも、つながりの中で語り合い、行動していく。答えはないかも知れないが、追い求めて悩み、傷つけ傷つけられる……。
私たちの前から逃げていったさらに遠くへ、手を指先を伸ばして、過ぎ行く中であがきながら流れに逆らい、力の限り進んでゆきたいと思います。

研修会の様子

名古屋民間保育園連盟
柘植信秀先生
(新瑞幼児園園長)

名古屋民間保育園連盟青年会議幹事
下里和正先生
(名古屋ドレミこども園園長)
最初に伊藤青年会議会長から、「1年を振り返り感謝しかない。今後もより良い青年会議になるように向上心を持って皆様の力を借りながら取り組んでいきたい。新しい取り組みとして日保協青年部との合同研修会を金沢市で開催し、併せてチャリティーを行い、能登半島地震災害支援に協力していきたい。本日は活発な意見交換を行っていただきたい」と開会の挨拶がなされた。続いて青年会議担当 菊地全私保連副会長から、「私も14・5年前に卒業し、当時の雰囲気をそのままに感じられ嬉しく思う。幹事会では活発な意見を交わし、情報交換会では絆を深めていただきたい」とのお言葉をいただきました。
◆審議事項
第1号議案 令和5年度事業報告(案)および予算執行状況報告( 案)
① 企画部
・第 17 回特別セミナー(令和6年2月 15・16日、於:東京・浅草ビューホテル、参加者:152 名)
基調講演 記念対談:保育業界の次代を多角的な目から切り拓く
パネルディスカッション:生き残るために、変革の時は今
情勢報告
講演:マーケティング~VOCを力に~
② 研修部
・視察研修
多様な保育・経営を学び、今後の法人および施設運営について知識の向上を図ることを目的に、沖縄県・若松保育園で研修部会開催と視察研修を行う。
・第 65 回全国私立保育研究大会・徳島大会
第14分科会:ディズニーに学ぶ~これからの時代に求められる組織の人材育成~(講師:石坂秀己氏[接客向上委員会&Peace 代表])
ワークを通じて「笑顔の作り方」などを体験し、されて嬉しいことと価値を下げる言動の違いなどを学び、改めてコミュニケーションの大切さを実感する機会となった。
・青年会議幹事研修会の開催(年度2回開催)
③ 調査研究部
全国青年部組織交流事業と全国大会開催候補地視察を目的に、山形県民間立保育協議会青年部との交流研修を行う。青年部組織がない地域もあり、まずは交流事業や全国大会を通じて交流を図り、青年部活動の意義を周知していきたいと考えている。
④ 広報部
部会で令和5年度計画の進捗状況の確認、新たな PR 動画作成などを行い、情報発信にも力を入れた。
・全私保連「保育通信」に「青年会議掲示板」を掲載(全 12 回)。
・インターネットを活用した情報発信として、HPあおむし通信への掲載(全 12 回)。
⑤ 総務部
さまざまな事務的な対応や研修会の共同開催などを行った。また全国対応の事前協議会や WEB 会議の実施など、幅広い活動を展開した。
・役員会(9回開催、WEB 併用)
・幹事会(5回開催、WEB 併用)
・広島大会事前協議会(令和5年4月 14 日)
⑥ 第 42 回全私保連青年会議 広島大会
・令和5年 11 月1・2日、於:広島国際会議場ほか、参加者:549 名、テーマ:こどもたちと平和な未来を~そりゃあ 平和が一番じゃろぉ~
【令和5年度青年会議活動を振り返って】
新型コロナの収束に伴い日常が戻り始めた令和5年度のはじめに、全私保連青年会議は新体制で活動を開始しました。最初の幹事会では自らに求められることやできることを考え、向かうべき方向性を確認しました。その後の情報交換や部会ではメンバー同士の距離が縮まり、活発に議論が行われました。6月に徳島市で行われた全国私立保育研究大会では、青年会議も分科会を担当し、人材育成をテーマにした研修は大成功に終わりました。
また11月に開催した青年会議広島大会では、平和をテーマにプログラムを企画し、広島開催ならではの経験やそこでしか味わえない感動を共有しました。広島出身の講師や被爆体験者の講演により、平和の大切さを改めて認識しました。さらに2月には青年会議特別セミナーを開催し、少子化や激動の時代に対応するための研修を行いました。
今後も青年らしさを前面に出したさまざまな活動を展開し、「こどもまんなか社会」の実現に向けて尽力していきます。
第2号議案 第43回全私保連青年会議 東京大会
・東京大会実行委員長より、収支予算、開催要綱、会場の視察や報告会の実施、受付のメンテナンスやホームページの更新など、進捗状況が報告された。
・東京大会分科会の動画を販売することの協議が追加され、参加者が園に持ち帰っていただけるように講師の方々のご協力の下、実現したと報告された。
第3号議案 第44回全私保連青年会議 奄美大会
・奄美大会趣旨文とチラシデザインについて説明された。チラシは、島の伝統的なデザインと大島紬の柄を背景に作成される。
第4号議案 第45回全私保連青年会議 大会開催地
岩手県(北海道・東北ブロック)での開催の提案 があった。提案は賛成多数で承認され(岩手県では初開催)、全私保連常任理事会へ上程される。
第5号議案 日本保育協会青年部との合同研修会
・7月29日に第1回全私保連青年会議・日保協青年部合同研修会を行うことについて、概要と収支予算が説明された。
テーマ:はじまりは石川から~がんばろう能登~
講演1:保育システム研究所代表・吉田正幸氏
問われる“保育”の質と役割─これからのキーワードは貢献と魅力
講演2:接客向上委員会&Peace 代表・石坂秀己氏
ディズニーランドが教えてくれたみんなが笑顔で働ける習慣
・この研修会の収益は必要経費を除く全額を「オールこども石川」へ寄付する。1日も早い復興のため私たちに今できることを考えたと説明がなされた。
・全私保連事務局から募集メールを地域組織事務局へ送り、加盟施設へ周知。同時に幹事会から青年会議会員園へメールを送り、参加を広く呼びかける。
第6号議案 その他
*すべての審議事項については協議・審議がなされ、全会一致で可決されました。
続いて報告事項(特別セミナー決算、選考委員会について[令和7年度の改選期に向けて、各ブロックから代表を選出し選考委員会を立ち上げる必要がある]、各都道府県・各ブロック報告[幹事交代、活動PR等]、各部会報告、その他)について説明され、その後、交代となった旧幹事より挨拶と、新幹事より所信表明がされました。
議案審議では、東京大会・奄美大会・日保協青年部合同研修会について意見が飛び交い、皆で大会の成功をという強い思いを感じました。特に新企画の日保協青年部との合同研修会は、「私たちに今できることは」と考えた青年会議らしい企画であると感じました。今後もさまざまな会議や研修会を通じて情報共有・研鑽を図り、厳しい社会情勢下で私たちの役割を考え、責務を果たしていきたいと思います。
最後に、共に学び成長できる喜びを改めて感じた時間となりました。今後も青年会議の諸活動にご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。