その7カマキリ
カマキリは、オスが小さく、交尾中にメスに食べられます。オスの体はメスの栄養になり、子孫に引き継がれるという考えを持てば、オスの役割もわかってもらえると思います。スズムシも、交尾が終わればオスは早く死んでしまい、その死骸をメスは栄養として食べます。
日本にいるカマキリで、草原や雑木林で見つけやすい種類を紹介します。秋は繁殖期なので、個体的には大きなものもいます。カマキリの卵は、翌年の6月頃に孵化します。二十四節気・七十二候の6月上旬に「
1オオカマキリ
一番大きなカマキリで、とても見つけやすいです。体長は、オス 68 ~ 92 ㎜、メス 77 ~ 95 ㎜。
メスのほうが大きいので、この時期はおなかが大きければ中に卵があります。卵は草の幹などに産みつけられているので、草原などで探してみてください。観察会で、子どもに卵を見せて、「これと同じものを探してみて」というと、数個集めてくれました。大人の目には見えないものが、子どもには見えるから不思議です。
2チョウセンカマキリ
オオカマキリに似ていますが、少し小さいです。体長は、オス 65 ~ 80 ㎜、メス 70 ~ 90 ㎜。卵に特徴があり、少し長細い形をしています。戸外の壁などに、へばりつくように産んでいるのを見かけることがあります。
3ハラビロカマキリ
おなかが少し広がっているように見えます。中型のカマキリで、卵は壁等にも産みつけることがあります。大きなおなかの中には、寄生虫のハリガネムシがいることがあります。この虫は水中で卵を産み、それをカゲロウやカワゲラなどに食べてもらい、成虫になって水中から出た時、カマキリに捕まって食べられ、カマキリの体内で成長します。でも、このままでは水中に戻れないので、カマキリを水辺に誘い込み、水中に戻るのです。水辺にあるカマキリの死骸は、栄養を取られたカマキリが力尽きている姿です。カマキリを捕まえて、水辺にお尻をつけると、ハリガネムシが出てくることがあります。
4ウスバカマキリ
なかなか見つけにくいのですが、前足の付け根に黒い紋があります。京都では絶滅危惧 Ⅰ類種にあげられています。草地や田圃の近くなどに多く生息しています。
5ヒメカマキリ
なかなか見つけることができない種類です。雑木林などに生息していますが、卵は人家の壁などに産むことも。個体は褐色が特徴です。獲物を捕らえる時に腹をそり返して構える姿は勇ましいです。卵はとても小さく、見つけにくいかもしれません。
6コカマキリ
体長は 40 ~ 60 ㎜と比較的小さく、腕の先に黒い斑点があります。色は褐色から緑色まで個体差があります。卵の形は少し長細いです。カマキリは別名拝み虫ともいわれていて、獲物を狙う時に両腕を顔の前に持っていき、「いただきます」のポーズをとります。律儀な昆虫かもしれません。 昆虫なので複眼を持っていて、緑色の目の奥に黒い点(義瞳孔)が見えます。この黒い点はどこからでも見え、獲物はこの目に見つめられると動けなくなるといわれています。
飼育するには、生きている昆虫しか食べないので、餌を捕まえるのに苦労しますが、「飼育は命を預かり重さを知ること」を実感できると思います。ぜひ、草原や雑木林に出かけて生きものを観察してみてください。見つけたカマキリの卵がすべて翌年に孵るかどうかはわかりませんが、部屋の中に入れておくと、6月前に孵化することもあります。生まれたらすぐに、戸外に逃がしてください。動くものはすべて食べるので、ケースの中で共食いが始まるからです。