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新しい保育制度に向けた全私保連の意見、見解など

子ども・子育てシンポジウム

グローバルな社会の中で日本の立ち位置をどう定めていくのか日々提言されている仙谷内閣府特命担当大臣をお迎えしての講演から始まった。何もない時代ではあったが、目の前に広がる自然の中でたくましく育ち、仲間と議論し折り合いをつける術を身につけて育った大臣ご自身の子ども時代と現代を比べてお話は進んでいった。情報があふれ、何が必要で何がいらないのか個人の選択に任され、かえって孤立感が深まっている。同時に地域住民同士の絆が希薄化した現代社会であるからこそ、社会みんなで支えあう子育て環境が必要になってきた。これからの日本にとって家庭に埋もれている優秀な女性の社会進出はさらに求められている。
その後、これまでの保育関係者同士の、いわば内輪の議論から保護者、労働者、企業関係者と広く議論の輪を広げ、汐見稔幸白梅学園大学学長(コーディネータ)の巧みな進行のもとそれぞれの立場でのテーマに迫る発言をいただいた。それぞれの奮闘ぶりを認めつつ、方法論、財源論とどまらず目指す日本人像を論じる必要性を投げかけたシンポジウムであった。


平成22年4月26日、星陵会館(東京・港区)にて“子ども・子育てシンポジウム〜あなたは安心して子どもを生み育てられますか〜”が開催された。暖かな春の日差しの中、全国より300名を超える参加者の中、主催者である全国私立保育園連盟黒川会長の挨拶で始まった。


【第1部、基調講演】・・・いよいよ明日(4月27日)から始まる『子ども・子育て新システム検討会議』の共同議長である仙谷由人内閣府特命担当大臣(国家戦略担当大臣)をお迎えして、意気込みと今後の展望についてお話しいただいた。

「これまで人作りが国作りという概念が欠落していたような気がする。今の日本の姿を振り返ると、戦後50年間に見られる専業主婦至上主義、子どもを取り巻く環境の激変、偏差値偏重の教育システムなどが女性の社会進出の妨げと子どもの生きる力の欠落をもたらしたのではないか。これからは、女性の社会進出を促し、子どもを社会的に育む環境を整備するためにも、行政の仕切りを超えて幼稚園と保育園の垣根を外し、現金給付と現物給付をバランス良く含めた一元化する制度を作らないといけない。また、子ども家庭省などの専門省庁を作って、地方自治体の実情に合った新しい制度設計、財源問題について大激論を交わしたいと思っている。」



【第2部、シンポジウム】・・・汐見稔幸氏をコーディネーターとして、子ども・子育て新システム検討会議が行われるという難しい局面でのシンポジウム、それぞれの立場から議論を深めていきたいと、シンポジスト、会場参加者にボールを投げてスタート。まずは、シンポジストそれぞれのお立場で発言。

中島圭子日本労働組合総連合会 総合政策局長
 まずは連合が提唱している「子育て基金(仮称)」について説明。これはフランスが行っている「家族手当金庫」を参考にしたもので、以前から子育て基金の案として温めていたが、政権交代により、民主党の「チルドレンファースト」の呼び声の下で、提案するなら今しかないと仕掛けている。
子育てに関わる人たちと議論を交わしてきたが、細かな意見の相違はあっても大きな流れとして同じ方向を向いていると思う。国民全体で子育てを支える制度設計をお願いしたい。

安藤哲男(株)資生堂人事部ダイバーシティG事業所内保育所責任者
 企業内保育を行っている立場としてまず言いたいのは、保育は国の仕事、国の責任でスピード感を持って行ってほしい。制度の整備ばかりすすんでも人の意識が変わらないと利用できない。認可保育園は、様々な保育ニーズに応えるサービスを行ってほしい。企業としても拠出金の使われ方の透明性が確保され、延長保育や一時保育など労働者に還元される部分がほしい。

矢野尚子 保護者
 保育園を利用している立場として、保育園に入れた人はよいが、入れない人は大変である。どうやったら保育園に入れるか悩んでおり、制度として歪みがあるのではと感じる。また幼保一元化については、幼稚園の保護者も保育園の保護者も不安を感じている。

木原克美全国私立保育園連盟常任理事
 すべての子どもが健やかに育つため、そのステップとしての幼保一元化を考えていきたい。大切なのは今後日本の子どもたちをどのように育てていきたいかという理念。
諸外国と比べてナショナルミニマムがとても低い。財源問題も大きいので、連合さんの子育て基金構想を是非叶えてほしい。

汐見コーディネーター
 4人の話をきいて、現状が危機的状況であるという認識が必要。子ども手当、高校授業料無料化などを全体のなかでどういう位置付けにするかというグランドデザインを設計しなければならない。
そのためには、現実にどういう問題があるか一つ一つ課題を挙げていく作業(プロブレムシート)が必要。子どもの自尊感情の低下、親の就労の格差による子ども貧困問題、都市部と過疎地の格差など、公平な制度設計とならなければならない。この点についてご意見を

中島氏
 国と地方との役割分担を考えた制度設計が重要。単に地方自治体にまかせてしまうと都市間で子育て世代の移動が起こる。自治体の個性を出すことと、最低基準とは切り離して考えてほしい。

木原氏
 現物と現金をセットで地方に移譲して自由にすれば良いというのでは、ナショナルミニマムとしての国家の戦略が乏しい。また、「マイ保育園」というような産まれる前からかかりつけの保育園を作り、気軽に相談できる制度も付け加えてほしい。

汐見氏
 ヨーロッパではここ10年、幼児教育に力を入れている。21世紀の巨大なアジアの成長に負けないよう、EUが一体となって制度を設計している。そのため先進国の制度をヨーロッパ全体で共有しようとしている。それなのに、日本はその逆を進んでいるように見える。国家戦略としての最低基準をプロブレムシートに入れなければならないと思う。
ところで、連合さんが言われる「基金」の財源としてフランスでは拠出金がおよそ全体の半分と割合が多いが、これを日本で取り入れる場合にどのように考えているのか。

中島氏
 現在の日本の子育てに関わる財源は確保できると考えている。しかし、フランスのように社会保障全体を行うには足りず、当面子育てに特化してと考えている。

矢野氏
 消費税の増額は正直なところ反対であるが、国民全体で子育てを支えるという理解を求める必要がある。

汐見氏
 幼保一元化に関してはどのレベルで議論されているのか分からない。新しい省庁を作って幼稚園と保育園を入れ込むだけの一元化なのか。保育士、幼稚園教諭の養成課程から抜本的に改正するのか。下の方から望まれる一体化ではない。皆が納得する形を作る必要がある。

木原氏
 まずは身の丈に合った合流をしなければならない。

汐見氏
 仙谷大臣もおっしゃったが、制度・財源論だけでなく、その根本になる、日本の子どもたちをどう育てていきたいか、それぞれの立ち位置で議論を巻き起こして頂きたい。

瞬く間に予定していた時間となり、閉会を古川邦道全国私立保育園連盟副会長の挨拶で会を閉じた。


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