公益社団法人 全国私立保育園連盟

あの日を忘れない 東日本大震災

今、福島県の保育は…その1◆福島県双葉町

東日本大震災・福島第一原発事故後1年半
今、福島県の保育は…その1
◆福島県双葉町・まどか保育園の現状◆

 【保育通信No.691/2012年11月号】

 現在、まどか保育園は私の主人である園長のみが在籍し、私と息子の副園長以下、全職員は退職という形をとらざるをえない状況となってしまいました。退職理由としては、昨年3月、4月の時点では保育園からの収入がなくなり、退職するしか方法が見つけらなかったからです。
 園長を含む20名の職員のうち約1年半の間に再就職できた職員は9名おりますが、他の職員は未だに仕事を見つけられない状況にあります。就職先が見つからない理由としては、子どもの保育や妊娠、居住地が定まらないなどの理由によるものです。
 とにかく現在も進行中の「避難」であるため、職員も園児も次々住所が変わりつつあります。未だ放射能汚染・除染という大問題が解決しておらず、誰も故郷・双葉町に戻るかどうか迷っています。

 私は、現在在住の群馬県高崎市で『100,000年後の安全』と『Friends after 3.11』という2本の映画に出会いました。また、一連の放射能汚染の問題を通じて京都大学原子炉実験所助教の小出裕章先生と知り合いになることができた結果、放射能汚染に関する多くの弊害を学ぶことができました。映画の中で、年間放射線量が20mSvというのは我々が健康診断で受けるレントゲン検査を1年間に約400回受診するのに値する数値になると知り、驚きとともに愕然としました。
 今後、福島県の復興や安全をアピールしたい立場の人たちにとっては、私たちの声は足を引っ張る行為になるのでしょうが、私たちは本当の真実を知りたいと切望しており、誰もが納得できる正しい答えがほしいのです。このことが解決しない限り、「まどか保育園」の行先は将来にわたり未定のままです。私としては、この際腹をくくり、いわき市へ戻ることを少なからず考えておりますが、戻る決断をするにしても大きな不安を抱かざるをえません。

 小出先生が話されていたことを考えれば考えるほど、福島県内に戻ることは健康に多大な悪影響を及ぼすことを承知の上で戻ることになるからです。しかし、今のまま永久に避難生活している訳にもいきません。今後については何事もなかったかのように、多くの方が福島県内に戻らなければならないのでしょうか。
 また、現在の保護者の方々はそれぞれ、さまざまな考え方や立場によって複雑な心で生活していらっしゃると思われます。双葉町の半分の町民は県外で生活しております。そして東電に関連する会社に勤めている方も多く、家族別々の生活やまわりに遠慮している方もいると聞いております。
 しかし、まどか保育園の園児が以前のように出会えることを何よりも望んでいてくださることをひしひしと感じております。そのためにも、何とか頑張ってみたいと思っております。
 「保育通信」を読まれている全国の皆さんに、我々日本人が今までに体験したことのない、この窮状をご理解いただければ幸いです。

柗本洋子/福島県双葉町・まどか保育園

 

 

ドキュメンタリー映画
100,000年後の安全
マイケル・マドセン・監督
2010年・デンマーク



 

 

 

 ドキュメンタリー映画
Friends after 3.11
岩井俊二・監督
2012年・日本