保育改革のための12の提言

「安心と喜びの子育てができる国 日本」
~保育改革のための12の提言~(概要)
社団法人 全国私立保育園連盟    平成14年5月

はじめに 「みんなで考えよう、これからの保育」
今、急増する保育需要に応えるため市場原理の導入が不可欠との考えの下に、保育改革が進められています。そこには、子どもの人権と国の将来に関わる「保育の質」の議論が決定的に欠けていることに私たちは危機感をもちます。 国民各界各層をあげて、これからの保育をどうするか議論していきたいと思います。

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提言
【提言1】保育を産業の対象としてでなく、子どもの育ちをどうするかの視点から見よう。
  • 84万人とも言われる潜在需要を引き出して大きな市場を開発しようとしていると思える。
  • 子どもは産業を振興させるために人為的に保育の場に引きずり出すべき存在なのだろうか。
【提言2】無理な保育コスト引き下げは間違い。必要な公的資金を重点的に注ぎ込もう。
  • 保育の質を左右する最大の要因は保育者。保育者に求められる役割はますます大きい。
  • 保育コスト引き下げは保育者のパート化、契約社員化を促進し、この基礎を突き崩す。
  • 乳幼児期は人間形成の土台となるだいじな時期。ここにこそ、米百俵の精神を!
【提言3】保育の新しい公的システムを組み立てよう。
  • 「官か民(企業)か」を超えて、「官」ではない「公」の領域をつくる必要がある。
  • 現行の公的保育制度を基本に、民間非営利団体が地域の人々の創意とカを結集し地域のつながりを強め、小さなニーズにも対応できる保育システムを構築する。
【提言4】公共領域の中心的担い手として社会福祉法人が自己確立しよう。
  • 経営の開放性、透明性。地域の人々が参加し協働できる組織に。
  • 行政依存型の体質を改め、民間組織としての自発性の上に立って行政と連携する。
【提言5】「待機児ゼロ」を認可保育園の手でやりとげよう。
  • 定員弾力受入れ、増築改修による定員増、新設、分園開設などで達成することは可能。
  • 公設民営の積極的な受け皿となる。大都市では市町村が公有地や公有建物の貸与等を!
  • 公立保育園がより弾力的な運営をし、待機児解消のため共に努力することを呼びかける。
【提言6】より良い保育環境の大切さを忘れてはならない。
  • 過密な保育室、大き過ぎるクラス集団の解消。屋外保育空間の大切さ。
  • 保育園で食事をつくることの大切さ。受け持ち定数の改善を!
【提言7】認可保育園は、多様な保育ニーズに応える努力をして行こう。
  • 延長、夜間、休日、一時保育、病後児保育などを積極的に受けとめて行く。
  • ファミリーサポートセンターなどの相互援助組織の立ち上げを促進し協力、連携して行く。
【提言8】ほんとうに大切にされるべき保育の質は何かを考えよう。
  • 教育産業が乳幼児をターゲットに早期教育を売り込んでいる今、何が大切かの見極めが必要。
  • 最もたいせつなことは、子どもたちが人と人との豊かな関わりの中で育つこと。
  • その中で、人への基本的信頼感、自己価値感が育ち、主体性をもった人間として育つこと。
【提言9】働く親が時間的にゆとりをもって子育てに当たれるよう労働環境の改善を進めよう。
  • 家庭生活を充実させることをだいじにする社会的風土を作り上げて行こう。
  • 子育て中の親の長時間労働等への規制の強化、育児休業制度の拡充。看護休暇制度なども。
【提言10】子どもと子育てを支える様々な場を地域の中にたくさん作り出そう。
  • 妊娠した時点から就学後まで個別にフォローして行くシステムを核に。
  • 親子のための遊び場、たまり場、相談の場、学習の場を地域の中にたくさん作る。
  • 保育園もその一翼を担うとともに、小中高校生が子どもと触れ合う場の提供なども。
【提言11】過疎地の保育の灯を守ろう。
  • 過疎地でこそ、いっそう保育の場が確保されなければならない。
  • 過疎地の保育園は存在そのものが危機に直面しながら様々な努力を行っている。
  • 地方分権の時代でも、国の援助がないかぎり保育の灯は守れない。
【提言12】「安心と喜びの子育てができる国日本」をこの国の基本に据えよう。
  • 子どもの生き生きした声がこだまする社会は活気のある社会。
  • これまで子育ては基本的に家庭の仕事とされてきたが、これからは社会が支える必要。
  • 子育ての社会化を、市場に委ねることによってでなく、公共の場を整えることによって!
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