公益社団法人 全国私立保育園連盟

保育国際貢献の旅手記 Vol.1

ドミトリー & ムオンバ村

2018年7月16日 03:00-09:00

ムオンバ村の学校近く、友人のドミトリーを間借りしての朝。寒さで目が覚めた。現地時間で3時。凍える。アフリカ豆知識コーナー、アフリカって冬寒い。空港入ってすぐ、ステレオタイプな部族スタイルの広告があるのも悪い。行く前は、常夏でこんな感じの裸の集団に槍でぶっ刺されることを想像した。かろうじて持ってきていたパーカーが大活躍していた。

空港にあった宣伝ポスター 誤解もやむなし

昨日は結局体を洗ってない。洗いにいこうかと思ったがすぐに思い直した。仕事をする気にもなれず、昨日のログを取ったり友達にメッセージを送ったりとだらだらしていた。今日は朝早いアポだが、結局1時間前くらいにしか外には出なかった。

それにしても、体を洗いに行くという言葉以外に何と表現したらいいのだろう。シャワー?ない。風呂に入る?浴槽はない。入浴は比較的近い。鉄の扉をあけて、ブロック積みの空間の中で持ち込んだ湯を浴びるスタイルだからだ。バケツに井戸から水を汲んで、ポット2杯分のお湯を入れるとちょうど良いと言われていた。レシピ通りに浴びてみると、なるほど快適だが、少し熱い。友人は江戸っ子だな。排水はそのまま外に流れるだけなので、外に無造作に置いたパーカーが少し濡れてしまった。

朝ごはんの時間になると、調理能力ゼロの私が手伝えることは何もなかった。サンドイッチだけだから助けは要らないと言われ、甘えることにする。卵、フレッシュトマトとレタス、玉ねぎにマヨネーズを好きなだけかけてパンに挟む。すっかり美味しさにハマってしまった。料理を褒めると、ザンビアだから美味しく感じるんですよ、と笑顔で返してくれた。この友人、本当に良い人です。朝食を終え、学校に移動することにした。昨日は人がいなくて微妙に地理感覚が掴めなかったが、学校は文字通り目の前にあった。友人は外に出るたび教室の中から声を掛けられて困るらしい。先生もこれではいけないと思い、トタンを窓に打ち付けたが、穴を開けて覗いているとのこと。生徒の方が一枚上手だったか。

ムオンバ村小学校見学

2018年7月16日 09:00-10:00

この学校は、幼稚園から中学校までの一貫校だ。昨日校長がファシリテーションで忙しいと言っていたのは、この学校がお金がない中で上手く教育を行っているという点でのモデル校だからだそうだ。

造りは、他の家と同様にモルタルの床に机が並べられて、天井はトタン屋根。どの教室も照明がなく暗い。見学していると、教室の中に案内されることも多かった。非常に邪魔になっているはずが、先生にも生徒にも歓迎される。日本から来た、というだけでは普通だったので、24時間以上飛行機に乗ってケツが痛かった、と紹介したら爆笑を取ることができた。品がないので一回で止めておいた。生徒はノートを取っているが、どの子も右上80度にノートを傾けて書いている。小学校のときたまにそういう子がいたが、こちらは皆がそんなスタイルだ。理由は、学校以外では机が狭く、ノートが広げられないからだ。大人になってもこの癖がついてそうで良くない。

別の教室にいたっては先生がいなかった。子どもが教科書を一人で板書していて、それを周りの皆が写している。ザンビアでは、教科書が1冊しかないので、先生が板書するのを写すのだから、結局一緒でしょ?ということらしい。その教師は外でブラブラしている。この先生は、サボり癖はあるが会議では良い事を言うらしい。頭の良い先生が業務省力化をしている感覚なのだろう。グループワークのときに教室外の空気を吸いにいく自分としては、あまり人のことは言えないが、それでいいのかザンビア。

そんな学校だが、ザンビアでは珍しい特別支援学級があった1。去年くらいから1つの教室を専有できていて、壁には某猫アンドジェリーの猫の方の絵と共に、Special course need special classだったかの文字が書いてあった。8人の生徒が所属している。教室の片隅には異常にリアルな人骨模型(だと信じたい)がぐったりとしている。その場では何も思わなかったが、よく考えると怖い。

生徒一人で教科書の板書 先生はサボり

1特別支援学級現在11人の生徒で、本来は個別対応をするという前提で生徒3人に1人の先生が付くのが基本なんですが、うちは先生が3人しかいない上に、個別対応をせずに1人の先生が学年バラバラの11人の指導。残った2人の先生を事務や他の教科の先生をさせたりと特別支援学級以外のタスクを受け持つ存在として校長や教頭は使っています。

気になったのは教室だ。黒板の周りにはアルファベットが色とりどりにペイントされている。情報が散らかって大変な子がいるだろうな、と思う。どうやら、精神発達遅滞を文字通り遅滞と捉え、プリスクールのような教育をしている傾向にあるのではないか、と友人は推測している。

今日の授業はアルファベットの発音だ。tと板書した後に、この発音にはどんな単語があるかを推測させ、treeと答える子がいた。その後は、tの他にどんな発音があるか、と聞いている。こちらでは普通な聞き方なのだろうか。特にここは特別支援クラス。質問がコロンブスの卵のように答えにくい聞き方なのではないか。教師はc,e、pと進めていく。ひょっとすると、本当にどう教育したら良いのか分からず困っているのかもしれない。

この学校は公立ではあるが、特別支援クラスは私塾扱いとして学校の収入に組み入れることができるらしい2。学校を回すためには必要なクラスである。こう書くと、ネガティブな印象を受ける方もいるかもしれない。じゃあ、収入にならなければやっていたか、と。だがそんな問いは意味をなさないだろう。どんな思惑があっても、始めること、続けることが大事だからだ。

その教室の窓から外を見ると、サイエンスラボと書かれた教室がある。入り口には、JICAの名前と共にOtawaさんの名前が刻まれていた。このOtawaさんは長年JICAにいたのだが、バイクで事故を起こして急死したそうだ。彼女は裁縫を教えていたが、JICAから送られた残りの給与で寄付を行い出来たのがこの教室だ3。同じ日本人として、このラボが子どもたちに役立つことを願う。

その他の特別な教室は、他にEco教室4とPC室だ。友人はもうすぐここで授業をするらしい。ここだけ頑丈な鍵がかかっており、責任者から鍵を預かり解錠した。入り口には着物姿の友人の写真が飾ってある。○年前の成人式かと聞くと、当時勤めていた学校の卒業式の写真だそうだ。2年前ならセーフ。

中に入ると、PCが十数台並んでいる5。この学校には似つかわしくない台数だ。公的な補助が入っているのだろう。壁にはこの部屋を使えるクラスの時間割が貼られている。8年生と6年生が被っているがどういうことなのか。普通にダブルブッキングらしい。ここ被ってるよ、と現地の人に指摘するとじゃあ横にずらすよ、と返事がある。見ればわかるんだから最初からゆずり合えよ、と思うが、これでも友人が壁で見える化する前はもっと悲惨だったらしい。何でも導入には時間がかかるものだ。

2②特別支援学級は塾としてではなく、公立です。そのため利益は取らず、一般生徒と同じく義務教育です。ただ、特別支援学級があるということで、色んな団体(よくあるのはUNやDAPPという大手古着屋と繋がってるヨーロッパのどこかの国のボランティア団体。)が寄付として物やお金をくれるので、それを上手く使ってます。塾(予備校)としているのは、GCEという落第生クラスで、G9の国家試験(10~11月)に落ちた子は毎年7月にある落第生用の国家試験を受け合格すれば高校に入学申請できます。7月の試験に向けて自分の落とした教科を受講し試験も受けることができます。(何年も前に不合格だった人がお金を貯めてくることもあるので、中年層も混ざってます。)講師給料は一コマ(40分)10クワチャだった気がします。生徒は一教科いくら払わないといけないかはまた分かったらお伝えしますね。

3③大多和さんの御家族が作ってくださったサイエンスラボですが、JICAボランティアの給料ではなく生活費なんです。。😂(この名称の違い結構見る人からすると注意点で。。)サイエンスラボが建った理由としては、その当時同じ地域に配属されてた理科教育ボランティアがムオンバ初等学校にいたので、その理科教育ボランティアのためになる学校を建てて下さいました。だから、校長先生は『ムオンバはザンビアの魂と日本の魂が入ってる学校なんだ。』と言って下さいます。

4④Eco教室ってなんでしたっけ?!(笑)ECD?

5⑤パソコンは現在45台あり、うち正常起動するものが32台です。ほとんどのパソコンの故障の原因が、電圧の急変化と砂埃です。砂埃の原因のは、中を開けて掃除するとよくなったりもします。ザンビアは3年前から情報処理知識をG1~G9のシラバスに加え、G9の国家試験では情報処理は必修科目になりました。そのため、政府系のZICTAという団体が申請のあった学校にパソコンを導入してくれます。ただ、どのように申請手続きを踏むのか知らない学校が多いのと、申請しても待ち時間に1年程かかるとのことです。その他寄付は南アのボランティア団体からの寄付があったようです。

友人作の教室使用スケジュール 導入に時間がかかる

天井に目をやると、トタンの穴から日光が漏れている。これやばいんじゃないのかな。友人に言うと、雨はうまい具合にPCを避けているらしい。雨季がくればどうせここの人たち動かなくなることが目に見えていて、その前に何度も修繕の要求は出していた。でもまだ雨季じゃないから大丈夫と返事があっている。つまりずっと動かないってことだよね、それ。虎の子のPCが壊れないことを祈る。

祈りが届く前に、停電になった。最悪のタイミングだ。5分くらいで直らなければ、ずっとこのまま。結局直らず、PCなしでPCの授業をやることになった。エアPC授業って新しすぎる。何をやるのか皆目見当もつかないが、どこかからかPC特有のフォルダアイコン、ゴミ箱アイコン、office関連のアイコンがラミネートされた紙を持ってきて、それを並べ説明し、生徒にノートを書かせている。

ICTプログラムって難しそうだ。分からない人にはマウスって何という所から説明するという話を聞くが、それを地でいっているような授業だった。いきなり子どもたちがメチャクチャに使われるのもマズいし、こんな感じで進んでいくのが正解なのかもなあ、と素直に感心した。余談ではあるが先生の靴はピンヒール。どこへ行くにもおしゃれは欠かせない。こちらの人たちは、外見が社会的ステータスを如実に表すことも関係していて、とてもきちんとしている。人が多い国や貧富の差、階級差のある国では、自分を主張しないとどこまでも粗末に扱われる傾向にあるが、この国も近いものを感じる。そしてそのことは、今日嫌というほど思い知ることとなる。