その3ケムシの話
1チャドクガ
園庭の樹木にケムシがつくと、連絡が入ります。私は樹木を見て
それ以外のケムシ(イラガ以外)は刺しても炎症が生じることはほとんどないので、私は駆除しません。身近な生きものは子どもたちがかかわる大事な要素だと考えているからです。アレルギー体質や敏感症の子どもは別として、ケムシは刺すという概念を再考してみてほしいと思います。園庭では、オビカレハやマイマイガの幼虫を見つけることがよくあります。触って子どもたちに見せると、逃げるのは決まって先生方です。子どもは興味を持って「刺さへんのか」「大丈夫なの」と聞いてきます。勇気がある子は指でつつき始め、そして大丈夫だとわかると大胆に触り始めます。
2オオスカシバ
クチナシを食草にしているオオスカシバの幼虫は毛のないケムシです。触るとウニョウニョと動き少しグロテスクですが、刺すことはありません。飼育ケースに食草と一緒に入れると、観察ができます。羽化するのはチョウではありませんが、立派な鱗翅目のガになります。初めは鱗粉をつけて出てきますが、ふるい落とします。ハチに擬態するためです。クチナシにハチのように飛んで来ているのは、蜜を吸うのと卵を産むためなのです。
3イラガ
イラガの幼虫は見た目にも鋭い棘を持っているので、刺さるととても痛いです。でも湿疹が全身に広がることはほとんどないので、刺されたらテープなどで針を取って流水し、薬を塗れば治ります。このケムシは葉を食べつくすと秋に、蛹をつくるために幹へ下りてきます。冬に、蛹の上のところをハサミで開けておくと、シジュウカラやヤマガラ、コゲラなどの冬の餌になります。
4ヒトリガ
毛むくじゃらで、1匹だけでいることが多いです。触るととても柔らかく、刺しません。草むらにいることが多いので見つけやすいと思います。もぞもぞ道を歩く姿は愛嬌があります。
5クスサン
栗の木にやって来て、葉を食い荒らします。ふさふさのケムシで、とても大きなガになります。
蛹は変わっていて、網の中に幼虫がいます。冬の里山、栗林を歩いていると落ちているので、見つけてみてください。
6マイマイガ
ガの幼虫はチョウの幼虫に比べて大木の幹についているものが多く、見つけにくいように擬態しています。成虫も幹にへばりついていることもあります。知らずに触れることもありますが、毒はありません。
マイマイガの幼虫は触ると毛がふわふわで柔らかいので、私は子どもたちにも感触を楽しんでもらいます。
7モンクロシャチホコガ
この幼虫は桜ケムシといわれるほど桜が大好きで、秋に桜の葉が役目を終えた頃に現れます(桜以外にもつくこともあります)。桜が植わっている園庭には必ず秋にやって来ます。もちろん刺すことはありません。
実は、このケムシの糞を集めて裏ごしをし、それでご飯を炊くと、なんと、とても香りのいい桜ご飯が炊きあがるのです(昆虫食)。子どもに食べさせてとは決していいません。私が伝えたいのは、食べられるほど害がないものを、見栄えだけで化学薬品を撒いて駆除するのは問題があるのではないかということです。
8刺しそうなケムシに擬態
擬態は生きものの生き残るための手段の一つです。タテハの仲間はいかにも刺しそうな体をしています。アカタテハはイラクサ、ルリタテハはホトトギスやサツルトリイバラ、ヒメアカタテハはヨモギ、というように、チョウの幼虫は食草が決まっています。ですから、その食草を植えれば地域にもよりますがチョウが卵を産みます。その幼虫には