その8秋の七草
春の七草は、お正月の薬膳として食べられるのでなじみ深いですが、秋の七草はそれほど知られていないのではないでしょうか。奈良時代に、山上憶良が万葉集で、「秋の野に咲きたる花を
1オミナエシ
漢字で女郎花と書きます(オトコエシ[男郎花]という植物も存在し、白い花でそれほど目立ちません)。黄色い花の集合体のこの花には、多くの昆虫がやって来ます。花の数が多いので、花粉も多くあるのです。花粉のにおいも特徴的です。ぜひ園庭に植えて、生きものが集う姿を感じてください。
2ススキ
昔は
3キキョウ
残念ながら、今はほとんど野山では見かけられなくなり、庭先で観賞用として栽培されているのを見かける程度です。根っこに毒があります。漢方薬としても有名です。花はつぼみが風船のように膨らみ、ポンッと開きます。
4ナデシコ
カワラナデシコ(学名)、ヤマトナデシコという名もあり、可憐な花です。決して目立つ花ではないのですが、「なでしこジャパン」(女子サッカー)で一時有名になりました。花が
5フジバカマ
渡りをするチョウ、アサギマダラの
6クズ
マメ科の植物で繁殖力が強く、里山で樹木を覆うように生えています。ヤマフジも同じ生態です。祭りなどでフジのツルが使われなくなり、管理ができなくなったのが原因の1つとされています。クズは緑に被われるのが速く、一時、海外での緑化に使われましたが、今は侵略的外来種に指定されています。しかし花はとても綺麗で、葉も草花遊びができます。根は葛湯や葛切りに使われ、日本の伝統的な文化に一役かっています。冬には葉が落ちるので、茎はクリスマスリース作りなどにも使えます。
7ハギ
この植物は、草ではなく樹木です。この樹木もマメ科なのでクズとよく似た花が咲きます。管理は簡単で、花が終わったら根元から切り落とせば、翌年にはたくさんの芽が出ます。切った枝も以前は生け垣ほがき てっぽうそでがき(
春の七草には「せりなずなごぎょうはこべら…」と覚えやすい歌のようなものがあるように、秋の七草にも呪文のようなものがあります。7種の植物の頭文字をつなげると、「オスキナフクハ」となります。しかし、植物の名前を覚えることが大事ではなく、植物を観察できる環境を整えること、子どもの遊びに使えること、他の生きものがかかわること、地域の環境を知ることが大事なのだと思います。園庭にこれらの植物を植えることをおすすめします。これらはすべて