公益社団法人 全国私立保育園連盟

保育

心の育ちの中でも 信頼感と自己肯定感は必須のものです
鯨岡 峻(京都大学名誉教授)

「非認知的な力」を育てるといわれていますが…

 今、保育の世界でも学校教育の世界でも、急に「非認知的な力」を育てるということがいわれるようになりました。学力のような能力の育成だけでなく、他者と協同する力、失敗してもくじけずに再挑戦する力、諦めずに粘り強く物事に向かう力などが、育ってほしい力の中に含められるのだという議論です。もちろん、そのような「非認知的な力」は大人になる過程で子どもがぜひ身につけてほしいものです。これに関しては、お母さん方も異論がないと思います。
 しかし、それらの力をどのように育むのかについては、これを議論する人たちのほとんどが言及していません。その「非認知的な力」とは、子どもの心のもちようなのですから、本当は子どもの心の中心にくる信頼感や自己肯定感とのつながりが考えられなければなりませんが、そのような議論にはなっていないのです。
 私は、子どもの心の中にまわりの大人への信頼感や自分への自己肯定感が本当に育っていれば、「非認知的な力」は必ずそれにくっついて育ってくると考えています。
そして、子どもに「非認知的な力」が育っていないように見えるのは、単にその力を育成するための努力が子どもに向けられていないからではなく、それらの力が育つための前提となる、信頼感や自己肯定感が十分に育っていないからだと考えます。
 そうしてみると、やはり信頼感と自己肯定感を育むことが先決で、だからこそ、お母さんやまわりの大人の「養護の働き」が欠かせないといえるのではないでしょうか。

>③「教育」は大人の一方通行の働きかけではありません