活動報告

Report

2023.03.07

全国各地の青年部⑫ (一社)熊本市保育園連盟青年部

1 歴史─「たくましい肥後っ子」に育つように
 熊本市保育園連盟青年部の歴史を振り返ると、平成10年度までは熊本県保育協会青年部として活動をしていましたが、平成11年度より熊本市保育園連盟青年部が発足しました。平成8年4月1日に熊本市が中核市となり、親会である熊本市保育園連盟が熊本県保育協会から分離独立したことをきっかけに、熊本市内の青年部員により熊本市保育園連盟青年部をスタートさせたことが始まりです。
 発足から24年間、初代の江藤美信部長から現部長の吉本大樹まで12代にわたり歴史を紡いできています。平成24年度には当時の山崎敬太郎部長の下、第 32回全私保連青年会議熊本市大会を開催し、熊本市青年部をアピールすることができました。また平成 31年度には創立20周年を迎え記念式典を開催し、記念講演ではサッカー元日本代表の巻誠一郎氏にご登壇いただきました。全国からも青年保育者の仲間たちにご参集いただき、盛大に開催することができました。


 熊本市保育園連盟青年部 20 周年記念式典の様子    


 熊本市保育園連盟青年部のメンバー

2 活動内容
 青年部は、親会である熊本市保育園連盟や賛助会員の諸先輩方から「失敗はしていいから、思い切った活動をするように」というありがたい支援を受けて活動しています。活動を通して組織運営の基礎を学び、最新情報の共有や共通理解、研修は受講する学びだけではなく、その計画や実施することも学びとなります。そして何よりも、青年保育者同士の分け隔てない交流が魅力の団体です。

①  県と市の垣根を越えて
 熊本市保育園連盟青年部と熊本県保育協会青年部は別組織ですが、これからの保育を考える同じ仲間として委員会活動を共に行い、活発に交流してきました。中でも年2回行っている『実践研修』は研修の立案から実施までを共同で行っており、市と県をつなぐ大切なものです。この研修は、保育者が明日からでもすぐに保育で活かせることをモットーに実践的な内容を主に企画しています。また私たち自身が学びたいことも意見を出し合って研修に反映し、幅広い学びの場としています。

②  熊本県南部豪雨災害を受けて
 令和2年7月、熊本県南部で大きな被害となった豪雨災害がありました。当時コロナ禍で制限のある中でしたが、熊本地震の時の経験も踏まえ、私たちにもできることはないかと考え、住宅が浸水して着る服がなくて困っている家庭のために、急遽子どもたちが着ることのできる服を各園で集め、被災した園へ届けて回りました。日頃から築いていた熊本市と熊本県両青年部の関係性のおかげで迅速な行動につながったのではないかと思います。
 令和4年度に行った『実践研修』では“防災計画対策研修”を開催し、講師に NPO 法人ソナエトコ理事長・水野直樹氏を招き、多くの子どもたちと職員の命を守るにはどのような備えや対策をしておくべきかなど、あらゆる災害に対して起きてからではなく、起きる前にやるべき“備え”の重要性を再確認し、実践することがいかに大切かを学びました。このような経験を研修で振り返ることで、多くの大事な命を預り守る私たちがやるべきこと、特に災害に関しては“備え”がとても重要であることを学びました。そして、災害時に青年部間の情報と支援の連携がスムーズに行えるような災害ネットワークのさらなる強化へつなげることができました。

③ 立田山野外保育センター 雑草の森の運営
 熊本市保育園連盟は、雑草の森(児童遊園 立田山野外保育センター)という児童厚生施設を運営しています。雑草の森は、昭和50年代の保育園増加とともに「子どもたちがのびのびと安全に遊べる施設がほしい」という願いから平成 14 年4月 16 日に開設されました。主に就学前児童の心身の健康と豊かな個性を育むことを目的として、子どもが自然の中でのびのびと遊び、心のふれあいを通して、思いやりと人間的豊かさ、さらに生きる力と知恵を持った「たくましい肥後っ子」に育つように、さまざまな支援を行っています。
 雑草の森と熊本市青年部のつながりは施設開設当初から歴代青年部の諸先輩方が築いてくださり、現在も運営を手伝っています。不定期ですが熊本市青年部の部員間研修として「青年部 DIY 研修」を実施し、工具の使い方やロープの結び方について学んできました。開設以来20年を迎えており、テーブルやベンチの修繕・塗装を行っています。また、雑草の森での活動の楽しみの一つとして立田山散策や森のサークルでの焼き芋、インスタントラーメン作りなど、大自然の中で“ゆっくりとした癒し”の部員間交流もしています。

3 今後の活動
 熊本市青年部にとって大きなプロジェクトであった創立20周年事業が終わったと同時に新型コロナウイルス感染症が世界中で蔓延し、一時的に社会の動きが止まり、暗いニュースが続く日々が続きました。しかし、そのような中でも青年部は止まることなく、熊本県青年部と合同でコロナ禍における保育の課題を調査し、解決に向けてすぐに動き出しました。どのような状況でも柔軟に受け入れ、時代に適応することができるのは青年部の強さであり、「青年部らしさ」だと実感しました。
 昨今は集合型の大会や研修も増え、全国の青年部員と顔を合わせる機会も以前のように増えてきました。全国の青年部の方々とのつながりを大切にし、保育に関する情報を共有していければと思います。今後も、諸先輩方の助言等を参考に、新時代に向けて取り組んでいきたいです。


 青年部 DIY 研修の様子


 雑草の森(児童遊園)の運営


(一社)熊本市保育園連盟青年部部長
(やまばとこども園園長)
 吉本大樹先生